美と健康キープにかかせない「食物繊維」。なにをどう食べればそのパワーをもらえる?
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美と健康キープにかかせない「食物繊維」。なにをどう食べればそのパワーをもらえる?

更新日:2020/09/03

便秘やストレスなどで腸の調子が悪くなると、腸にたまった有害物質や毒素が血管を通して、体内に流れるとも言われている。便秘が原因で、肌アレや疲労感など不調が出てくることも。この腸内環境を整えるために大切な役割を果たすのが「食物繊維」。でも、なんとなく大事そうなことはわかるけど、実はなにを食べればいいのかよく知らない、という人も多いのでは? 今さら聞けない食物繊維について、管理栄養士の金丸さんに伺った。

腸をきれいにするだけでなく、体を助けるさまざまな働きが。意識して食べようとすることが大切

腸をきれいにするだけでなく、体を助けるさまざまな働きが。意識して食べようとすることが大切

食物繊維は、人が消化・吸収できない難消化成分で、ほとんどが吸収されずに体内を通過する。吸収できず5大栄養素ではないものなのに、毎日摂ったほうがいいとされているのはなぜ?「食物繊維は腸内に住む細菌のエサになってくれるので、善玉菌を増やして腸内環境をよくする強い味方になります。また、炭水化物の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を防ぐなど、生活習慣病の予防にも役立ちます」と金丸さん。人間が吸収できる栄養素ではないとされていましたが、現在では体内でさまざまな働きをしてくれると注目されているのはその理由だそう。

「成人の場合、1日18~20g以上の食物繊維を摂ることが推奨されていますが、実際にはあと約5g程度足りていません(※)。食物繊維が特に多く含まれる食品は海藻類やキノコ類、野菜類なので、いつもの食事で食べていないと思うようでしたら、不足しているかもしませんね。」とのアドバイスも。野菜と海藻の副菜を、小鉢で1日5皿程度食べるような意識をし、そのほかに精製していない穀類や、豆類、フルーツ類なども取り入れてみると良いとのこと。どんな食品に食物繊維が含まれているかを知って、少し意識して毎日の食生活に取り入れることで、食物繊維の摂取量をアップできそう。

※平成27年国民栄養調査による

食物繊維には2種類ある。共に優れた働きがあるので、バランスよく両方摂ろう

食物繊維には2種類ある。共に優れた働きがあるので、バランスよく両方摂ろう

では、食物繊維を摂るにはどのようにすればいいの?「食物繊維は、水に溶けやすい『水溶性食物繊維』と、水に溶けにくい『不溶性食物繊維』に分けられます。それぞれ期待できる働きに違いがあるので、この両方をバランスよく摂るのが理想的です」。

水溶性食物繊維は水に溶かすとゲル状になって毒素を吸収して排出したり、糖質や余分なコレステロールの吸収を抑制する働きがあり、生活習慣病予防やダイエット効果を期待できる。不溶性食物繊維には、胃や腸で水分を吸い上げて便の体積を増やす働きがあり、腸のぜんどう運動を活性化して便通を刺激。便秘予防のほか、よくかんで食べる食品も多いので、食事に満腹感も与えてくれる。

「不溶性食物繊維は主に穀類や豆類、野菜などに多く含まれています。対して水溶性食物繊維は海藻類やきのこ類、もち麦、ごぼうなどに含まれます。ですが、水溶性食物繊維が含まれる食材はそれほど多くないので、意識して選ぶ必要があります」と金丸さん。ひと口に食物繊維といっても、このように種類があるので、効率よく摂るためには違いも知っておく必要がありそうだ。

ごぼうや納豆は優秀食材。水溶性食物繊維は摂りにくいので、意識して普段から食べよう

ごぼうや納豆は優秀食材。水溶性食物繊維は摂りにくいので、意識して普段から食べよう

では、具体的にどんな食品を食べればいいの?「不溶性食物繊維を多く含むのはひよこ豆やあずき、大豆などの豆類、野菜には比較的多く含まれますが、その中でも、モロヘイヤやオクラ、ニラ、ごぼうなど。穀類では精製されているものよりも、麦や玄米、ライムギやオートミールなどの精製されていないものに多いと覚えておくといいでしょう」と金丸さん。対して水溶性食物繊維が多い食品は、海藻類、きのこ類や納豆、アボカド、ごぼう、ラッキョウ、オクラなど。オクラやモロヘイヤなど、ネバネバヌルヌルした食材は水溶性食物繊維も多いと覚えておくのも便利。

「ごぼうやオクラ、きのこ類は水溶性食物繊維だけでなく不溶性食物繊維も含まれているので、両方摂れる優秀食材。納豆にも水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が1:2で含まれていて、理想的なバランスで食物繊維が摂れます」。この納豆のように、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を1:2のバランスで摂るようにすると、お互いの働きが組み合わさり、より効果的だとか。水溶性食物繊維が含まれている食材の方が少ないので、このバランスを覚えておいて意識的に食べるようにしたい。不足しがちな食物繊維だからこそ、正しい知識で効率よく取り入れて、ダイエットや健康の底上げに役立てたい。

教えてくれた人

金丸絵里加さん

料理家、管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学講師。健康や美容に役立つメニューが高い評価を受ける。書籍や雑誌、テレビ、栄養指導などで幅広く活躍。著書に『女性のやせ定食』(光文社)、『今日からはじめる菌活習慣』(枻出版)など多数。

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WRITING/HIROKO KUROKI

※記事は2020年9月3日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります