ブドウ畑の中心でSDGsを学ぶ。「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー SDGsツアー」

ブドウ畑の中心でSDGsを学ぶ。「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー SDGsツアー」

更新日:2023/07/21

長野県上田市初のワイナリーとして2019年9月にオープンした、シャトー・メルシャンの「椀子(まりこ)ワイナリー」。こちらではさまざなワイナリー体験ツアーが人気ですが、今回は9月から新しくスタートする「SDGsツアー」を編集部が体験してきました。“日本を世界の銘醸地に”するために、SDGsという言葉が生まれる前から取り組んでいる、メルシャンのサステナブルなワイン造りとは?

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世界が注目するワイナリー&ヴィンヤード

日本でワイン造りが始まってから145年。近年、日本ワインがますます注目されている中、国内のワイナリーもここ数年で急激に増え続け、その数は2022年時点で450以上も。
そんなワイナリーのひとつ「椀子ワイナリー」は、小高い丘一面に広がるブドウ畑「椀子ヴィンヤード」に360度囲まれている、スタイリッシュな建物。オープンして間もない2020年、世界最高のワイナリーを選ぶ「ワールド・ベスト・ヴィンヤード」に、日本で初めて世界30位・アジアの中で最高位に選出され、それ以降日本のワイナリーで唯一3年連続選出されています。

ブドウ栽培に最適な気候風土で開園して20年

ブドウ栽培に最適な気候風土で開園して20年

日本がワインの産地として認められるためには、質とともに量も必要と考え、自分たちの手で高品質なブドウを育てることを志して開園したのが「椀子ヴィンヤード」。
ワイン好きな人は知っていると思いますが、ブドウ産地の「テロワール(土壌や風土、気候など)」がワインの風味を決定づけるのにとても大事なもの。この上田の陣馬台地がワイン用のブドウ栽培にとても適していたのだとか。

もともとは養蚕が盛んだったこの土地で、荒れ果てた桑畑だったところを地元の方と協力して造成や開墾を進めたそう。2003年に5haからスタートした畑は、今では30haを超え、見渡す限りのブドウ畑が広がっています。ここでは白ワインの原料となるシャルドネやカベルネ・ソーヴィニョン、赤ワインの原料となるメルローやシラーなど8品種のブドウが栽培されています。

風が心地よい、ヴィンヤード(ブドウ畑)へ

風が心地よい、ヴィンヤード(ブドウ畑)へ

この日はとても気温が高く、ムシムシとする陽気でしたが、建物から一歩外に出ると、さーっと心地よい風を感じます。この風が常に吹いていることもブドウ栽培に大切な要素の一つ。乾燥しているとブドウが腐りにくく、草が揺れることによって樹木に適度なストレスを与えて丈夫になるのだそう。

ブドウの木にはもう小さな実がたくさんなっています。ブドウの品種によって、葉を取り除いて太陽光を当てたり、影を作ったりするなどきめ細かい世話が必要。選定した枝は、一カ所に集めて燃やしたりするのではなく、その場で地面に落とすことで自然に土に還るとともに、無駄な運搬エネルギーやCO2を増やさないことにも気を付けているのだそう。

また、ブドウの垣根の間を歩いて気付くのは、足元が草に覆われていてフカフカとしていること。年に数回草刈りをすることにより、下草が生えて豊かな草原をはぐくみ、多種多様な植物や昆虫が生息しているのだとか。

さまざまな生物が共生している、サステナブルな生態系
左下がクララ。名前の由来は食べるとクラクラするくらい苦いから、だそう

さまざまな生物が共生している、サステナブルな生態系

畑の中を歩いていると、あちこちに野花が咲いていたり、蝶が飛んでいたりと、自然を感じることができます。
椀子ヴィンヤードでは、有休荒廃地をブドウ畑にすることで、豊かな生態系ができるのではないかと生態系調査を行っています。現在昆虫168種、植物289種が発見されており、その数は年々増えているのだそう。絶滅危惧種のオオルリシジミがやってくることを願って、その幼虫が唯一食べる「クララ」を植えて、増やしていくという取り組みを地域の小学生やボランティアたちと進めています。

地域との共生、自然との共生を大切に

地域との共生、自然との共生を大切に

SDGsツアーならではのスポットが、畑の隅にある堆肥場。よく見るとブドウの枝や種の形が残っています。こちらはワインを造るときにブドウの実を搾ったあとの皮や種、茎などを堆肥として再利用するための場所。約2年かけてゆっくりと発酵して、肥料になるのだとか。

また、敷地の一部には、近隣の小学生が栽培しているジャガイモが植えられているスペースがあります。そのほかブドウの収穫体験や植樹体験を小学生が体験し、子どもたちの食育の場としても利用されています。中には、10年前にここにジャガイモを植えた女性が、20歳になったのでワイナリーツアーに参加したというエピソードも。

収穫後のワイン造りにもSDGsなポイントがたくさん

収穫後のワイン造りにもSDGsなポイントがたくさん

この時期はブドウの収穫時期ではないので、ワインの仕込みなどは見ることができませんでしたが、ワイナリーの中も見学可能。斜面に建っているワイナリーの裏側が、収穫したブドウの入口。そちらから入ると、醸造用の大きなステンレスタンクが下側に見えます。つまり、選別されたブドウの果実は、自然の重力でタンクに投入されることに。地形を生かした省エネルギーです。

また、貯蔵樽の木材にはサステナビリティの認証を取ったメーカーのものを使用していたり、ワインセラーの温度管理は自然の外気を利用してエアコンを必要最低限にしたり、購入する全電力は再生可能エネルギー100%化をしていたりと、環境にやさしいさまざまな工夫が見られます。

椀子のブドウで造られたワインをいただきます

ツアーの最後はお待ちかねのワインテイスティング。椀子ヴィンヤードで収穫したブドウを原料に、椀子ワイナリーで造られたワインを中心にいただく“超地産地消”体験。最高峰の「シャトー・メルシャン 椀子オムニス」を含め6種類も試飲することができます。ワイン畑を歩いたからか、作り手の気持ちを知ったからか、感激もひとしお。しみじみとおいしさが伝わります。ショップが併設されているので、気に入ったワインは購入しておうちで楽しむことも可能。ワイナリー限定の希少なワインも置いてあります。

未来へと続いていくワイン造りを現場で体感

今回体験したのはいくつかあるツアーの中の「SDGsツアー」。そこかしこにサステナブルな要素を盛り込んだ取り組みは、私たちの生活の中でもとても参考になることがたくさん。でも何よりも、その空の広さと澄んだ空気、一面のブドウ畑に囲まれることで心が晴れやかになります。

9月ごろになるとブドウの実が熟してきます。タイミングが良ければ枝になっているブドウの試食も可能だそう。一面に実るブドウ畑もまた見てみたいと感じました。

シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー SDGsツアー

<2023年の予定>
開催日/9/2(土)、11/11(土)
所要時間/約120分
定員/10~20名(要予約)
参加費/1人10000円(ワインテイスティング6種を含む)

シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー

SPOT DATA

スポット名
シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー
電話番号
0268758790 0268758790
住所
長野県上田市長瀬146-2
営業時間
開館/10:00~16:30(テイスティングカウンター 16:00L.O.)
交通アクセス
電車/しなの鉄道「大屋駅」よりバスまたはタクシーで約10分、JR北陸新幹線・しなの鉄道「上田駅」からタクシーで約25分
車/上信越自動車道「東部湯の丸IC」より約10分
営業日
営業日カレンダー(pdf)を参照
ワイナリーツアー
・椀子ディスカバリーツアー
・椀子ワインメーカーズツアー
・椀子ウォーキング&ランチツアー
・SDGsツアー
それぞれの内容と開催スケジュール・WEB予約はワイナリーツアーご予約カレンダーを確認
問い合わせ・電話予約 TEL.0268-75-8790(受付10:00~16:30)
ホームページ
シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー

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PHOTO/YUKO CHIBA WRITING/YUKO MUKAI(OZmall)

※記事は2023年7月21日(金)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります