体の表面を巡る気(エネルギー)が風邪から体を守っている
免疫力とは、病原体が体内に侵入したときに発症を防ごうと抵抗する力のこと。東洋医学では、風邪などに対する免疫力は体の表面を巡っている気(き=エネルギー)の強さが関係しているといわれている。
「風邪の原因物質が鼻や口、皮膚などから侵入すると、最初に体の表面を巡る気を攻撃します。この気が体を守るバリアとなって風邪と闘うのですが、気の働きが弱かったり、気の量が少なかったりすると守りきれず、風邪を引きやすくなるのです」(成田さん)
風邪に対する免疫力を高めるためには、この体の表面を巡る気の力を強くすることが大切。もち米、玄米、キノコ類、山芋、ホタテ、鶏肉、サツマイモ、牛乳、梅などを積極的に食べると、体の表面を巡る気の力が強化されるのだそう。特にこれからの時季は、日々の食事に取り入れることを意識してみて。
免疫力を整えるには体力を充実させることも大切
ただし、免疫力には体の表面を巡る気だけではなく、体力を充実させることも欠かせないのだと、成田さん。体力が充実している人ほど免疫力は強い傾向があり、風邪を引きにくく、引いても軽くて治りやすいのだそう。
そのためにまず意識したいのは、日頃から睡眠と食事、ストレスに気をつけるという基本的なこと。
「睡眠に関しては、だるいときやなんとなく調子が悪いというときは早く寝ること、休日平日問わず毎日決まった時間に起床すること、朝起きたら日光を3分ほど浴びることを意識するといいでしょう」(成田さん)
食事に関しては、なにを食べるのかと同じぐらい、食べ方も重要なポイントに。特に、おなかが空いていないのに無理に食べたり、食べすぎたりすることは体力や免疫力の低下にもつながるのだそう。過食は胃腸に負担をかけるため、胃腸の機能が低下して食べものから栄養を吸収する力が弱くなってしまうためなのだとか。体力を充実させるためには、胃腸の負担にならないようによくかんで食べることと、胃腸を冷やさないように温かい食事を中心にすることも大切。
秋の風邪と冬の風邪は原因も症状も異なる
風邪は季節によって症状が変わることも多く、対処法も異なるのだと成田さん。特にこの時季は、秋に引く「秋風邪」と、冬に引く「冬風邪」に注意したいところ。
秋風邪は皮膚や呼吸器官などが乾燥して発症することが多く、のどの渇きや痛み、空咳(からせき=たんの出ない乾いた咳)などが起こりやすい。一方、冬風邪は体が冷えて発症するものが多く、悪寒、発熱、頭痛、腹痛、下痢などが生じやすくなる。
「秋風邪には潤いを補う梨、柿、リンゴ、ビワ、はちみつなど、冬風邪には体を温めるショウガ、シソ、ネギ、ニラ、唐辛子、黒砂糖などが予防や緩和を助けます」(成田さん)
こうした風邪をまとめて予防するには、紅茶やプーアール茶などの体を温める性質を持つお茶に、潤いを補うはちみつと、体を温めるショウガのすりおろしを加えた「はちみつショウガ茶」を飲むことがおすすめ。ショウガはチューブ入りのおろしショウガでもOKなので、手軽に続けられるはず。
「免疫力は、疲れているときやストレスがたまっているとき、体が冷えているときなどに弱くなりやすいものです。こうした状況のときははちみつショウガ茶を飲むことを習慣づけると、風邪を引きにくくなるでしょう」(成田さん)
コロナやインフルエンザなどの感染症対策が気になる状況だからこそ、風邪も引かないようにしっかり対策をしたいところ。食事をはじめとする生活習慣を今一度見直してみて。
教えてくれた人
成田かおるさん
漢方ビューティブランド「カガエ カンポウ ブティック日本橋髙島屋S.C.店」店長、漢方カウンセラー。同店にて、漢方薬からハーブティ、スキンケア、アロマまで、からだの内外からのトータルビューティケアを提案している。店舗は東京(上野・日本橋)、仙台、名古屋、京都で展開し、商品は銀座ロフトでも取り扱い中。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO