肩こりや頭痛、胸や脇の張りは心が緊張しているサイン
心の状態は目に見えないため、なかなか不調に気づけないことも。ところが東洋医学では、心と体は密接につながっていると考えており、体に現われている変化から、心の不調を読み取ることもできるのだそう。
例えば、次のような症状がひとつでも当てはまる場合、心が緊張しやすく、情緒不安定になりやすい傾向があるのだとか。
□肩こりや頭痛が起こりやすい
□胸や脇、お腹が張りやすい
□月経痛や月経不順が起こりやすい
「こうした体の症状は、ストレスや過労などの影響で気(き=エネルギー)のめぐりがつまっているときに起こりやすくなります。その場合、強い緊張感やイライラ、ちょっとしたことでカーッと怒るなどの心の症状も現れやすいのです」(岸さん)
このタイプは、ペパーミントやカモミールなどのアロマを活用すると心のケアになるのだとか。ハンカチなどにアロマオイルを数滴たらしておき、イラっとしたときに香りをかぐと気分が落ち着くはず。
さらに、「労宮(ろうきゅう)」のツボ押しをすると、気のめぐりが促進されて不安定な心が落ち着きやすくなる。手をギュッとにぎったときに、手のひらと中指と薬指の先があたる場所が労宮のツボで、息を吐きながら反対の手の親指で10秒押し、これを10回繰り返して。反対の手も同様に。緊張感やイライラを感じたときは、このツボを押してみよう。
不眠や動悸、めまいが現れるときは不安感に襲われやすい
ストレスを受けたときに、強い不安感や集中力の低下、もの忘れなどが現れる場合もある。こうした心の不調は、次のような体の不調がひとつでも見られるときに起こりやすいという。
□不眠気味、または夢をよく見る
□動悸やめまいが起こりやすい
□のぼせやすい
「神経が細やかでいろいろなことに気を使いすぎるため、気や血(けつ≒血液)を消耗している状態です。気や血は夜に作られるので、夜ふかしをしないことや夜はリラックスして過ごすことが大切なケアになります」(岸さん)
アロマでケアするなら、精神を落ち着かせるラベンダーやジャスミンを活用して。アロマバスや、マッサージオイルに数滴加えて手のひらから腕にかけてマッサージするのがおすすめ。
また、精神を安定させる「神門(しんもん)」のツボ押しもこのタイプに効果的。手首のシワの小指側にある小さな丸い骨の真下にあるくぼみがそのツボで、反対の手の親指で6秒間押しもんでみて。左右10回ずつ行おう。不安なときやドキドキするときのケアになるほか、夜寝る前に行うと安眠にもつながる。
昼間によく眠くなる人は悩みやすくやる気が出ない傾向が
心の調子が悪くなると、くよくよと思い悩む、気力がわかない、外出したり人に会ったりするのがおっくうになるといった傾向が現れる人も。このタイプは、胃腸機能が低下しているために食べたものから気が十分に生成されず、脳がエネルギー不足になっている可能性が高そう。この場合、体には次のような不調がよく見られる。
□食欲がない
□胃が重たい
□昼間によく眠たくなる
「胃腸が弱っている人は心が元気不足になりやすく、やる気が出ない傾向が見られます。胃腸の調子を整えて三食をしっかりと食べるようにすると、心の不調が起こりにくくなるでしょう」(岸さん)
やる気が低下したり、昼間に眠くなったりしたときは、頭をスッキリさせるレモンやローズマリーのアロマを取り入れてみて。お湯の入ったマグカップに精油を数滴たらして香りをかぐと、脳の働きが活性化してシャープな状態になるはず。
また、アロマの香りをかぎながら「百会(ひゃくえ)」のツボ押しをすると、頭の気のめぐりが促進されてさらにすっきり。頭頂部のほぼ中央(両耳の上端を結ぶ線と眉間の中央から延ばした線が交わるところ)に両手の中指を重ねてあて、6~10秒押そう。これを10回繰り返して。
心と体はつながっているからこそ、体をいたわることが心のケアにもつながる。日頃から体の変化に注意を向け、アロマやツボ押しなどでケアをして心の不調を取り除こう。
教えてくれた人
岸直美さん
漢方専門店「ニホンドウ漢方ブティック 青山店」薬剤師・漢方相談員。漢方薬から和漢ブレンドティ、スキンケアまで、からだの内外からのトータルケアを提案している。店舗は全国で11店舗展開し、同店は東京・青山エリアに2021年1月25日ニューオープン。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO