私たちの食卓に日々並ぶ「和食」は食事の“バランス”が秀逸!
「和食は健康にいい」とよく言われるけれど、なぜそうなのか、実はよく知らない人も多いのでは?
「日本人が毎日食べている和食は、一汁三菜を基本とした主食、主菜、副菜がそろったスタイルで、食事全体としてのバランスがいいのです。主食は炭水化物など体と脳のエネルギー源となるもの、主菜は体を作るもので肉や大豆、魚などのたんぱく質などが中心。副菜は、体の働きを整えるビタミンやミネラル、食物繊維を多く含んでいます。ご飯を中心として、3つの要素をとるこの食事のスタイルが、健康的に暮らすために実は大切と考えられています(※)」と米倉さん。栄養学に詳しくなくても、3つの要素を意識して取り入れることで、栄養のバランスが自然と整いやすい、というのは大きなメリットと言えそう。
偏った食品だけを食べるダイエットの危険性は、かなり浸透し、知っている人も多くなっているはず。健康のために必要ことは、必要な栄養素を無理なく偏りなくとること。身近すぎて見過ごしがちだけど、日本の伝統的な食事スタイルは、栄養学的にも利にかなっているよう。
※農林水産省「日本型食生活」のススメによる
「だし」を使って、おいしく減塩。発酵食品も手軽に毎日の食生活で活用
和食のもうひとつの特徴は「だし」。「だし汁をうまく使うことで、塩分の摂りすぎを防ぐ効果もあります。上手に使うことで、おいしくなるだけでなく、家族全体の健康管理にも役立ちますね。また、昆布や椎茸などの乾物は、干すことでビタミンDも増し、おいしさと栄養も楽しめます」と米倉さん。切干大根もおすすめなんだとか。水に戻しておいてそのまま味噌汁にすると、いいだしが出て味噌の量を減らせるそう。
「味噌汁に使う味噌や醤油などの調味料、漬物や納豆などの発酵食品も手軽に使える和食の1品ですね。漬物などは日持ちもするので、自分で漬けることができなくても、スーパーやコンビニなどで買って常備しておくのもおすすめです」(米倉さん)。難しく考えず、和食ならではの素材を、もう一度見直してみては?
旬の食材は栄養価も高い!「食事しよう」という気持ちの切り替えも実は大切
ほかにも、日々の生活に取り入れられることは?
「和食は季節感を大切にしますよね。旬のもの、その季節の野菜や魚などは、おいしいだけでなく、栄養価も高いと言われています。料理するのが難しい人も、外食のときに、旬の食材を選ぶようにするなどしてみては?」(米倉さん)。特にこれからの時期、秋から冬にかけては、脂がよくのっている魚も多いので、EPAやDHAといった不飽和脂肪酸の摂取も期待できそう。新米やキノコなども出てくるので、より和食を食べたくなりそうだ。
「また、食事のときにはランチョンマットを使ってみるのもおすすめです。たとえコンビニで買ってきた食事だとしても、PCのまえでそのまま片手で食べるのではなく、ランチョンマットだけでも敷いて食べる。『食事しよう』という気持ちの切り替えができます」と米倉さん。毎回はできなくても、できるときには食事をしっかり味わう、メリハリをつける気持ちは、心に留めておきたい。
「食事には『これが正解』というものはありません。嫌いなものや口に合わないものを食べても続きませんよね。また、健康を意識したい場合、自分なりに無理なく、長く続けられる食事スタイルを持つことが大切です。和食を中心とした食卓で、楽しく、おいしく、バランスよく食べる。自分なりに実践できる形を見つけたいですね」(米倉さん)。
教えてくれた人
米倉れい子さん
株式会社 食STORY代表。管理栄養士。スポーツ選手や運動愛好家、ビジネスパーソンなどを中心に、スポーツと食を絡めた日々の体調管理やパフォーマンスの向上、健康的な食生活の実践方法などを紹介。また、2008年から約10年間、厚生労働省において栄養・食生活に関する施策の企画立案や推進を担当した経験を踏まえ、現在は、食品企業等を中心に、栄養成分表示の作成支援にも力を入れている。
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WRITING/HIROKO KUROKI