マットレスは直置きしていいの? デメリットやカビ対策を解説

部屋を広く見せる効果やインテリアが映えるおしゃれさから、マットレスを直置きしたいと思っている人も多いのでは? ただ、カビやハウスダストの発生など、デメリットが気になるもの。そこで、この記事ではマットレスを直置きするデメリットやケア方法に加えて、直置きするならどんなマットレスを購入すべきかという選び方もご紹介。マットレスの扱い方を知って、ぜひ快適な睡眠に役立てて。

更新日:2023/08/15

今回お話を聞いたのは・・・

睡眠セラピスト 松本美栄(まつもとみえ)さん

睡眠デトックス・姿勢美矯正サロン「プロスパービューティー」オーナー。一般社団法人 濃縮睡眠協会 代表理事。自らの実体験をもとに、疲れを解消し日中のパフォーマンスを上げる睡眠法の研究をはじめ睡眠の効率を極限まで高めるメソッド「濃縮睡眠R」を開発。経営者や士業など、多忙を極めるビジネスパーソンやアスリートなどの間で評判になる。「睡眠の変化から人生の豊かさをより感じられる人を増やす」ことを目標にサロンでの施術・カウンセリングや座学の提供のほか、メディアへの出演も行っており、これまでに延べ6000人以上の睡眠に関する悩みを解決。著書に、「誰でも疲れない体が手に入る 濃縮睡眠メソッド」(かんき出版)、「パフォーマンスを劇的に変える!快眠習慣」(自由国民社)がある。

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一般社団法人濃縮睡眠協会 ウェブサイト

1. マットレスの直置きとは?

自宅でマットレスを使用する場合、床にすのこやベッドフレームを置いてからマットレスを敷くのがスタンダード。しかし、マットレスの直置きでは、フローリングや畳などの床に直接マットレスを置いて使用する。直置きでマットレスを使いたいなら、通気性と吸放湿性、お手入れのしやすさに優れた商品を選ぼう。

2. マットレスを直置きするメリット

2-1. 部屋の圧迫感がなくおしゃれに見える

マットレスを直置きすれば高さが抑えられるため、空間が広く見え、圧迫感を少なくできるのがメリット。生活感が出てしまいがちな、すのこやベッドフレームがなければ、おしゃれなインテリア空間を演出しやすくなる。

2-2. 転落防止など安全性に配慮できる

大人からすれば高さを感じないベッドフレームも、小さな子供やペットからすると大きな段差に感じられる。子供やペットが高い位置から落下する事故を防ぐため、ベッドフレームを使わずマットレスを直置きすることが役に立つ。

2-3. 引っ越し時のコストカットや持ち運びやすさ

すのこやベッドフレームなどを使用しない分、コストが浮くのも嬉しいポイント。特に、引っ越し直後は寝具以外にもお金がかかるので、しばらくはマットレスだけで過ごすのもひとつの手。また、次に引っ越すことになったときや、部屋の模様替えをしたいときなどでも、マットレスだけなら持ち運びの手間がかからない。

2-4. 腰痛対策になる

和室の畳に布団を敷いて寝る場合、腰痛持ちの人にとっては、布団のクッション性のなさや薄さが負担になってしまう。その点、体圧分散性に優れているマットレスなら、寝返りもスムーズに行えて腰痛対策にうってつけ。近年では、腰痛などの体の不調に特化したマットレスも豊富なので、悩みや体形にフィットするものを見つけやすい。

布団からマットレスに買い替えた際に、もったいないからと布団をベッドパッド代わりに使用するのはNG。体が沈み込みやすくなり、腰への負担が大きくなってしまう。マットレス専用のベッドパッドを購入し、布団は処分するようにしよう。

3.マットレスを直置きするデメリット

3-1. 湿気、カビの発生

マットレスを直置きすると、床との接地面に結露が生じたり、汗によって湿気がこもったりして、カビが発生しやすくなる。なにも対策せずにマットレスを直置きで使い続けると、どんどんカビが繁殖するので要注意。

3-2. ハウスダストの発生

ハウスダストは、小さなホコリやダニの糞、死骸などが集まった微粒子を指し、アレルギー症状の原因になる。掃除機などでは取り切れず、床面に残ってしまいやすい。

マットレスの直置きは床に近い位置で寝るため、ハウスダストを吸い込みやすくなる可能性がある。特に、アレルギー症状が起こりやすい体質の人は気を付けて。

3-3. 底冷えする

フローリングや畳などの冷気によって、体が冷えてしまう底冷えにも注意が必要。マットレスの下空間に空気の断熱層がつくられないため、床の冷気がマットレスを通り、ダイレクトに体へ伝わってしまう。特に、冬場は冷えやすく、底冷えによって睡眠を妨げられ、不眠の原因になる可能性も。厚めのマットレスを使用すれば、底冷えの対策になる。

3-4. マットレスの劣化が早くなる

直置きをするとマットレスの湿気が逃せず、内部にこもりやすくなる。カビの発生リスクなどが高まり、マットレスの劣化が早まってしまう。

特に、ウレタン素材のマットレスは、湿気の影響で弾力性が失われやすい。また、金属製のスプリングコイルが含まれるマットレスは、湿気が原因で内部のスプリングが錆び、睡眠中に折れる危険性があるため要注意。

