絶景D&S列車で楽しむ南九州の旅(2)_海山の美景や縁結び神社を訪ねる宮崎「特急 海幸山幸」編

「特急 海幸山幸」

移動も楽しいD&S列車で南九州1泊2日の旅。その第2弾は海と山に恵まれた宮崎が舞台。宮崎駅から日南エリアの南郷駅までを走る「特急 海幸山幸」の車窓からは、海や山の絶景が広がり、地域特産の飫肥(おび)杉が使われた空間も心地よさいっぱい。日々の慌ただしさを忘れて、リフレッシュできる絶景列車旅を

更新日:2020/03/17

南九州を走るD&S列車「特急 海幸山幸」で、美しい海や山に感動!

(上)窓が大きく、ゆったりした気分で景色が望める (左下)巨大な洗濯板のように見える「鬼の洗濯板」と「青島神社」の赤い鳥居の組み合わせは、青島を象徴する風景 (右下)角度によって七つの岩が重なるように見える「七ツ八重」

緑豊かな森、清流、キラキラと輝く青い海。日南エリアの眺望を列車の中から満喫

昨年10月に運行開始10周年を迎えた、JR九州のデザインとストーリーのあるD&S列車「特急 海幸山幸」。日南線を走る列車の大きな魅力は、車窓から自然の美しい風景を満喫できること。

窓が広く取られた眺めのいい列車は、森の中を駆け抜けるような区間があったり、清流沿いを走ったり。景勝地の青島海岸「鬼の洗濯板」や奇岩が並ぶ「七ツ八重(ななつばえ)」が見えてくると、景色を楽しめるようスピードをゆるめて運行。砂浜に立つ橋の上でも徐行運転してくれて、海の上に浮かんでいるような感覚に。列車は飫肥駅でも下車できるけれど、絶景をたっぷり堪能するなら、終点の南郷駅までぜひ!

(左上)ホワイト×木目のボディが印象的な「特急 海幸山幸」 (右上)高千穂夜神楽の舞台装飾にも使われる切り紙の模様をデザインした額絵が車内を飾る (左下)誰でも利用できる1号車のソファーシート (右下)ひとり旅にもうれしい1名用リクライニングシートもある

神話にちなんだレトロかわいい列車は、木の温もりに満ちた癒しの空間

列車名は日南地域に伝わる神話「海幸彦・山幸彦」に由来し、車両デザインも神話や地域に根差す「特急 海幸山幸」。車両は、廃線になった高千穂鉄道のトロッコ列車をリノベーション。床や壁といった内装だけでなく、外装にも地域の特産・飫肥杉などの天然木材がふんだんに使われていて、木の温もりがそこかしこにあふれている。

リクライニングシートやフリースペースのソファーシートのカラーは、1号車は山を思わせるブラウン系、2号車は海をイメージしたブルー系で統一。「山」「海」のロゴもセンスよくあしらわれ、列車そのものがどこかレトロでかわいらしい雰囲気。のんびり気分で乗れて、リラックスできる。

(左上)車内販売の県産マンゴーの果汁を使用した宮崎マンゴー地サイダー270円、宮崎の和菓子店「風月堂」のチーズ饅頭160円 (右上)手描きの絵にもほっこりする「海幸彦・山幸彦」の紙芝居 (左下)「鵜戸神宮」の運玉を車内でプチ体験 (右下)オリジナル商品は、マスキングテープ320円、ピンバッジ530円のほか、飫肥杉製手鏡(ポーチ付き)1100円などの10周年記念グッズも

おやつ、グッズに、紙芝居・・・。地域の名物や神話も知れて楽しみいろいろ

「特急 海幸山幸」には、まだまだ楽しみがたくさん。旅の合間のおやつには、車内販売の宮崎銘菓・チーズ饅頭や宮崎マンゴーのサイダーを。列車オリジナルのグッズを手に入れて、お土産や旅の思い出にするのもいい。

客室乗務員によるサービスにも注目。南郷行きの列車では、スタッフが手作りの紙芝居で神話「海幸彦・山幸彦」のストーリーを紹介。宮崎行きの列車に乗ると、「海幸彦・山幸彦」の神話と深いかかわりを持つ神社「鵜戸神宮」の“運玉”を模した運試し体験ができる。地域の歴史やおいしいものにも触れて、宮崎駅~南郷駅の約1時間35分の旅をあますことなく堪能しよう。

特急 海幸山幸DATA

運行区間/宮崎駅~南郷駅
運行日/土・日・祝ほか 1日1往復
所要時間/約1時間35分
予約・詳細は下記公式HPへ
※D&S列車についてはこちら

情緒あふれる城下町「飫肥」と神話のふるさと「青島」で海山さんぽ

(左上)樹齢100年以上の飫肥杉を4本使って1978年に復元された「飫肥城跡」の大手門 (右上)白身魚のすり身、豆腐などで作る、飫肥のソウルフード・おび天は食べ歩きにぴったり (左下)ブーゲンビリアなど南国の植物が鑑賞できる「宮交ボタニックガーデン青島」の大温室は入場無料 (右下)「青島神社」へ渡る橋のたもとにある幸せの黄色いポスト

城下町・飫肥と海辺の町・青島。個性の異なるふたつの町を巡るJR日南線途中下車の旅

南郷駅に着いたら、JR日南線の普通列車で宮崎方面へUターン。ふたつの駅で下車して、1泊2日の宮崎の旅を満喫しよう。まずは漁業の町・南郷の駅周辺で名物のカツオなどを味わってから、列車で25分ほどの飫肥駅へ。飫肥杉の産地であり城下町として栄えた飫肥には、江戸時代のままの石垣や、武家屋敷、商家などが残り、風情ある町並みがあちこちに。そんな飫肥では、散策はもちろん、歴史ある日本家屋に泊まって、武家屋敷レストランでランチ。食べ歩きも楽しみながら、必見の苔スポットにも立ち寄って。

神話「海幸彦・山幸彦」の舞台でもある青島では、「特急 海幸山幸」の車内から見た「鬼の洗濯板」を訪れ、山幸彦らを祀る青島神社を参拝。カフェも人気の植物園にもよりみちしてみよう。

【飫肥】飫肥杉が茂る苔の森のよう。「飫肥城跡」で神秘的な時間

「飫肥城跡」の大手門をくぐり、ゆるやかな石段を上った先にある旧本丸跡地。見上げるほど大きな飫肥杉がたくさん立ち並び、地面には一面に広がる苔のじゅうたん。木漏れ日も心地よく、苔の上に寝そべりたくなる気持ちよさ。

【飫肥】和洋折衷のレトロな建物が目を引く苔の研究所を見学

世界唯一の苔の研究機関「服部植物研究所」では、苔の魅力を多くの人に伝えたいと一般公開。顕微鏡で苔を観察できたり、苔についていろいろ教えてもらえたりと、初心者でも興味津々。苔のテラリウム作り1000円も体験できる。

【飫肥】歴史ある家屋に泊まって、町の歴史や暮らしを感じて

江戸時代末期に建てられた平屋の日本家屋を1棟貸しの宿泊施設に再生。梁、柱、建具など昔の面影を大切にモダンな趣に仕上げている。キッチン付きなので、地元の食材を調達して、自分で調理。暮らす気分で滞在するのもいい。

【飫肥】武家屋敷を活用した空間で地域食材を使った定食ランチ

生まぐろ丼まぶし1620円は油津で水揚げされたまぐろを使用。刺身でそのまま、たれと生卵をかけて丼で、だし汁を加えてお茶漬け風にと、3通りの食べ方で楽しめる。羽釜で炊いたふっくらごはんもおいしく、箸がどんどん進む。

【青島】神話の舞台でもある神社は、縁結びの神様としても有名

周囲1.5㎞の島全体が境内という「青島神社」。山幸彦ことヒコホホデミノミコトと、妻・トヨタマヒメがご祭神で、縁結びの神様として古くから信仰を集める。絵馬のトンネルやユニークなおみくじもあって、楽しく参拝できる。

【青島】果物好きにはたまらない完熟マンゴーの後味のいい甘さ

植物園「宮交ボタニックガーデン青島」の「パラボラチョカフェ」には、トロピカルフルーツを使ったメニューが充実。人気は宮崎県産完熟マンゴーパフェ820円。マンゴーが大きめにカットされていて、満足感のある食べ応え。

南九州の旅の巡り方_宮崎県・飫肥・青島へのアクセス&モデルプラン

宮崎県のアクセス&移動のポイント

【アクセス】
首都圏から宮崎/羽田空港より宮崎ブーゲンビリア空港まで約1時間30分
特急 海幸山幸/宮崎駅より、飫肥駅まで約1時間10分、南郷駅まで約1時間30分※青島駅は通過
JR日南線/南郷駅より飫肥まで約25分、飫肥駅より青島駅まで約40分

【移動のポイント】
飫肥、青島ともに駅から徒歩で周遊できる

■1泊2日のモデルプラン

■1日目(土曜日)
06:40頃 羽田発
08:30 宮崎ブーゲンビリア空港着後、宮崎空港駅より宮崎駅へ電車移動
10:07 宮崎駅発(特急 海幸山幸)
11:49 南郷駅着後、駅近くでカツオ定食のランチ
12:43 南郷駅発
13:05 飫肥駅着後、徒歩で飫肥城跡へ
13:30 「飫肥城跡」と周辺施設を見学
15:00 飫肥の城下町エリアを散策&おやつ
16:30 「季楽 飫肥 合屋邸」にチェックイン

■2日目(日曜日)
10:00 「服部植物研究所」で苔テラリウム作り
11:30 「武家屋敷 伊東邸」でランチ
13:05  飫肥駅発
13:47  青島駅着後、徒歩で「青島神社」へ
14:00  鬼の洗濯板見学後、「青島神社」を参拝
15:00 「宮交ボタニックガーデン青島」で温室見学後、「パラボラチョカフェ」でおやつ
16:00  宮崎の旅を終え、鹿児島へ移動または帰路につく

※列車の時刻は、2020年4月現在のものです

南九州旅:宮崎のトナリ、鹿児島へ

宮崎を訪れたなら、鹿児島に足のばして1泊2日旅をプラス。南九州の列車旅をさらに充実させてみたい。宮崎駅から鹿児島中央駅まではJR特急きりしまで約2時間。鹿児島中央駅から毎日運行している「特急 指宿のたまて箱」で九州を代表する温泉地・指宿をめざし、名物の砂むし温泉や、列車のテーマにもなっている浦島太郎の竜宮伝説ゆかりの地を訪れるのもおすすめ。

九州の旅がより魅力的になる、D&S列車に乗ろう!

JR九州の観光列車は「D&S列車」と呼ばれ、いずれも「デザイン(D)」と「ストーリー(S)」にこだわった個性派揃い。豪華列車「或る列車」から、今回紹介した宮崎の「特急 海幸山幸」や鹿児島の「特急 指宿のたまて箱」のように気軽にのれるものまで、全11の列車が揃う。地元の神話や特産品などから生まれたデザインや車内サービスが旅をより魅力的に。九州を旅するなら、D&S列車を忘れずにチェックしたい。

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PHOTO/MANABU SANO WRITING/JAM SESSION(MIE NAKAMURA)

※記事は2020年3月17日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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