マットレスのダニ対策!駆除する方法や注意点、予防法を解説
マットレスや布団などの寝具は、ダニが住み着きやすい環境が揃っている。ダニに刺されると痒みなどを伴ううえ、ダニの死骸や糞が体調不良の原因になる可能性も。この記事では、マットレスのダニを退治する方法や注意点、予防策をご紹介。マットレスのダニを駆除したいと思っている人はもちろん、日頃の予防法が知りたい人はチェックしてみて。
更新日:2023/08/15
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今回お話を聞いたのは・・・
睡眠セラピスト 松本美栄(まつもとみえ)さん
睡眠デトックス・姿勢美矯正サロン「プロスパービューティー」オーナー。一般社団法人 濃縮睡眠協会 代表理事。自らの実体験をもとに、疲れを解消し日中のパフォーマンスを上げる睡眠法の研究をはじめ睡眠の効率を極限まで高めるメソッド「濃縮睡眠®」を開発。経営者や士業など、多忙を極めるビジネスパーソンやアスリートなどの間で評判になる。「睡眠の変化から人生の豊かさをより感じられる人を増やす」ことを目標にサロンでの施術・カウンセリングや座学の提供のほか、メディアへの出演も行っており、これまでに延べ6000人以上の睡眠に関する悩みを解決。著書に、「誰でも疲れない体が手に入る 濃縮睡眠メソッド」(かんき出版)、「パフォーマンスを劇的に変える!快眠習慣」(自由国民社)がある。
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1.マットレスのダニによって考えられる健康被害
ダニの死骸、糞、抜け殻は、ダニアレルギーによる鼻炎や皮膚炎、結膜炎、気管支喘息、副腎疲労などを引き起こす。主な症状はくしゃみ、鼻水、目の痒み、咳、湿疹など。症状の程度には個人差があるが、幼い子供は重症化しやすく、日常生活に支障がでる場合も珍しくない。
また、ダニの一種であるツメダニは人を刺す。刺されてから数時間が経つと、刺された部位は赤く腫れて激しい痒みが現れる。特に、太ももや二の腕といった柔らかい部分は狙われやすく、狭い範囲を数カ所刺される可能性もある。
2.マットレスにダニが発生する原因とは
マットレスをはじめ、寝具は人の体温で暖かくなり、湿気がこもりやすいという特徴がある。ダニの餌であるフケや垢、髪の毛なども多く、ダニにとっては居心地がいい場所と言える。また、マットレスの中の詰め物はダニが身を隠すのに適しており、安全に卵を産める環境でもある。
なお、ダニは温度20~30℃、湿度60~80%の高温多湿な環境で活発に繁殖する。繁殖のピークは6~9月で、特に湿気が多い梅雨時はダニが発生しやすい。冬でも暖かい室内では一年中繁殖できるので、予防は年間を通して行う必要がある。
自宅に発生するダニは、屋外から服や髪の毛、荷物、ペットなどに付着して侵入する。侵入自体を防ぐのは極めて難しいため、ダニを繁殖させない環境づくりが重要。
2-1.マットレスに潜むダニは主に2種類
マットレスに潜むダニのうち、人の健康に影響するのはチリダニとツメダニの2種類。家庭で遭遇するダニの9割はチリダニで、人のフケや垢を食べて生きている。一方、ツメダニはチリダニなどほかのダニを捕食しながら繁殖する。
また、近年よく耳にするマダニについても注意が必要。マダニは自然が豊かな環境において繁殖しやすく、リゾートやアウトドアからの帰宅時に持ち込んでしまう可能性が。特に、自宅内に畳の和室がある場合は、マダニの繁殖に適した環境にならないように気を付けて。
3.ダニだらけになる前に|マットレスのダニを駆除する方法4選
マットレスはダニが繁殖しやすい条件が揃っている。ダニが発生したまま放っておくと、知らず知らずのうちにマットレスがダニだらけになっているかも。ここでは、マットレスのダニを退治する主な方法と、具体的な手順を4つ紹介する。
3-1.布団乾燥機を使う
布団乾燥機で高温の熱(50℃以上が目安)を加えれば、確実にダニを死滅させられる。一度では十分な効果がでない場合もあるので、朝晩2回3~4日ほど続けて行おう。ウレタンやファイバーなど熱に弱い素材のマットレスへ使用する際は、乾燥時間を1時間以内に調整して。
手順は簡単。まず、夜行性のダニをマットレス表面に誘いだすため、部屋全体を暗くする。1時間ほど経ったらカバー類をすべて外し、掛け布団の間に布団乾燥機を差し込もう。熱が逃げないよう、掛け布団の上には毛布やタオルケットをかけると、より効率的にダニを駆除できる。
ホットカーペット、湯たんぽ、ドライヤーといったアイテムでは、ダニを死滅させるほどの温度にならないため、あまり効果はない。ダニ対策としてなら、布団乾燥機を使うのがおすすめ。
3-2.ダニ退治スプレーで駆除する
布団乾燥機を持っていない場合は、ダニ退治スプレーがおすすめ。ダニ退治スプレーには「殺虫タイプ」と「ダニがこなくなるタイプ」の2種類あるので、駆除時には殺虫タイプを選んで。殺虫タイプのダニ退治スプレーは「使用後24時間のダニ致死率が8~9割」と高い効果が期待できる。
ダニ退治スプレーでダニを駆除する場合は、布団乾燥機のときと同じく部屋を暗くし、ダニがマットレス表面にでるまで待とう。まんべんなくスプレーをかけ、表面がしっかり濡れたら放置して浸透させる。最後に窓を開けて換気し、濡れたマットレスを自然乾燥で乾かせば完了。
3-3.ダニ捕りシートを設置する
ダニ捕りシートとは、ダニが好む臭いや成分で誘い込み、シート内部に閉じ込める製品のこと。布団乾燥機やダニ退治スプレーのような即効性はないが、いつでも手軽に使えるのがメリット。特定のダニにしか効果がない製品もあるので、効果が感じられなければ別のものを使おう。
ダニ捕りシートの使い方はとても簡単。敷きパッドとマットレスの間など、子供やペットが口にしたり肌に触れたりしない場所に設置するだけでいい。時間とともに効果が薄れるので、使用期限はしっかり把握し、効果がなくなる前に新しいものと交換して。
ダニ捕りシートが最も効果を発揮するのは、ダニが卵を産む時期である6~8月。毎年6~8月にかけてダニ捕りシートを設置しておくと、効率的にダニを駆除できる。
3-4.クリーニング業者に依頼する
ダニを1匹残らず確実に退治したいなら、プロにまかせるのもひとつの手。プロのクリーニング業者に依頼すれば、ダニはもちろん、マットレスの汚れも落としてくれる。業者によって引き受け可能なマットレスが異なるので、事前にクリーニング業者ホームページの確認を。
マットレスのクリーニング費用はシングルサイズで9000円から、クイーンやキングなど大きいサイズは1万4000円からが相場。「それなりの費用がかかってもいいから、100%ダニを駆除したい」「マットレスの汚れや雑菌、臭いも除去してほしい」といった場合に利用しよう。
4.マットレスのダニを駆除するときの注意点5つ
マットレスにダニが発生したら、正しい方法で対処して。効率的かつ安全にダニを駆除するため、駆除時の注意点はしっかり押さえておこう。
4-1.駆除後は必ず掃除機をかける
マットレスのダニを死滅させても、死骸や糞、抜け殻が残っていては意味がない。ダニアレルギーや気管支喘息などを防ぐには、これらもすべて取り除く必要がある。布団乾燥機やダニ退治スプレーを使った後は、マットレス表面やベッドの隙間などにまんべんなく掃除機をかけよう。
4-2.シーツやベッドパットは洗濯する
マットレスにダニがいる場合、シーツやベッドパットにも潜んでいる可能性が高い。ダニの餌となるフケや皮脂などを落とすためにも、シーツ類はダニ駆除のタイミングで洗濯しよう。
なお、生きているダニは洗濯だけでは駆除できないので、洗濯前か後に熱を与える必要がある。シーツ類のダニは、コインランドリーや洗濯機の乾燥機能を使って駆除するのがおすすめ。
4-3.天日干しは効果が薄いので避ける
ダニ退治と聞くと、天日干しのイメージがあるかもしれない。しかし、天日干しではダニ駆除の条件である「50℃以上の高温」が満たせない。表面だけ温めてもダニはマットレスの奥や裏側に逃げてしまうので、死滅させるのは難しいと言える。
さらに、天日干しはマットレスを劣化させる原因にもなる。リスクに対して効果が薄いので、ダニ退治の方法としてはおすすめできない。
4-4.ドライヤーやアイロンなどはマットレスを傷める
ドライヤーやアイロンの熱は高温すぎて、マットレスが傷む原因になる。熱の温度は十分だが、そもそもマットレスのような厚みがあるものでは、ダニが潜む奥まで温めるのが難しい。
また、スチームアイロンのように蒸気がでるアイロンは、かえってダニが繁殖しやすい環境を作ってしまいかねない。火事のリスクを考えると、ドライヤーやアイロンを使ったダニ退治は避けたほうがよい。
4-5.ダニ退治スプレーは寝具に使えるタイプを選ぶ
ダニ退治スプレーにはさまざまな種類があり、製品ごとに使用できる場所も異なる。マットレスのダニを駆除するなら、布団やまくらなどに使えるものを選ぼう。
寝具に使用できるダニ退治スプレーは、しっかり乾かせばスプレー箇所が肌に触れても影響しないよう作られている。ただし、敏感肌の人は念のため少量から使用して、刺激や違和感がないかチェックしよう。
5.日頃の対策が重要!マットレスのダニを予防する5つの方法
マットレスのダニ予防には、ダニが繁殖しづらい環境作りが大切。ダニ退治が成功しても、繁殖条件が揃えばその数は増えてしまう。清潔なマットレスで毎晩気持ちよく眠れるように日頃の対策を徹底し、ダニが住みにくい環境を維持しよう。
5-1.寝室の湿度管理、掃除を徹底する
晴れた日は窓をこまめに開けて、寝室の風通しをよくしよう。理想は、ダニの繁殖に適さない湿度「55%以下」を常にキープすること。雨の日や窓が開けられない事情がある場合は、エアコンのドライ機能や除湿器を利用して、なるべく湿度が下がるよう調整してみて。
また、寝室やマットレスには定期的に掃除機をかけ、ダニの餌になるものを取り除くのも大切。空気清浄機は、ほこりやフケ、ダニの死骸などを吸い取ってくれる。湿気の多い不衛生な環境はダニにとって絶好の繁殖場所なので、掃除は毎日の習慣にするのがおすすめ。
5-2.マットレスの風通しには気を遣う
マットレスを壁や窓にくっつけたり、床に直置きしたりしないように気を付けて。床や壁に接触していると湿気の逃げ場がなくなり、ダニが繁殖しやすくなる。壁とマットレスは10cm程度離し、湿気がたまらないよう心がけて。マットレス内部の湿度が気になる場合は、除湿シートや敷きパッドで対応しよう。
5-3.置くタイプのダニ忌避剤を設置する
手軽にダニを予防するなら、置くタイプのダニ忌避剤がおすすめ。ダニ忌避剤は殺虫剤に比べて安全性が高く、ダニを寄せつけない環境作りにぴったり。ダニが嫌がる天然成分を利用しているので、子供やペットがいる家庭でも安心感を持って使える。
5-4.防ダニ性の高いマットレス、シーツを使う
マットレスやシーツには、防ダニ加工が施されているものや、ダニそのものが発生しにくい素材の製品がある。マットレスの場合、ウレタンやファイバー、ラテックス素材のものはダニが繁殖しづらい。
また、防ダニ加工のシーツには「薬剤加工」「防水加工」「高密度織り」の3種類があり、それぞれ特徴や値段が異なる。自分に合ったタイプを選んで、効率よくダニを予防しよう。
薬剤加工防ダニシーツ
繊維に防ダニ用の薬剤を混ぜており、ダニが寄りつかないようにしているシーツ。薬剤は安全性に配慮されているため、子供用としても使える。良心的な価格だが、洗濯や天日干しのたびに効果が薄れる。
防水加工防ダニシーツ
防水加工が施されているシーツ。裏面に施された樹脂のラミネート加工が、水分やダニをシャットアウト。皮脂、フケ、ホコリなどダニの餌になるものを通さず、清潔に使用できる。
高密度織り生地シーツ
繊維を高い密度で織り込んでいて、通常よりも隙間を少なく設計した高密度織り生地シーツ。ダニを通しにくく、洗濯や天日干しをしても効果は薄れない。ただし、ポリエステル素材は蒸れやすいので、暑がりな人や汗をかきやすい人は、少し高価な綿の製品がおすすめ。
5-5.マットレスやシーツ類はこまめに手入れする
マットレスは定期的に立てて、風通しのいい場所に陰干ししよう。特に梅雨時から夏場は湿度が高くてダニも繁殖しやすいため、こまめな手入れが大切。週に一度はシーツ類も洗濯して、ダニの餌となる汚れを取り除くと効果的。ダニ予防洗剤を使えば、より効率的にダニ対策ができる。
6.マットレスのダニについてよくある質問
Q.マットレスにダニがいるか見分ける方法は?
マットレスをめくったときに白い粉状のものが散らばっているなら、ダニが潜んでいる可能性があります。白い粉状のものはダニの死骸で、掃除機のフィルターなどでもよく目にします。
また、寝る前に皮膚の痒みや咳、くしゃみなどの症状が現れる場合も、ダニの大量発生が疑われます。肉眼でダニを確認したいときは、市販の「ダニ目視キット」を使えばチェックできますよ。
Q. マットレスに寝ると痒いのはダニが原因?
眠るときに身体が痒くなる原因は、マットレスの素材に対するアレルギー、肌の乾燥、カビなど、ダニ以外にも複数あります。
ダニが原因で痒みを感じる場合、身体を這うようなぞわぞわ感を伴うことが多いので、痒みの質をチェックしてみて。お腹や太ももなど柔らかい部分に赤い発疹が見られる場合は、人を刺すツメダニが潜んでいるかもしれません。
Q. ダニが発生したマットレスは捨てるしかない?
マットレスにダニが潜んでいても、正しい方法で駆除すれば退治できます。ただし、購入してから年数が経っていて汚れや劣化がひどい場合には、買い替えを検討したほうがよいでしょう。
以前より寝心地が悪く感じたり、ギシギシときしむ音がしたりするなら、マットレスが寿命を迎えているサインです。良質な睡眠のためにも、古いマットレスは思い切って処分しましょう。