おでかけ以上旅行未満 千葉県・君津で癒しのSHORT TRIP

なだらかな丘陵がいくつも連なり、視界に広がるのは緑豊かな森林地帯。木立の中を縫うように道が走り、ぱっと目の前が開けると湖や田園、瀟洒な建物が現れ、北海道や長野の高原のような雰囲気も。「こんなに自然豊かだったなんて」と、初めて訪れた人は、印象がきっと変わります。

ここは、千葉県君津市。東京からは東京湾アクアラインを使えば約１時間と、アクセスも良好です。房総半島のほぼ中央部に位置し、内陸部には市内で最も高い鹿野山をはじめとした房総丘陵が広がり、地域によって多彩な風土があります。

例えば南東部の亀山周辺は雄大な自然が残るエリア。小櫃川の上流に亀山湖と笹川湖の２つのダム湖があり、釣りやハイキング、さらに温泉も満喫できる地域です。

キャンプ場も多く、本州一遅い紅葉が楽しめる場所としても知られています。また、ＳＮＳでも人気の「濃溝の滝・亀岩の洞窟」など景勝地がたくさんあり、まさに自然に触れられる癒しの宝庫です。

東部では平成の名水百選にも選ばれた名水の里、久留里が人気。その水を使う酒蔵が多数あるほか、城下町として栄えた歴史があり、古い町並みに似合うおしゃれなカフェが多いのも特徴です。

懐深い魅力がある君津を舞台に、「絶景」と「カフェ」、「アウトドア」、「お酒」の、４つの癒しトリップへご案内します。

君津は、なだらかな山が幾重にも連なる房総丘陵が広がる、県内でも特に自然豊かなエリア。その美しい光景は鹿野山の展望台から眺めれば一目瞭然。眼下の鮮やかな緑の中を清流が流れ、季節の移ろいも楽しませてくれます。特に亀山湖周辺は、春には桜、秋には紅葉が楽しめる地域。湖を巡るクルーズやサイクリングなども体験でき、きれいな空気の中、自然を体感すればストレスから一気に解放されます。

濃溝の滝・亀岩の洞窟

洞窟の中を川が通り、小さな滝を下って水が流れる、幻想的な光景。県内でも有数の絶景スポット「濃溝の滝・亀岩の洞窟」には年2回、最高に美しい景色に出会える特別な時間があります。

それが、春分の日と秋分の日の早朝。洞窟から差し込む光が水面に反射し、きれいなハート形に！　次のベストタイミング9月23日頃をお見逃しなく。

ちなみに、森の中に現れた、この穏やかな水辺は、湾曲した河川のくびれの部分をトンネルによって短くする河川工事「川廻し」で江戸時代に誕生したもの。

周辺の清水渓流広場は、小川沿いに木造の遊歩道が数百メートルにわたって続きます。せせらぎの音を聞き、青もみじを眺めながらの散歩も格別です。

鹿野山九十九谷展望公園

低い山が波打つように折り重なる房総特有の景色を眼下に一望できる絶好の場所。秋冬の早朝には神秘的な雲海が広がることも

亀山湖

複雑な形をした県最大のダム湖。25 もの橋が架かり、木々とともに湖面に写る姿が美しい。紅葉の名所でボートクルーズも人気

久留里周辺は地下水が湧出しやすい地域。明治期に確立された竹ヒゴを使う上総掘りで多くの自噴井戸が掘られ、その水が今も生活用水や、一部は水道用としても利用されています。おいしい水に恵まれ、風情がある古い町並みが残る久留里は、カフェが多いのも特色。シングルオリジンの豆を使ったコーヒーや自家製パンを提供するなど、独自の魅力を備えた店が続々とオープンし、カフェ巡りを楽しむ人も増えています。

cafe くるりパン

静けさが満ちた森の中を進むと現れる、どこか北欧モダンな建物。席からは針葉樹の森林が眺められ、高原のリゾートを訪れているような気分に。

オープン10 年目の「cafe くるりぱん」は都心からのリピーターも多い人気店です。ゆったりと落ち着ける雰囲気が魅力のひとつで、広々としたウッドデッキのテラス席はペットと一緒に過ごすことも。

地元の新鮮な野菜を使った料理も評判を集め、名物はパスタ。「ブラジルソーセージときのことじゃがいもとアスパラガスのクリームパスタ」1550円は、野菜の風味とソーセージから染み出したうまみが溶け合う絶妙な1皿です。香り高くコクのあるオリジナルブレンドのコーヒー550円がよく合います。

珈琲屋コトノ

築約100年の旅館を改装。多彩な豆のコーヒーを自家焙煎して提供し、ドリップは約5種を用意。自家製スイーツやパンも美味

cafe 旅ヲスル木

アンティーク調の居心地のよい空間。特製のブレンドコーヒーや地元のジビエのカレー、店主の奥様の店の天然酵母パンも自慢

君津市は大規模なキャンプ場が10 以上もある、県内有数のキャンプのメッカ。都心からアクセスがよく、初心者からベテラン、ソロ、ファミリーと多くのキャンパーから愛されています。最近はさまざまなネイチャー体験ができる施設や、ラグジュアリーなグランピング施設もオープン。昼は房総丘陵から吹く涼しい風を浴びてアクティブに、夜は降り注ぐような星空を眼前にリラックス。そんな心地よい時間が過ごせます。

ARCH KISARAZU

目の前に小櫃川が流れる抜群のロケーション。今年3月のオープン以来、人気を集めるグランピング施設がこちら。

客室は2部屋のみの贅沢な造りで、直径7m、高さ3.5m の広々としたグランピング用テントは、室内の優雅なインテリアにも驚かされます。

何よりの魅力が、1 部屋にひとつずつ、フィンランド式のサウナ小屋と水風呂が完備されていること。好きなときに使えて、70℃から110℃まで温度設定も自在。

サウナ内はヒノキ張りで清々しい香りが満ち、サウナストーンに散水すればロウリュも満喫できます。外のデッキチェアで外気浴しながら1杯、テント内の大型スクリーンで動画視聴など、楽しみ方は無限大です。

亀山温泉リトリート

亀山湖を一望できる立地で多彩なレイクセラピー＆自然体験を満喫。源泉掛け流しの宿「亀山温泉ホテル」内にあり、温泉も最高

ホウリーウッズ久留里キャンプ村

樹齢約100年の木が立ち並ぶ、緑豊かな森。テントサイトとキャビン、ツリーハウスがあり、自然を堪能でき、のんびりできると評判

千葉県の酒造りの歴史が始まったのは、ここ、君津。寛永元年（1624年）に名水の地・久留里に創業した「吉崎酒造」が最古と伝えられ、江戸時代の終わり頃から酒蔵が急増したと言われています。その後、日本酒以外に焼酎やウイスキー、地元のフルーツを使ったリキュールなども盛んに造られるようになり、最近ではミードなど新しい美酒が続々と誕生。君津の癒し旅の気分を、おいしいお酒が一層盛り上げてくれます。

はちみつ工房

はちみつと水、酵母で造る醸造酒・ミードは人類最古と言われるお酒。昨年9 月にミード醸造所＆ショップとしてオープンし、醸造所見学やミードの試飲、はちみつの試食も楽しめるのがこちら。

山梨やフランスで酒造りを学んだ柳沼醸造長のもと、花の種類により異なるはちみつの香りを活かす造りで多彩な味を生み出しています。

白い花のようなアロマと優しい甘さが広がる「ピュアミード プレーン」（中央）や、ほのかな苦みや酸味を感じる「同 オレンジ」（右・ともに1980円/375ml）ほか、今年登場のプレーンに炭酸を加えた「スパークリングミード」（左・3980円/750ml）も人気。爽やかなおいしさに夏の疲れが一瞬で消えていきます。

和蔵酒造 酒菜館

江戸時代からの歴史がある酒蔵。柚子の豊かな風味に炭酸をプラスした「和蔵の柚子酒 スパークリング」800円など果実酒が人気

藤平酒造

久留里の名水を使い、家族で仕込む蔵。看板銘柄の「福祝 山田錦50％磨き純米吟醸」1980円（720ml）はキレがよくフルーティ