冬は春に向けてエネルギーを蓄える季節
寒くなると体がちぢこまり、外に出かけるよりも家でぬくぬく暖かくして過ごしたいと思う人が多いのでは?
「冬になると植物は葉を落とし、活発に動く生き物も少なくなってきます。漢方では人も同じように、冬にはエネルギーを発散せずに体に蓄え、気持ちや考えを外に出さずに静かに暮らすことが大切だと考えます。冬にエネルギーを蓄えられないと、春になって季節の変化に対応できず、手足が冷えたままで気力も湧きにくくなるのです」(上之原さん)
エネルギーを蓄えるために重要なポイントとなるのが、〝睡眠″。冬はどの季節よりも睡眠の時間が大切なのだそう。
「漢方では、冬は“早寝遅起き”によってエネルギーが蓄えられると考えます。太陽が上る前の時間は体を冷やすので、太陽が上って光が射すのを待ってから起きるのがよいとされているのです。仕事で早く起きなければならない人でも、朝はできるだけ暖かくして、夜は早く眠ることを心がけましょう」(上之原さん)
冬の食事制限ダイエットは体を冷やすので要注意
エネルギーを蓄えるためには、もちろん食事も重要。冬は体温を上げるためにも、夏よりエネルギーが必要なのだとか。そのため、過度な食事制限を伴うダイエットでエネルギー不足になると、体温が上がらず、体が冷えてしまうそう。
「漢方の考えでは、冬にダイエットをするのは向いていません。しっかりと栄養を取ることが大切です。また、食べ物や飲み物で体を内側から温めることも意識して。温かいスープや鍋料理のほか、体を温める食材を積極的に取るようにしましょう」(上之原さん)
体を温める食材といえば、ショウガ、ニンニク、長ネギが知られているけれど、そのほか羊肉、鶏肉、エビ、タマネギ、ニラ、カボチャ、クルミもよく、中でも寒さの厳しい場所が産地の羊肉は、よりその働きが強いそう。
エネルギーを消耗する激しい運動は冬には不向き
冬はせっかくとり込んだエネルギーを、できるだけ消耗しないように過ごしたいもの。
「激しい運動はエネルギーを消耗するので、漢方では冬には控えたほうがいいと考えます」(上之原さん)
冬に体を動かすなら、ウォーキングやヨガなど体力を消耗し過ぎない運動が向いているかも。汗で蓄えたエネルギーが一緒に出ていってしまうので、かきすぎないほうがいいそう。
「厚着をして暖房の効いた部屋にいると、暑くて汗をかいてしまうことも。温度の調節がしづらい外出先では脱ぎ着しやすい上着を用意するなど、衣類を工夫しましょう」(上之原さん)
これからの時季は無理をせず、穏やかに過ごすことで体調が整い、冷えや風邪の予防につながるのだそう。エネルギーを蓄えることを意識して過ごしてみて!
教えてくれた人
上之原静佳さん
薬剤師、漢方カウンセラー。漢方と香りを融合した漢方ビューティブランド「カガエ カンポウ ブティック 日本橋髙島屋S.C.店」にて、漢方薬からハーブティ、スキンケア、アロマまで、からだの内外からのトータルビューティケアを提案している。店舗は東京(上野・日本橋)、仙台、名古屋、京都で展開し、商品は銀座ロフトでも取り扱い中。
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WRITING/AKIKO NAKADERA