夏バテの原因をチェックして自分に合った対処法を選ぼう
暑さの影響で体調が悪くなる症状をさす「夏バテ」。東洋医学ではその原因は大きくふたつあると考えられ、対処法も異なるのだとか。夏バテを適切に防ぐためには、まずその原因を知ることがポイントと言えそう。
ではさっそく、次のAとBのうち、どちらにより多く当てはまるのかチェックしてみて。
<チェックA>
□汗を大量にかくことが多い
□元気が出ないことが多い
□夏風邪を引きやすい
□めまいが起こりやすい
<チェックB>
□冷たい飲みものや食べものを多く取っている
□手足がむくんでいる
□長時間クーラーに当たることが多い
□下痢しやすい傾向がある
「Aの項目が多かった人は、暑さによって体内の『気(き=エネルギー)』の量が不足していることが夏バテの原因と考えられます。一方、Bの項目が多かった人は、冷たい飲食物やクーラーの影響で体内の水分代謝が悪くなり、余分な水分が体内にたまっていることが原因だと言えます」(岸さん)
元気が出ない、疲れが取れないタイプの夏バテは、胃腸の消化吸収力アップがカギ
Aの項目が多い「気の不足」タイプの夏バテは、元気が出ない、疲れが取れにくい、食欲不振などの症状が特徴。汗をかきすぎていることと、胃腸の消化吸収力が弱いことが原因で起こりやすいのだそう。
「汗をかくと、体内の気も一緒に体外へと排出されてしまうため、汗をかきすぎると気が不足した状態になります。気が不足すると毛穴を引き締める力が弱くなり、さらに汗をかきやすくなるため、気がどんどん不足するという悪循環に。また、体内の気を充実させるためには、食べたものをしっかりと消化吸収して気を生み出すことが重要なのですが、胃腸の消化吸収力が低下すると体内で十分に気を生み出すことができず、気が不足して夏バテになりやすいのです」(岸さん)
対処法は、汗のかきすぎを防ぐことと、胃腸の消化吸収力を高めることにあると、岸さん。汗のかきすぎを防ぐためには、体内の熱を取る食材をよく取ることが大切。といっても冷たい飲食物を取りすぎると体が冷えてしまうので、ニガウリ、キュウリ、トマト、バナナ、スイカ、メロンなどの体の余分な熱を取る食材を積極的に取り入れよう。さらに、胃腸の消化吸収力を高める穀類、イモ類、豆類、カボチャなどを意識的に食事にプラスして。
また、気の不足を改善するためには、しっかり睡眠を取ることと朝食を抜かないことも大切なのだそう。特に夏は夜が短く睡眠不足になりやすいので、15~20分程度の昼寝をすることも効果的。朝食は胃腸にやさしいおかゆがおすすめ。
だるさやむくみを伴う夏バテは冷たい飲食物が原因のひとつ
Bの項目が多い「水分代謝低下」タイプの夏バテは、体に余分な水分がたまっているために体が重くなり、だるさやむくみがよく見られる。その主な原因は、冷たい飲みものや食べものの取りすぎによる胃腸の冷えなのだとか。
「胃腸には全身に水分を巡らせて水分代謝を整える働きがありますが、冷たい飲食物を取りすぎると、胃腸が冷えてこの働きが低下してしまいます。そのため水分の巡りが滞って体が重くなり、だるくなってしまうのです」(岸さん)
また、クーラーに長時間当たっていて汗をほとんどかかないことも、水分代謝による夏バテを引き起こすのだと、岸さん。おうち時間が長くなっている今、このような状況にある人は少なくないかも。汗はかかないのに水分は多く取ってしまうため、体内に余分な水分がどんどんたまってしまうことに。
「水分補給はできるだけ常温以上の飲みものを飲むようにし、できれば温かいお茶も飲むことがおすすめです。冷たい食事もできるだけ控えめに。そして、体内の余分な水分の排出を促す、冬瓜、キュウリ、トウモロコシ、豆類などを積極的に取るといいでしょう。カーディガンやひざ掛け、靴下などを使ってクーラー対策もしっかり行いましょう」(岸さん)
そのほか、入浴はシャワーだけですませずに、しっかりと湯船に浸かって軽く汗をかくことも夏バテ防止につながるのだそう。
原因となる生活習慣を見直せば、夏バテを予防することもできるはず。まだまだ厳しい暑さが続きそうなこの夏を、元気に乗り切っていこう!
教えてくれた人
岸直美さん
漢方専門店「ニホンドウ漢方ブティック薬日本堂 青山店」薬剤師・漢方相談員。漢方薬から和漢ブレンドティ、スキンケアまで、からだの内外からのトータルケアを提案している。同店地下1階には「薬膳レストラン10ZEN青山店」があり、おいしくヘルシーな薬膳料理が楽しめる。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO