コロナの影響でスマホやPC作業の時間が長くなった人は約6割
オズモールのアンケートによると、目の悩みを抱えている人は、約97%。つまり、ほとんどの人が何かしらの目の症状に悩まされているということになる。具体的な症状では、「目の疲れ」が最も多く、「視力低下」「小さな文字が見えにくい」「目の乾燥」「目のかすみ」と続いた。一方、コロナ禍でスマホやタブレット、PCを見る時間が長くなったという人は約60%。平日はPCの場合、1日7~8時間、スマホやタブレットの場合、1日2~3時間見ているという人が最も多かった。合わせると平日は10時間以上も電子機器によって目を酷使している人がいることになる。目の疲れを感じるのは、当然と言えるかも。
コロナ禍での変化については「人と会わない分、スマホを見る時間が増えて、目が慢性的に疲れている」という声が目立った。PC作業については「在宅勤務だと机の高さや照明など環境が整っていないので視力が落ちた」「会社から在宅用に貸与されているPCがノート型なので画面が小さく目が疲れる」「テレワークだと雑用がなくなってPC作業に集中できる分、目の乾燥や疲労を強く感じるようになった」といった声も。
疲れ目は「血」の不足が原因に。ニンジンや黒きくらげで補おう
PCやスマホの画面など、目から近い距離のものを長時間見ると、ピントを合わせるために目の筋肉が収縮し続け、目が疲れることに。また、集中して画面を見ることで、まばたきの回数が減り、ドライアイを引き起こすことも。PCやスマホを見る時間を減らすこと、目を休ませる時間をもつことが一番の対策ではあるけれど、現実的には難しいことも。また、すでに目の疲れによってさまざまな症状に悩まされていると、休ませるだけでは解決しない場合もある。
「漢方では、疲れ目は全身に栄養や潤いを供給する『血』が不足した状態と考えます。目を酷使することで『血』が消耗することなどが原因になります。『血』を補うニンジンや黒キクラゲを意識してとるのがおすすめです」(岸さん)
ニンジンに豊富に含まれているカロテンは脂溶性なので、油と一緒に摂取すると、吸収率が高まる。きんぴら炒めなど、油を使う料理で活用して。黒キクラゲは眼球の熱を鎮めるので、目の炎症などにも効果を期待できる。漢方では黒キクラゲのほか、黒ゴマや海苔、昆布、ワカメなどの海藻類といった黒い食材は、体の黒い部分(眼球など)の働きを補うと考えられているそう。
「夜更かしは『血』を消耗して疲れ目を助長することになるので、目の疲れを感じているときには特に早めに寝るようにしましょう」(岸さん)
在宅ワークのお供に「菊花茶」を飲んで疲れ目を予防
また、漢方では人間の体を「五臓」といって「肝・心・脾・肺・腎」の5つに分けてとらえるけれど、目は「肝」と関わると考えられている。
「『肝』は『血』の貯蔵庫なので、肝の機能が低下すると血も不足します。また、肝は自律神経を調整する作用があり、涙の分泌は自律神経にコントロールされているので、肝の働きが乱れると、涙の分泌が低下し、ドライアイを引き起こす可能性があります。肝の働きを整えるには、ストレスをためないこと、肝に関わる食材をとることが大切です」(岸さん)
肝の働きに関わる食材は、クコの実や菊を乾燥させた菊花(きくか)。クコの実は古くから滋養強壮の食材として利用されていて、目の疲れを取り除いて、視力を回復させる効果が期待できる。スープや炒め物、おかゆ、ヨーグルトなどにとり入れて。また、菊花はお茶の原料として知られている食材。PC作業のお供に菊花茶を飲むのもおすすめ。
目の疲れは、ドライアイや目の充血、目のかすみなど目の症状だけではなく、頭痛や肩こりを引き起こすことも。放置せずに早めに対策して改善しよう。
教えてくれた人
岸直美さん
漢方専門店「ニホンドウ漢方ブティック薬日本堂 青山店」薬剤師・漢方相談員。漢方薬から和漢ブレンドティ、スキンケアまで、からだの内外からのトータルケアを提案している。店舗は全国に展開し、同店は東京・青山エリアに2021年1月25日ニューオープン。
【特集】プチ不調や身体の悩みを解消!すこやかなココロとカラダへ
毎日がんばる働く女性にプチ不調や悩みはつきもの。そこでみんなが気になる健康法やグッズ、食材やドリンク、悩みの解決法やメカニズム、取り入れたい習慣などを専門家やプロのお話しとともにご紹介。自分のココロとカラダに向き合って、健やかに私らしく。オズモールはそんな“働く女性の保健室”のような存在をめざします
こちらもおすすめ。ヘルスケアNEWS&TOPICS
WRITING/AKIKO NAKADERA