温めるべきか熱を冷ますべきか、早めの判断が大切
東洋医学では、風邪は寒さや暑さ、乾燥といった自然現象の影響が強すぎるときや、体表を守る力が弱っているときに体内に侵入して引き起こされる症状と考えられている。それらが首元から侵入した場合はゾクゾク寒気がする「風寒(ふうかん)」タイプ、鼻や口から侵入した場合はのどのはれや痛み、熱っぽさが主な症状となる「風熱(ふうねつ)」タイプの風邪を引く傾向があるのだそう。
「熱よりも寒気が強い場合は風寒で、寒気を体外に追い出す必要があるため、体を温めることが主な対処法になります。一方、寒気よりも熱っぽさが強い場合は風熱で、熱を取ることが主な対処法に。風邪のタイプによって適切な対処法が異なります」(齋藤さん)
「風邪を引いたかな?」というときは、まずは風寒と風熱のどちらのタイプが見極めて素早く適切な対処を行えば、早めの回復が期待できるはず。
寒気がする風寒タイプは薬膳がゆで体を芯から温めて
風寒タイプの風邪は、背中がゾクゾクする寒気を感じるほか、せき、薄い色の鼻水、頭痛などの症状が現れやすい。
「風寒は1日で違う症状に進んでしまうことも多いので、進行する前に早めに対処することが早期回復のポイントです」(齋藤さん)
対処法としておすすめなのが、体を温める薬膳がゆ。齋藤さんのおすすめのレシピを教えてもらおう。
【薬膳がゆ(2人分)】
◎材料
長ネギ1/2本、ショウガ1かけ、シソ5~10枚、卵1個、サラダ油小さじ1、塩適量、米1/2合
◎作り方
(1)土鍋に水700ccと米、サラダ油を入れて約60分煮込む。
(2)刻んだネギとショウガ、千切りにしたシソを入れて軽く混ぜたら、塩を少々加え溶いた卵を入れてすぐに火を止める。
「ショウガ、ネギ、シソは寒気を体外に追い出す働きを持つ食材です。風寒のときだけでなく、日頃から積極的に取ると風邪予防にもなります」(齋藤さん)
熱が出る風熱タイプは薬膳茶で熱を冷まそう
風熱タイプの風邪は、のどのはれ・痛みのほか、のどが渇く、せき、黄色い鼻水、熱で顔が赤くなるなどの症状が特徴。
「風熱の場合は水分が不足しやすいため、こまめに水分補給をすることが重要です。また、お酒や刺激物は控えましょう」(齋藤さん)
対処法としておすすめなのは、熱を冷ます薬膳茶。そのレシピを紹介してもらおう。
【菊花とミント茶】
◎材料
ミント小さじ1、菊花(乾燥)2g、ウーロン茶小さじ1
◎作り方
材料をすべて急須に入れて、熱い湯を150cc程度入れ、3分待つ。
「この薬膳茶は、味がなくなるまで数回入れて飲んでください。ミントと菊花には熱を冷ます作用があり、風熱の対処におすすめです」(齋藤さん)
こうした方法で早めに適切な対処ができれば、風邪を引きにくい体質に改善することにもつながるのだそう。季節の変わり目の体調管理に活かしてみて。
教えてくれた人
齋藤友香理さん
薬剤師、「薬日本堂漢方スクール」講師。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務め、多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO