西洋薬は症状で選び、漢方薬は体質で選ぶ
漢方薬は、東洋医学の理論にもとづいて植物や動物などの自然由来の原料で作られた薬。一方、西洋薬は化学的に成分が合成されて作られている薬。この両者の大きな違いとはなに?
「西洋薬はひとつの有効成分が効果的に働くように作られているため、特定の症状に対する即効性が期待できます。例えば、風邪を引いたら風邪薬、便秘のときは便秘薬というように、“症状で選ぶ薬”ともいうことができます。対する漢方薬は、体のバランスを整えることで体の治癒力を高めて症状を改善する薬。同じ風邪でも、熱体質の人と冷え体質の人では選ぶ薬が変わることがあり、“体質で選ぶ薬”といえるでしょう」(成田さん)
つまり、特定の症状をすばやく治したいときは西洋薬、体質を整えて自然治癒力や免疫力を高めたいなら漢方薬、と考えてみるとわかりやすそう。どちらにもメリットがあるので、状況に応じて上手に使い分けてみよう。
「なんとなく不調」「原因不明の不調」は漢方薬の得意分野
成田さんによれば、漢方薬をおすすめしたいケースは大きくふたつあるのだそう。
まずひとつは、「なんとなくつらい」状態のとき。
「なんとなくだるい、なんとなく元気が出ないなどの不調は、健康な状態から病気へと進行する一歩手前の『未病(みびょう=病気未満の状態)』の状態と考えられます。漢方薬は、こうした未病を改善したいときにおすすめです。未病に西洋薬で対処するのは難しいですが、漢方薬なら強い味方となってくれます」(成田さん)
もうひとつ、調子が悪いのに検査をしても異常が見つからないなど、原因不明の不調があるときにも漢方薬が助けになるのだとか。
「西洋医学では、病名が診断されないと適切な治療方針が立てられず、薬も処方できません。しかし東洋医学の場合、病名ではなく体質に着目するため、たとえ病名が定かでない場合でも、漢方薬で体質を改善することで症状が緩和されることも多いのです」(成田さん)
親身にカウンセリングしてくれる専門家に相談して選ぼう
このように漢方薬とは“体質で選ぶ薬”であるため、選ぶ際には体質診断が欠かせない。この体質診断は、専門家に行ってもらうことが基本だと考えて。
「薬局やクリニックなどで漢方相談をする際は、漢方の知識が豊富で、親身になって話を聞いてくれ、体質診断をしてくれる専門家がいるかどうかが重要です。今抱えている不調についてはもちろん、普段のライフスタイルや食生活などについても細かく聞いてくれる専門家が理想的ですね」(成田さん)
漢方相談をする際は、いちばん気になっている不調はなにか、その不調はいつからどの程度続いているか、その不調によってどんなつらさがあるのかを、事前にメモしてまとめておくとスムーズに相談しやすいのだとか。
また、薬局や病院に出向くのが難しい場合は、オンラインで薬剤師や医師に漢方相談をできるサービスもあるので、利用してみるのもおすすめ。
なお、質問に答えることで自動的に体質診断ができ、おすすめの漢方薬が紹介されるコンテンツもあるけれど、専門家のカウンセリングに比べると処方の正確さは十分とはいえないそう。もし、そうしたコンテンツですすめられた漢方薬を飲んでも調子がよくならなかったり、体調に異変が現れたりした場合は、すぐに服用をやめて医師や薬剤師に相談して。
漢方薬を上手に使えば、不調になりにくい体質に改善することもできそう。ぜひ一度、気軽に薬局などで相談をしてみて。
教えてくれた人
成田かおるさん
漢方ビューティブランド「カガエ カンポウ ブティック日本橋髙島屋S.C.店」店長、漢方カウンセラー。同店にて、漢方薬からハーブティ、スキンケア、アロマまで、からだの内外からのトータルビューティケアを提案している。店舗は東京(上野・日本橋)、仙台、名古屋、京都で展開し、商品は銀座ロフトでも取り扱い中。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO