ハロウィンの起源は?日本ではいつから流行した?日本ハッピーハロウィン協会に聞いたハロウィンの基礎知識
ハロウィンのイベント・おでかけ特集2023

ハロウィンの起源は?日本ではいつから流行した?日本ハッピーハロウィン協会に聞いたハロウィンの基礎知識

更新日:2023/09/06

秋の行事として、日本でも定着した「ハロウィン」。けれど、ハロウィンの起源や、合い言葉「トリック・オア・トリート」が言われ始めたきっかけを知っている人は少ないのでは? そこで、日本ハッピーハロウィン協会の代表、岡本恭和さんに、ハロウィンの起源であるとされる「サウィンのお祭り」、世界・日本のハロウィン事情など、基礎&豆知識を教えていただきました。由来を知ることで、ハロウィンをもっと楽しく過ごせるはず!

今年のハロウィンはいつ?

今年のハロウィンはいつ?

2023年のハロウィンは、10月31日(火)。ハロウィン当日が平日のため、10月28日(土)、29(日)に仮装イベントやパレードを開催するところも多い。

どうしてハロウィンは生まれたの?ハロウィンの起源は?

2000年以上前のヨーロッパのケルト民族の季節のお祭りが起源であるといわれています。古代ケルト暦の新年は11月1日で、厳しい冬の始まりの日とされていました。前夜の10月31日のから始まる万聖節と呼ばれる「サウィンのお祭り」です。

この日は、過去・現在・未来との時空の扉が開かれると言われ、祖先と親しい霊たちが戻ってくると信じられていました。その霊たちを家に招き入れておもてなしをし、静かに供養する冬の始まりの夜でした。

中世ローマ・カトリック協会が、ケルトのお正月11月1日を諸聖人の日「All Hallows Day(オール ハロウズ デイ)」と定めてから、その前日を「All Hallows Eve(オール ハロウズ イブ)と呼び、いつしかそれが「Halloween」(ハロウィン)に変化したと考えられています。

※ハロウィンの起源については、ドルイド教起源など諸説あります

ジャック・オー・ランタンはどうして作るの?なんでカボチャなの?

ジャック・オー・ランタンはどうして作るの?なんでカボチャなの?

16世紀アイルランドで大飢饉が起こり、多く人々がカナダやアメリカへと移民しました。アメリカの畑では、大きなオレンジ色のカボチャが収穫されていました。これが、本来はカブで作っていた「ジャック・オー・ランタン」に使用されるようになり、アメリカ全土にハロウィンが広まっていったのです。

また、厳しい冬に備えての食糧確保、飢饉による移民、たくさんのカボチャの収穫から、収穫祭として、「秋の収穫に感謝してお祝いをする」というイメージも認知されるようになりました。

ジャック・オー・ランタンの起源については、アイルランドに伝わるちょうちんジャックの民話がもとになっています。大酒飲みで怠け者、嘘ばかりついていたジャックが死ぬと、天国からは来るなと言われ、地獄では悪魔に「昔、お前に騙され魂は地獄で取らないと約束させられたから、その約束は守る。天国も地獄もいけないから、永遠に暗闇をさまようんだ・・・可哀想だから火をやるよ」と追い出されてしまいます。焚火をもらったジャックは、近くにあったカブを切り抜いてちょうちんにし、今でもさまよっていると言われています。

いつしかジャックの作ったランタンが、死者の魂のシンボル・魔よけのアイテムとなり、ハロウィンで飾られるようになりました。先ほどお伝えした通り、最初はカブでできていたものの、大豊作だったオレンジ色のパンプキンでランタンを作って以来、ジャック・オー・ランタンは主にカボチャで作られるようになりました。

ハロウィンの合い言葉、トリック・オア・トリートとは?

ハロウィンの合い言葉、トリック・オア・トリートとは?

ハロウィンが広まると子供たちがいたずらを楽しむようになります。ハロウィンは、先祖の霊と一緒に悪い霊やおばけも帰ってきてしまいます。そこで、子供たちは襲われないように、おばけの仮装をするのです。子供たちは「仲間だよ!」と悪霊たちを騙しながら、近所の家に向かい、「今夜はちゃんと先祖へのおもてなしをしてね」と、先祖へのお供え(お菓子)をもらってまわっていたことから、「トリック・オア・トリート(いたずらかおもてなし)」と言われるようになりました。

有名になった「お菓子くれないと、いたずらしちゃうぞ!」というフレーズですが、この「トリック・オア・トリート」という言葉は、カナダで初めて使われたとも言われています。「トリック・オア・トリート」と言われたら、「ハッピーハロウィン!」と笑顔で返答し、子供たちにお菓子を渡します。そして子供たちが願う先祖へのおもてなしを行います。子供たちは、この先祖へのおもてなしをしない家庭には、軽いいたずらをして警告をしてもよいことになっています。お菓子は、本来お供えの焼き菓子であるソウルケーキです。しかしながら、現在では子供が喜ぶキャンディやチョコレートなどになっています。

1920年代、まだ本来の意味が十分に理解されておらず、あまりにもハロウィンのいたずらがひどかったことなどから、ミネソタ州のアノカ市では公式にハロウィンを街のイベントにすることで、いたずらやトラブルを無くしていきました。

ここからハロウィンは、かわいい子供たちが地域で楽しむ風習になっていきました。また、ハロウィンの商業化と地域活性化により、ハロウィンはさらに広まり、海外へも伝わっていきます。

どうしてハロウィンの日は仮装するの?

ハロウィンの日は死んだ人たちが霊界からやってくるといわれている日ですが、悪魔や魔女、邪悪な妖精たちもやってきて悪さをしようとします。そんな悪い霊に魂を取られないよう「同じ仲間だぞ」「人間じゃないぞ」と思わせるために、子どもたちが魔女や悪魔などに仮装したのが始まりです。

その後アメリカへハロウィンが伝わってからは囚人やナースなどのほか、アメコミや映画の主人公スパイダーマンなどのキャラクターものが増えてきました。日本ではコスプレ文化が先にあったためアニメやゲーム・漫画のキャラクターなどの仮装も好んで取り入れられています。

また、有名量販店のECサイトでもハロウィン用のコスプレ衣装が販売され、最近ではフリマアプリでの購入やSDGsを意識したリサイクル仮装も増加。オリジナルの手作り仮装はあいかわらず人気で、ここ数年では、親子コーデ、おそろいコーデ、集団仮装も増えてきました。

世界のハロウィンは?

諸聖人の日からキリスト教のイメージがありましたが、今では宗教的要素もなくなっているので、各国へ幅広く広まっています。アメリカでは、ニューヨークのハロウィンパレードや各地域のイベントやホームパーティなどで楽しまれています。仮装では映画やアメコミのキャラクター仮装が人気です。

アジアでも、香港・タイ・韓国・台湾などで人気拡大中。韓国ではハロウィンの時期には日本の渋谷のように多くの人々が街に集まるようになっています。中国でも大都市や沿海都市で文化の多様化ということで広まってきています。

ヨーロッパでは、アイルランド、スコットランド、ドイツ、スペイン、フィンランドなど、独自の楽しみ方をしており、ハロウィンは人気があります。ルーマニアでは、ドラキュラ城でのイベントが有名です。

メキシコは、11月2日の死者の日にあわせ、ホラーイメージも薄くスカルと花で楽しく愉快に盛大に祝われています。オーストラリアにも伝わっていますが、移民が多い国なので一部に限定されているようです。世界のハロウィンも伝統的なものから新しいものまで多様化してきており今後の広がりが楽しみです。

日本ではいつから流行り始めた?

日本では、原宿のキディランドが海外からのハロウィン向け商品を販売し始め、原宿でハロウィンのパレードを始めたのが最初ではないかと言われていますが、諸説あります。それ以前には、お菓子メーカーのモロゾフがハロウィンのお菓子の販売を展開しています。全国菓子協会もハロウィンキャンペーンを開催しました。お菓子メーカーが、冬のクリスマスの前にお菓子を売りたいというのと、時期的にこの頃にはイベントがなかったため、10月末は丁度よい時期でした。

それと同時に、日本に来た人々が家庭でハロウィンを楽しんだり、英語教材でハロウィンを紹介したりするなどして、広がりを見せました。とくに米軍基地近辺では、いち早く広まったようです。日本での最初は、東京・新島説、滋賀あたりの説もあります。また、1983年に上映され大ヒットした映画「E.T.」の中でハロウィンのシーンがあり、多くの人たちに認知されました。

ハロウィンは、さまざまなテーマパークでのイベントによりさらに日本に広まります。まずは、貸切スペース「ドクタージーカンズ」などでハロウィン仮装パーティが開催されます。その後、「ナムコ・ワンダーエッグ」(現在は閉園)などでハロウィンイベントが実施され、「東京ディズニーランド」でも実施され始めました。ディズニーの影響力は大きく、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」の参入でホラーなハロウィンも広がり、ゾンビ仮装やお化け仮装が本格的になりました。地域ハロウィンとして、「カワサキ ハロウィン」(2021年に終了)も始まります。

2010年代になりSNSの発達によって、渋谷や六本木のクラブなどで外国人と一緒にハロウィンを楽しむ動画が拡散されるようになり、のちに若者を中心に渋谷へと集中的に集まるようになります。安価なコスプレ衣装が量販店で販売され、ネット通販でも簡単に手に入るようになったことで、仮装人口は大幅に増加しました。2015年には「ハロウィン・フィーバー」という言葉も生まれています。2015~2016年頃には、各地でイベントが行われ、経済効果もバレンタインと並んだと報道されピークを迎えています。その後、混雑やマナー問題、2018年の暴徒化の事件や新型コロナウイルスによる自粛などがありましたが、確実にクリスマスと並ぶ新しい秋の催事として定着しています。

現在の日本では、テーマパークでのハロウィンイベントはもちろんのこと、地域主催のハロウィンイベント、クラブや飲食店主催のハロウィンパーティー、ホテル・レストランでのスイーツビュッフェ・ハロウィンディナー、商業施設でのハロウィンイベント・ハロウィンセールなどが開催されています。オンライン空間では、メタ―バースでのバーチャルハロウィンなども広まってきており進化を続けています。また、保育園や幼稚園でのイベント化されたり、家庭でハロウィンパーティを楽しんだり、身近なところにも取り入れられているのです。

今後の日本のハロウィンはどうなる?

ハロウィンは、クリスマスより楽しい人気になると信じています。ハロウィン発祥の地・アイルランドは自然が豊かで、自然崇拝や妖精や神話などの文化もあり日本と親和性があると思います。日本でもハロウィンに似た、「お月見どろぼう」や「ローソクもらい」、「節分おばけ」といった風習・儀式もあるので、起源や意味をしっかり理解してそれぞれの楽しみ方で楽しんでほしいと思っています。古くから秋祭りのない地域では、ハロウィンイベントは、街おこし、経済効果をもたらすかもしれません。「トリック・オア・トリート」「ハッピーハロウィン」というフレーズと、ハロウィン装飾・仮装が人々を元気にし、少子高齢化対策も解決できる全世代・地域を問わない季節のコミュニケーションイベントになるでしょう。

渋谷のハロウィンやコスプレ文化が世界的に注目されていることも重視して、新しいかたちの日本にあったハロウィンの楽しみ方で世界に発信、インバウンド効果も期待できると思っています。

日本ハッピーハロウィン協会では、今後もハロウィン文化の調査研究とハロウィン情報の発信を行い、「ハロウィンアンバサダー」として、仮装だけでなく、パレード、パーティ、ハロウィン装飾、ピニュータ割り、占い、ランタンづくり、ジャックススカイランタンなど新しい楽しみ方を紹介していきます。

以上、日本ハッピーハロウィン協会の代表、岡本恭和さんによるハロウィンの基礎&豆知識でした。テーマパークのハロウィンイベントに仮装して参加したり、ホテルのハロウィンビュッフェを楽しんだり、マナーやルールを守って、2023年のハロウィーンシーズンを満喫しよう。

お話を伺った方/日本ハッピーハロウィン協会代表・岡本恭和さん

愛知県出身。2010年10月に発足した日本ハッピーハロウィン協会の代表。メディアへの情報提供をはじめ、全国各地のハロウィン関連イベントの企画・サポートを手掛け、「ハッピーハロウィン」という合言葉を日本国内に広める活動も展開中。また、ハロウィンのあり方を追求すべく、ケルト文化への研究にも力を入れている。
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※記事は2023年9月6日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります