30代後半から増加!乳がんを見逃さないための検査の種類や頻度は?
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30代後半から増加!乳がんを見逃さないための検査の種類や頻度は?

更新日:2020/09/03

毎年10月は、乳がんについての啓発キャンペーンが世界的に多く実施されるピンクリボン月間。乳がんは日本人女性の11人に1人はかかるといわれている身近な病気なので、乳がん検診を定期的に受けていない人はこの機会に検診を受けよう!

30代後半から増えはじめ、40代後半と60代の2つの年代にピークが。

30代後半から増えはじめ、40代後半と60代の2つの年代にピークが!

女性がかかるがんの中で、最も多いのが乳がん。ただし、がんの死亡原因では第5位。ということは、乳がんは早期で見つかれば治る確率が高いということ。自覚症状がないうちから早期に見つけるために、定期的に乳がん検診を受けることが大切というわけ。

乳がんの発症年齢はほかのがんと比べると若く、30代後半から増えはじめ、40代後半でかかる人が最も多く、最近では60代でもう一度増える傾向に。自治体では、40歳以上を対象に2年に1回のマンモグラフィを実施し、対象であれば無料または少額で検診を受けられる。

高濃度乳房の人はマンモグラフィ+超音波検査の併用がおすすめ

高濃度乳房の人はマンモグラフィ+超音波検査の併用がおすすめ

オズモールのアンケートで、乳がんについて知りたいこと、不安に感じていることを調べたところ、“検診の頻度”と答えた人が多かった。特に「年に1回検診を受けているけれど、その間に発症しないか不安」(SVさん/40代・会社員)、「検診を受けていても見逃されることはあるの?」(月さん/40代・会社員)といった声が目立った。

そもそも自治体で実施している検診が2年に1回なのは、それくらいの間隔であれば、たとえがんが見つかってもほとんどの場合は早期の段階で発見できる可能性が高いと考えられているから。

「ただし乳房の状態やリスクは実際は1人ひとり異なります。自分の乳房の状態に適した検査方法で、検診を受けているかどうかがポイントです」
そう話すのは乳腺専門医の島田菜穂子さん。

「乳房は乳腺と脂肪からできていますが、若いうちは乳腺の割合が多い『高濃度乳房』の人が多く、年齢とともに脂肪の割合が多い『脂肪性乳房』に変化していきます。ただし、日本人は欧米人に比べて高濃度乳房の人が多く、40代でも半数くらいは当てはまります」

マンモグラフィの検査の場合、乳腺の割合が多いと全体が白く映り、同じく白く映るがんのしこりが紛れてしまうことに。
「検診を受けた際に『高濃度』もしくは『不均一高濃度』と診断された人は、次回からはマンモグラフィと超音波検査を併用することをおすすめします」(島田さん)

超音波検査は手に触れる前の小さなしこりを見つけることができるけれど、乳がんの初期症状である乳房の石灰化を映し出すのが不得意。一方マンモグラフィは、乳房の石灰化を映し出せるのが特長。石灰化に関しては高濃度乳房の人でも映るので、2つの画像検査を併用すれば十分な検査を受けられる。

検診の間隔を短くしたほうがいい人とは?

検診の間隔を短くしたほうがいい人とは?

なかには2年に1回よりも短い間隔で検診を受けたほうがいい人も。

「頻度は高くないですが、遺伝性乳がんの人は通常より若い年齢で発症しやすく、進行が速いタイプの乳がんが発生する傾向があるので、短い間隔で検診を受けたほうがいいこともあります。乳房にいつもと違うような異常を少しでも感じたら、次の検診日まで待つのではなく、すぐに受診してください」(島田さん)
血縁者の中に閉経前に乳がんや卵巣がんになった人が複数いたら、遺伝性の可能性があるので、定期検診の頻度などを医師に相談して。
また、不妊治療などでホルモン剤を服用している人も、検診の間隔には注意が必要だそう。

「乳がんの約8割は女性ホルモンを栄養にして成長します。ホルモン剤を服用していると乳がんの進行を早める可能性があるので、服用を開始する前には必ず乳がん検診を受けてがんではないことを確認し、使用中も必ず定期検診を受けましょう」(島田さん)

教えてくれた人

島田菜穂子さん

ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長。乳腺専門医としてクリニックで診療するかたわら、認定NPO法人乳房健康研究会副理事長として、ピンクリボン運動をはじめ乳がんに関する正しい情報の発信と死亡率低下に貢献するための活動を積極的に行っている。

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正しい知識を身に付けて、乳がんから自分のカラダを守ろう

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WRITING/AKIKO NAKADERA

※記事は2020年9月3日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります