短期間で急激にやせるダイエットは筋肉が落ちる!
やせるための確実な方法は、摂取したエネルギーよりも消費したエネルギーが上回ること。単純なことのようだけど、実際には自分の摂取エネルギーや消費エネルギーを正確に把握するのは難しく、手っ取り早くやせようとして食べる量を極端に減らしてしまいがち。
「消費したよりも摂取したエネルギーのほうが少ないと、最初は体脂肪でエネルギーを補充していきます。けれども食べる量を極端に減らすとそれだけでは補充できず、筋肉の材料となるタンパク質がエネルギー源として使われます。食べる量を極端に減らせば短期間で減量できますが、筋肉が落ちるほか、体がエネルギー不足で節約モードの状態になることもあるのです。エネルギー不足は、貧血や月経トラブル、骨粗しょう症など、さまざまな悪影響を引き起こします」(鈴木さん)
そこで鈴木さんのおすすめは、毎月0.5kgずつ体脂肪を落としていく確実で無理のないダイエット方法。体脂肪0.5kgを約3600kcalとして考えると1日約120kcal分のエネルギーをこれまでより多く消費する、もしくはその分の摂取を抑えれば、1カ月(30日)で0.5kg分の体脂肪が落ちるというわけ。
「毎日100kcal程度を食事から減らし、約50kcalを運動で消費すれば確実です」(鈴木さん)
生のカボチャは天ぷらにするとカロリーが約4倍に
そこでまず、1日100kcalを何から減らすかを考えてみて。お菓子(板チョコ5かけ分、どら焼き半分程度)やアルコール(ビール350ml缶が140~170kcal)など、体にとって必要性が低いものから減らすのが理想。難しい場合は、マヨネーズ(大さじ1杯で約100kcal)、ケチャップ(大さじ1杯で約20kcal)など、エネルギーの高い調味料を減らすのも手。また、糖質やタンパク質は1g4kcalなのに対して、脂質は1g9kcalと高エネルギー。このため、揚げ物の量や頻度を減らすとエネルギーを減らしやすい。
「同じ揚げ物でも調理方法によって吸油率やエネルギー量は異なります。素揚げ、から揚げ、天ぷら、フライの順にエネルギー量が多くなるので、例えばカボチャ60g(54kcal)の素揚げは約100kcalですが、天ぷらだと200kcalくらいになります。こうした違いを知っておくことも、無理のないダイエットにつながります」(鈴木さん)
また、ダイエット中は食べる嵩(かさ)を減らさないようにすることもポイント。嵩が減ると、消化管の運動が少なく、エネルギー消費の量も減ってしまう。
通勤中も無理なく消費エネルギーをアップできる
一方、毎日50kcalを運動で消費するにはどうすればいい? 体重50kgの人の場合、50kcal分の身体活動は「普通の速度で歩く(約30分)」「早歩き(約20分)」「ピラティス(約30分)」「パワーヨガ(約20分)」などに相当する。例えば毎日運動する時間がなくて早歩きを一度に20分するのは無理でも、5分ずつを4回なら、通勤中などに消費できそう。
冬は夏に比べて一般的に基礎代謝量が多く、ダイエットのチャンス。毎日体重をチェックして無理なく計画的にダイエットしよう!
教えてくれた人
鈴木志保子さん
神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授。(一社)日本スポーツ栄養協会理事長、(公社)日本栄養士会副会長、NPO法人日本スポーツ栄養学会前会長。マツダ株式会社陸上競技部、パラ水泳日本代表など、数多くのトップアスリートの栄養指導に従事。2018年7月に新刊『理論と実践 スポーツ栄養学』(日本文芸社)が発売。
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WRITING/AKIKO NAKADERA