気候が陽から陰に切り替わる秋分の前後は、寒暖差が激しい
東洋医学では、1年の中で気温の高い春や夏を「陽」、気温の低い秋や冬を「陰」とし、春分から秋分までは“陽の季節”、秋分から翌年の春分までは“陰の季節”ととらえるのだそう。そして、気候が陽から陰へと切り替わる秋分前後は、暖かい日もあれば急に冷え込む日もあるなど寒暖差が激しいのが特徴。
「外気の寒暖差に体が対応できないと、くしゃみや鼻水、鼻づまり、じんましんなどの皮膚トラブル、ゾクゾクとした風邪のような症状などが見られることも。これは夏に体力を消耗したために抵抗力が低下していることが一因と考えられるので、寒さが本格的になる前に、今のうちからケアしておきましょう」(上之原さん)
体の抵抗力を高めるためにこの時期に取り入れたいセルフケアのひとつが、乾布摩擦なのだとか。皮膚を刺激することで自律神経のバランスが整い、体のバリア機能が強化されて呼吸器トラブルや風邪などの予防につながるのだと、上之原さん。
「皮膚を傷つけないように、やさしい力でこすってください。服の上からでもOKです。オイルを使いマッサージするのもおすすめです」(上之原さん)
辛味食材で寒暖差に対する抵抗力を高めよう
寒暖差に対する抵抗力を高めるために、上之原さんが食事面でおすすめするのは、ショウガ、ネギ、シソなどの辛味食材。これらの食材が持つ辛味には、体を温めて発汗を促し、風邪の原因を体外に発散して抵抗力を補うことが期待できるという。
「スープやおかゆなどの温かい料理にこれらの食材をプラスして、できるだけ毎日取るように意識すると、抵抗力が高まるでしょう」(上之原さん)
ただし、トウガラシや山椒などの辛味の強すぎる食材は、取りすぎると体に必要な水分まで発散してしまうことが。秋は乾燥しやすく潤いが必要な季節なので、刺激の強いこれらの食材はほどほどにして。
冷気の侵入口「風門(ふうもん)」のツボをドライヤーで温めて
東洋医学では、外気の寒暖差が激しいと急な冷え込みによって冷気が体内に侵入しやすく、その冷気は「風門(ふうもん)」というツボから侵入して風邪を引き起こすと考えられている。風邪の引きはじめに背中がゾクゾクするのは、風門から冷気が体内に入り込んでいるサインなのだそう。
「寒暖差に対する抵抗力を高めるには、風門のツボをしっかりと温めて冷気を体内に侵入させないこともポイントです」(上之原さん)
風門は、首を前に曲げたときに首筋に出っ張る骨から2つ下の背骨を見つけ、そこから指2本分右と左、2箇所にあるツボ。ドライヤーの熱風をこの風門に当てて温めると、冷気が体内に侵入しにくくなるという。お風呂上がりの髪を乾かすタイミングなら、手軽に実践できるはず。
この時期の寒暖差に負けず、これからどんどん寒さが増す“陰の季節”を元気に過ごすためにも、体の抵抗力アップを意識してみて。
教えてくれた人
上之原静佳さん
薬剤師、「カガエ カンポウ ブティック日本橋髙島屋S.C.店」漢方カウンセラー。漢方と香りを融合した漢方ビューティブランド「カガエ カンポウ ブティック」にて、漢方薬からハーブティ、スキンケア、アロマまで、からだの内外からのトータルビューティケアを提案。
【特集】プチ不調や身体の悩みを解消!すこやかなココロとカラダへ
毎日がんばる働く女性にプチ不調や悩みはつきもの。そこでみんなが気になる健康法やグッズ、食材やドリンク、悩みの解決法やメカニズム、取り入れたい習慣などを専門家やプロのお話しとともにご紹介。自分のココロとカラダに向き合って、健やかに私らしく。オズモールはそんな“働く女性の保健室”のような存在をめざします
こちらもおすすめ。ヘルスケアNEWS&TOPICS
WRITING/TOMOKO OTSUBO