食べすぎると胃の中の気が逆流して食欲不振に
東洋医学では、胃腸トラブルの原因は「冷え」「ストレス」「虚弱体質」「食べすぎ」などに大別され、それぞれ対処法が異なるのだとか。このうち、「食べすぎ」による胃腸トラブルは、過剰な飲食物が胃の中で消化しきれずに停滞しているために、胃腸の気(=エネルギー)の巡りが滞って起こるもの。
「胃の中の気の流れは、下向きに流れるのが正常な状態ですが、食べすぎるとこの流れが詰まり、上向きに逆流してしまいます。げっぷ、しゃっくり、吐き気、食欲不振などは、胃の中の気の逆流によって起こる現象と考えられています」(上之原さん)
こうしたときにいい食材は大根で、胃に停滞した飲食物の消化を促進して、胃の中の気の流れを下向きに整えることが期待できるのだそう。食べすぎた日の翌朝は、おかゆに大根おろしを添えるなど軽めの食事がおすすめ。
「そのほかの身近な食材では、キャベツやリンゴも消化促進が期待できるので、食べすぎをリセットしたいときに取り入れるといいでしょう」(上之原さん)
食べすぎをリセットする、大根とミカンの皮の漬物レシピ
こうした身近な食材にプラスするとさらにいいのが、「陳皮(ちんぴ)」。ミカンの皮を乾燥させたもので、すっきりとした香りで気の巡りをよくして胃腸の働きを助けるのだそう。古くから漢方薬の原料にも使用されていて、漢方薬局専門店や一部スーパーなどで購入できる。家庭で作る場合は、ミカンの皮をよく洗い、へたを取って細かく刻み、ザルなどに広げて天日で約1週間乾燥させれば、食用に使える。
「食欲がないときや吐き気がするときなどは、陳皮を温かいお茶に少量入れて飲んだり、スープやおかゆに入れたりするのがおすすめです」(上之原さん)
陳皮は、大根と組み合わせて取ると両方の働きが期待できるのだと、上之原さん。そこで、この2つを使った簡単レシピを教えてもらおう。
●大根とミカンの皮の浅漬け
<材料>
大根 8cm、陳皮 小さじ1、昆布 4cm角1枚、塩 大さじ1/2、水 100ml
<作り方>
(1)昆布ははさみで細切りにする。大根は短冊切りにする。
(2)大根をビニール袋に入れ、塩と水を入れ、ビニール袋の空気を抜いて口を縛る。そのまま10~15分漬ける。
(3)ビニール袋の口を開け、水を捨てて水分を切り、陳皮と昆布を袋に入れて大根と混ぜる。その後、ビニール袋の空気を抜いて口を縛り、一晩冷蔵庫に置く。
飲み会が続きがちなこの季節は、この浅漬けを冷蔵庫に常備してこまめに食べるよう心がけてみて。
お腹が張って苦しいときは「商丘(しょうきゅう)」のツボを押そう
食べすぎた直後は、お腹がパンパンに張って苦しくなり、動くのもつらい・・・なんてことも。そんなときにすぐできる対処法としておすすめなのは、内くるぶし近くにあるツボを押すこと。「商丘(しょうきゅう)」と呼ばれるこのツボは消化不良の緩和にいいとされ、内くるぶしの前、少し下にあるくぼんだ部分にある。ここを左右ともに親指で1回6秒、10回繰り返して押してみよう。
「商丘は胃腸の働きを助けるツボで、腹部の膨満感や吐き気などがあるときにおすすめです。また、食欲不振や乗り物酔いの緩和にも役立ちます」(上之原さん)
胃腸がフル稼働しつづけるこれからの季節、食べすぎたかもというときは、こうしたリセット方法を取り入れて胃腸をいたわって。
教えてくれた人
上之原静佳さん
薬剤師、漢方カウンセラー。漢方と香りを融合した漢方ビューティブランド「カガエ カンポウ ブティック 日本橋髙島屋S.C.店」にて、漢方薬からハーブティ、スキンケア、アロマまで、からだの内外からのトータルビューティケアを提案している。店舗は東京(上野・日本橋)、仙台、名古屋、京都で展開し、商品は銀座ロフトでも取り扱い中。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO