東洋医学では「二日酔い=水分のめぐりの悪さによる症状」と考える
二日酔いとは、アルコールの取りすぎによって体内の水分のめぐりが悪くなるために起こる症状。体内の水分を潤滑にめぐらせるためには胃腸が重要な働きを担っているけれど、過剰なアルコールで胃腸に負担がかかると、この働きが弱まってしまう。
「水分のめぐりが悪くなると、体内の一部分に水分がたまってしまったり、逆に水分不足になったりして、水分バランスが悪くなります。頭部の水分バランスが悪くなると頭痛やだるさに、消化器系の水分バランスが悪くなると吐き気や胃もたれなどを引き起こします」(山口さん)
特に年末は忙しさで疲れがたまって胃腸が弱り、二日酔いになりやすい時期なのだとか。そこでおすすめしたいのは、漢方薬による二日酔い対策。
「漢方薬というと効き目が穏やかで、長期間飲み続けないと効果がないというイメージがあるかもしれませんが、実は頓服薬としての効果が期待できるものも多いんです。お酒を飲む前や飲んだ後に、二日酔い対策として取り入れてみてください」(山口さん)
むくみやすい人や胃腸が弱い人は「五苓散(ごれいさん)」+ハト麦茶で対策を
普段からむくみやすい、下痢しやすい、アレルギーがある、乗りもの酔いをしやすいといった傾向がある人は、そもそも胃腸が弱くて水分のめぐりがあまりよくないため、二日酔いになりやすい。二日酔い予防としてお酒と一緒に水を飲む人が多いかもしれないけれど、このタイプは冷たい水を飲みすぎるとかえって胃腸に負担をかけて逆効果になってしまうことがあるから、注意が必要。
「お酒を飲む際は必ず水分を取ったほうがいいのですが、胃腸を冷やさないように、できるだけ温かい飲みもので摂取したいものです。また、寝る前にも温かいお湯を飲むと、水分のめぐりが促されて翌日にお酒が残りにくくなります」(山口さん)
さらにしっかりと二日酔い予防をしたい人や、飲んだ翌日のむくみを防ぎたい人は、「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬を食事の30分前に飲んでみて。飲みすぎた場合は、寝る前にも服用しよう。さらに、温かいハト麦茶やコーン茶、アズキ茶も飲めばより効果的。
吐き気やしつこい下痢を伴う人は「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」+ミントティー
激しい嘔吐やしつこい下痢、臭い便が出る、おなかがゴロゴロ鳴るといった症状が見られる人は、胃腸に熱がこもっていることが二日酔いの原因。このタイプは胃の熱をほどよく取りつつ、疲労を回復する効果が期待できる「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」で二日酔い対策をしてみて。
「東洋医学では、体内では常に気(き=エネルギー)がめぐっていると考えますが、嘔吐はその気の流れが逆流しているために起こる症状。半夏瀉心湯は、その気の逆流を下方におろす働きがあります」(山口さん)
飲み方は五苓散と一緒で、特に胃のむかつきや吐き気がひどい場合は、温かいミントティーも飲むといい。
また、すべての人に共通する二日酔い対策のポイントは、飲んだ次の日は無理して朝食を食べないこと。食欲がないのに無理やり食べてしまうと胃腸に負担をかけてしまい、症状を悪化させることに。胃腸の疲れを回復させるためには、すりおろしたショウガを適量溶かした具なしの味噌汁がおすすめ。チューブ入りのショウガでもOKだから、手軽に実践できるはず。胃腸を上手にいたわり、年末を乗り切って!
教えてくれた人
山口りりこさん
薬剤師、国際中医師、国際薬膳師。銀座の薬膳レストラン「kampo’s」プロデューサー。星薬科大学にて薬剤師免許を取得し、遼寧中医薬大学にて国際中医師、国際薬膳師を取得。漢方薬局勤務をへて、現在は薬膳レストランの監修をメインに商品開発やエステのメニュー監修などに携わっている。自身が監修した、美容の目的に特化した手帳『月・薬膳・ヨガでどんどんきれいになる! 月美容手帳2019』(エイアンドエフ)が、ロフトほか全国書店で発売中。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO