産地と一緒に取り組むサステナブル。完熟梅からおいしさを生み出す梅酒の話

産地と一緒に取り組むサステナブル。完熟梅からおいしさを生み出す梅酒の話

更新日:2023/07/05

梅の雨と書く通り、梅雨は梅の実の収穫シーズンでもあります。おうちで梅酒や梅シロップを漬ける人も多いけれど、家庭では熟していない青梅を使うことが多いはず。今回は、梅の産地で有名な和歌山県のみなべ町と、完熟梅を使った梅酒を生産しているメルシャンのサステナブルな取り組みについて、編集部が「メルシャン 藤沢工場」で学んできました。

日本一の梅の産地で新たに生まれた「完熟梅」の活用法

日本一の梅の産地で新たに生まれた「完熟梅」の活用法

梅の名産地として有名な和歌山県ですが、その割合は全国の7割以上と圧倒的。さらに、和歌山県の梅の半分近くが日高郡みなべ町で収穫されていて、みなべの紀州南高梅として知られています。

和歌山県で採れる梅の7割は完熟梅。完熟した実は柔らかく傷つきやすいため、生の状態での流通が難しく、そのほとんどが現地で梅干しや梅漬けなどに加工されています。また、収穫時期が遅くなるにつれて価格も下がるという傾向もあり、収穫期が遅いみなべ町の山間部では価値の下落に困っていたそう。
そんな中、メルシャンのスタッフがみなべ町を訪れた際に、梅林にただよう豊潤でフルーティな完熟梅の香りにほれ込み、これを梅酒として活用できないか、と考えました。

地元の梅農家さんは、梅干し以外の完熟梅の用途を拡大して価値を向上させたい。メルシャンは、この完熟梅の豊かな香りと味わいを活かしたおいしいお酒を造って届けたい。ということろから研究・開発がスタート。

メルシャンがこだわっているのは、完熟梅の中でも「完熟落下梅」。木の上で完熟したものが自然に落下して、香りも味わいも濃厚になり、最もおいしくなるタイミングのものを収穫します。

比較のためテーブルに配られたのは、青梅、樹上完熟梅、完熟落下梅の3つ。左から、より香りも強く、熟した桃のような甘く濃厚な香りになっていきます。完熟落下梅を実際にかじってみると、甘酸っぱく、プラムのような味わい。これをお酒にしたらさぞかしおいしいだろうな、と感じます。

ワイン造りのノウハウを生かした梅酒づくり

ワイン造りのノウハウを生かした梅酒づくり

ワインで有名なメルシャンですが、ぶどうも梅も同じ農作物でフルーツ。フルーツのおいしさを伝えたいという思いと、テロワール(産地の風土や土地)にこだわりを持ち、ワインの香りを引き出す知見をヒントに、梅の香りを最大限に生かした商品開発に着手。

その製法のポイントは、「凍結」と「梅の種」。
梅の実を凍結すると、生のままよりも浸漬期間を短くすることができ、さらに梅の香りや旨み成分がより多く溶け出すのだとか。また、凍結することにより保存性も向上し、1年中効率よく生産できることに。
さらに、梅の種が持つ香りと味わいにも注目。梅の種だけをお酒に漬けて、杏仁のような甘い香りと旨み成分を生み出した原酒を作り出しました。

完熟南高梅のおいしさが詰まった「まっこい梅酒」

完熟南高梅のおいしさが詰まった「まっこい梅酒」

みなべ町の梅農家とメルシャンの梅酒づくり、双方の思いが一致して2011年に誕生したのが「まっこい梅酒」。2021年には「和歌山県産品」のPRマークを取得し、2023年1月に中身やパッケージがリニューアル。

まっこいとは、“真っ濃い”と“McCoy(本物や逸品という意味)”をかけた言葉。その名の通り、フルーティで濃厚な味わいが特長で、果実を漬けたお酒と種だけを漬けたお酒をブレンドすることにより、ワインのように複雑な風味をつくりだしています。

うっとりするような香りと甘酸っぱい味わい。砂糖の甘さよりも果実本来の甘みが引き立ち、すっきりとした後味です。ロックででもソーダ割で飲んでも、その香りと味わいは濃厚で、ほっとリラックスできるような気持ちにさせてくれます。

まっこい梅酒でおうちカクテルを気軽に楽しもう

まっこい梅酒でおうちカクテルを気軽に楽しもう

そんなまっこい梅酒を使った、簡単なカクテルの作り方を教えてもらいました。
「まっこい梅紅茶」は、氷の入ったグラスにまっこい梅酒120mlと午後の紅茶ストレートティー60mlを注ぐだけ。梅酒の甘酸っぱさを感じたあとに、紅茶のほんのりとした渋味が追いかけてきて、甘さ控えめの上品な味わい。

「まっこい梅モーニ」は、スプモーニの梅酒バージョン。氷の入ったグラスに、まっこい梅酒・グレープフルーツジュース・トニックウォーターを同量(各60ml)かき混ぜてできあがり。トニックやグレープフルーツのほろ苦さの中に、甘酸っぱい梅の香りが広がる大人のカクテルに。

そのほか、炭酸で割ってミントやライムをあしらうモヒート風や、意外なことにトマトジュース割などもおすすめだそう。


まっこい梅酒が発売されたことになり、完熟梅の価値は向上。流通技術も向上しました。安定した価格と生産量を確保し、和歌山県のみなべ町と神奈川県藤沢市のサステナブルな関係は続いていきます。

【特集】飲んだら幸せ!OSAKE JIKAN

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今日は誰となにを飲む? 気の合う仲間と盛り上がったり、料理との組み合わせに感動したり、旅先で現地のお酒を試してみたり・・・。編集部が楽しい“OSAKE JIKAN”を紹介します。

※記事は2023年7月5日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります