疲労感が麻痺している人も。チェックリストで確認してみて
疲れが溜まっている人ほど、疲労度を実際より軽く見てしまうことがあるのだとか。また、楽しいときや熱中しているときは疲労感が麻痺していることも。
「疲労度チェックリストで自分の状態を確認してみてください。当てはまるものの点数を足していき、1~5点は注意、6~10点は要注意、11点以上は危険です」(中富先生)
疲労が溜まっていると、ちょっとしたミスが増えるなど、日々のパフォーマンスが低下する。感覚的には疲れていなくても、体には疲れが蓄積しているので注意して。
また、大量のカフェインが疲労感を麻痺させ、体力を前借りしてしまっているケースも。
「カフェインの多量摂取が続くと、疲労回復がうまくいかなくなる可能性があります」と、中富先生。カフェイン入りのエナジードリンクや濃いコーヒーなどの飲み過ぎにも気を付けたい。
疲れが溜まるメカニズムとは?よくある疲労の原因5つ
心身のダメージが積み重なり回復力が追い付かなくなると、疲労は「パフォーマンスの低下」として現れてくるそう。どんなことが疲労に繋がっているの?
1.寝不足
睡眠時間が減ると、神経や細胞がダメージから回復する時間が足りなくなってしまう。「過労による健康問題は、長時間労働そのものよりも睡眠時間が削られていることが一番の原因です」(中富先生)
2.食生活の乱れ
体に必要な栄養素をすべてバランスよく取っていないと、せっかく食べたものがエネルギーにならなかったり、細胞を回復させるための材料にならなかったりする。また、ビタミンなど抗酸化力の多い成分が足りないと、細胞が酸化に負けてしまい疲労の原因に。
3.飲酒
飲酒後に体が疲れるのは、アルコールの代謝にかなりのエネルギーを必要とするから。アルコールにはリラックス作用があるけれど、代謝されてアルデヒドに変わると覚醒物質になり、睡眠が浅くなるそう。
4.ストレスや緊張
「ストレスホルモンが出続けていると常に戦闘状態になり、神経が休まらなくなります」と、中富先生。その結果、寝付きが悪くなったり何度も目が覚めたり、寝ても回復した感覚が得られにくくなる。
5.運動不足
運動不足により筋力が低下すると、ちょっとした動きでも大きな負担に。また、新陳代謝や血流が悪くなることでエネルギーが効率的に循環しなくなり、回復力が下がってしまう。
そのほか、紫外線の浴びすぎによる肌や目のダメージ、喫煙なども疲労の原因になるので注意が必要。
疲れは「溜めず、こまめに回復」を意識しよう
中富先生によると、疲労回復のカギは「十分なエネルギー」と「細胞を酸化から守る」のふたつ。そのふたつを同時に効率よく行うためには、質のよい睡眠をしっかり取り、疲れを溜め込む前にこまめに回復することがもっとも重要だそう。日中にほどよい運動をすると夜しっかり眠れるようになるほか、運動には脳の細胞をリフレッシュする効果もあるというからぜひ取り入れたい。
「多忙でなかなか難しいという場合には、手軽なサプリメントもおすすめです」と、中富先生。例えば還元型コエンザイムQ10は、高い抗酸化作用があるだけでなく、体内のエネルギー産生をサポートできるサプリメント。疲労回復用のサプリとして、ナカトミファティーグケアクリニックでも処方しているのだとか。
また、森林浴や波をながめるなど、自然の中で脳を休めたり、マッサージで筋肉をほぐすのも質のよい休息につながるそう。
「あと少しがんばろう、と疲労感を麻痺させる行動はできるだけ控えて、こまめな休憩で疲労を溜めないようにしましょう」(中富先生)
教えてくれた人
中富 康仁さん
ナカトミファティーグケアクリニック院長。脳科学、慢性疲労症候群専門医。大阪市立大学 疲労クリニカルセンターを経て、2014年よりナカトミファティーグケアクリニック院長。慢性疲労に関する臨床研究と診療経験をもとに、現代人に多い疲労の悩みを通して日々患者の健康をサポートしている。
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WRITING/ATSUKO HABU