ストレスが原因の胃の不調は、ミカンの皮を食事にプラス
年末は心身ともにストレスがたまりやすい時期。よく「ストレスが胃にくる」といわれるように、東洋医学でも胃腸はストレスの影響を受けやすいと考えられている。
「胃腸には食べたものから気（き＝エネルギー）などを作り、全身にめぐらせる働きがありますが、ストレスや緊張、不安感などがあると、この働きが低下して、胃がキリキリ痛む、おなかが張る、膨満感で食欲がなくなるなどの症状が現れやすくなります」（山口さん）
こうしたストレスが原因の胃の不調には、ミカンの皮がおすすめ。ミカンの皮は「陳皮（ちんぴ）」と呼ばれる生薬として、胃腸薬で用いられる漢方薬の原料にも多く使われている。
「温州ミカンの皮をよく洗い、2～3日天日干しにしてください。千切りやみじん切りにして味噌汁やスープに入れたり、サラダにトッピングしたり、塩とブレンドして肉料理や魚料理にふりかけたりと、いつもの食事にプラスして取り入れるといいでしょう」（山口さん）
また、ミカンの皮は入浴剤にしても効果的。ストレスを感じた日は、ミカンの皮のお風呂でリラックスすることも胃の不調予防につながるはず。
食べすぎ＆飲みすぎによる胃痛にはダイコンたっぷりのみぞれ鍋
忘年会やパーティが多い年末は、食べすぎや飲みすぎによる激しい胃痛を引き起こすことも。この胃痛の主な原因は、「胃熱（いねつ）」と呼ばれるもの。
「胃熱とはその名の通り、胃に過剰に熱がこもった状態のこと。アルコールや脂っこいもの、辛いものを取りすぎると、胃熱の原因となります」（山口さん）
胃熱には、熱を取る作用を持つダイコンで対処するのがおすすめ。ダイコンは種が消化を助ける生薬として用いられるほど、薬膳効果が高い食材。最も手軽な食べ方は、ダイコンおろしにしてごはんやおかずと一緒にたっぷり食べることだけど、特にこの季節はみぞれ鍋にして食べると冷え予防にもなるのでおすすめ。
「飲み会がある日は、事前にダイコンを食べておくと胃熱がたまりにくくなります。また、飲み会の席でもダイコンサラダなどを食べるといいでしょう」（山口さん）
食べすぎたり飲みすぎたりした後は、2～3日はダイコンたっぷりの食事や、同じく熱を取るキュウリやトマトを多めに食べて、胃熱を取るように意識して。
疲れによる食欲不振などにはキャベツとジャガイモのポトフを
この時期は仕事で追い込みがかかり、心身に疲労がたまっている人も少なくないはず。こうした疲れも胃の不調となって現れるのだそう。
「心身が疲れると内臓も疲れてしまい、胃腸が消化物をエネルギーに変える力が不足してしまいます。すると、食欲不振や食べてもすぐにおなかがいっぱいになる、おなかを下しやすくなるといった症状が見られるように」（山口さん）
こうした胃の不調によって食事が十分に取れなくなると、ますます疲れやすくなるという悪循環に陥るので、胃腸の気を補う食材でしっかりとケアをして。
「気を補う働きがあるキャベツを積極的に取ってください。キャベツの成分は胃腸薬にもなるほど、胃腸のケアに効果的な食材。ただし生ではなく、必ず温めた状態で食べることがポイントです」（山口さん）
キャベツを加熱した際に出てくる甘みが、胃腸の働きを助けてくれるので、スープや蒸し料理、炒めものなどで取るのが効果的。同じく気を補う食材であるジャガイモと一緒に煮込んだポトフは、特におすすめ。
胃腸の働きは免疫力にも関わるため、風邪を引きやすいこの時期こそ、毎日の食事でしっかりと胃腸のケアをしておきたいもの。目まぐるしい忙しさを乗り切るためにも、胃腸を強化する食材を意識して取り入れて。
教えてくれた人
山口りりこさん
薬剤師、国際中医師、国際薬膳師。銀座の薬膳レストラン「kampo’s」プロデューサー。星薬科大学にて薬剤師免許を取得し、遼寧中医薬大学にて国際中医師、国際薬膳師を取得。漢方薬局勤務をへて、現在は薬膳レストランの監修をメインに商品開発やエステのメニュー監修などに携わっている。自身が監修した、美容の目的に特化した手帳『月・薬膳・ヨガでどんどんきれいになる！ 月美容手帳2019』（エイアンドエフ）が、ロフトほか全国書店で発売中。
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WRITING／TOMOKO OTSUBO