4. マットレスを直置きして快適に使うための対策

4-1. 湿気対策

「ベッドパッド」を敷く

湿気対策には、マットレスの上にベッドパッドを敷くのがおすすめ。人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかくと言われていて、マットレスにも多くの寝汗が染み込んでいる。ベッドパッドを敷けば、直に寝汗が染み込むのを防げる。

近年は、湿気を防ぎやすい「除湿パッド」などの種類も豊富。季節に合わせた複数枚のベッドパッドを用意して、こまめに洗いながら交換すれば、湿気対策を行いながら衛生的に眠れる。

部屋の換気をする

湿気を逃すために、こまめな部屋の換気が大切。湿気が多くて換気が難しい梅雨時期は、除湿剤や除湿機を活用して対応しよう。また、洗濯物の部屋干しは湿気の原因になるため、寝室での部屋干しはなるべく避けるのがベター。

マットレスを立てかける

マットレスと床を乾燥させるために、マットレスを使っていないときは立てかけておくのがおすすめ。頻繁に立てかけられない場合は、マットレスの下に本などを挟んで空間をつくり、扇風機の風をあてよう。部屋の換気と組み合わせれば、効率的に湿気を飛ばせるのでお試しあれ。

4-2. 結露対策

すのこマットを敷く

床の結露は冷たいフローリングと暖かい空気の温度差で生じるため、直置きだと結露対策は難しい。床との間に隙間をつくって温度差を抑えるには、マットレスの下にすのこマットを敷くのがおすすめ。床を傷つけない「マットレス用のすのこ」が市販で売られているので、マットレスのサイズに合わせて購入しよう。
また、すのこマットは湿気によるカビ対策にも有効。結露もカビも心配な人はぜひ取り入れてみて。

アルミシートを敷く

マットレスと床の間に断熱効果のあるアルミシートを敷くと、体温によるマットレスの熱が床へ伝わりにくくなる。床との温度差を抑えられ、結露の発生を防げる。さらに、冬は暖かく感じられるため、快適に眠れるのも嬉しいポイント。

コルクマットを敷く

空気の層による温度差の緩和も効果的。空気をたくさん含むコルクでできた軽量なコルクマットなら、直置きのメリットそのままに結露を防げる。コルクの高いクッション性によって、直置きでも床を傷付けにくくなる点もメリット。

4-3. ハウスダスト対策

ダニの死骸やカビ、汗や皮脂など、目に見えない汚れからなるハウスダストは、床やマットレス表面だけでなく、部屋中を舞っているもの。除去するためには、部屋全体をこまめに掃除するのが大切。また、水洗いが効果的なので、シーツやベッドパッドは頻繁に洗濯をして取り替えよう。

4-4. 劣化対策

体重負荷が分散されるよう、3カ月に一度を目安に、マットレスの上下や表裏を入れ替えて使うのがおすすめ。マットレスは基本的に、上下や表裏が決まっていない場合がほとんどのため、寝心地が極端に悪くはなりにくい。また、コイルが内蔵されているマットレスの場合は、飛び跳ねたり過度な運動をしたりすると、コイルが壊れて劣化につながる可能性がある。

5. 直置きするマットレスの選び方

5-1. ノンコイルマットレスならお手入れしやすい

マットレスは定期的に立てかけたり、風通しのよい場所に運んだり、上下、裏表を入れ替えたりと、意外と動かす機会が多い。「コイル式マットレス」は厚みと重量があって運びにくいため、「高反発または低反発のウレタンフォーム」「高反発ファイバー」など、軽い素材のノンコイルマットレスを選ぼう。

5-2. 体を支えられる厚さのマットレスなら快眠できる

薄いマットレスを使うと、寝ているときの体を支えられず、寝返りも打ちにくい。自分では気付かないうちにダメージが蓄積し、体の負担や不調につながる可能性も。特に、腰痛や肩こりを持っている人は、自身の体重を支えられるのに必要な分厚さのマットレスを使おう。

また、厚さ以外に弾力性の有無を確認するのも重要。弾力性のないマットレスだと、体全体を支えきれず、正しい寝姿勢を維持できない。厚さと弾力性のどちらもチェックし、自分にぴったりのマットレスを見つけてみて。

5-3. エア系の折り畳み式マットレスなら自宅で丸洗いできる

折り畳み式のマットレスは、使わないときに手軽に立てかけておけるのでおすすめ。素材がエア系のマットレスなら、ほとんどの場合は自宅のお風呂場で丸洗いできるため、清潔感をキープできる。

6. マットレスの直置きに関するQ&A

Q. マットレスを直置きしたら毎日立てるべき?

毎日立てたほうがカビ対策にはなりますが、難しい場合は立てられるときに立てるようにしましょう。特に、たくさん寝汗をかいたときや、部屋を閉め切って温度が高くなるときは、カビの繁殖を防ぐためにもマットレスを立てる回数を増やしてください。敷きっぱなしにしておきたい場合は、すのこや除湿シートを敷いて対策しましょう。

Q. 直置きしていたマットレスにカビが生えてしまった・・・

カビが生えてしまったら、消毒用エタノールをマットレスに吹きかけて1時間程度放置し、湿らせた雑巾で取り除きましょう。それでも取れないガンコなカビには、業者に出張クリーニングをお願いする方法もあります。購入から年数が経っている場合は、買い替えを検討してもよいかもしれません。

Q. 畳に直置きするマットレスの適切な厚みは?

畳に敷くマットレスは、10cm前後の厚さが理想的です。軽量でマットレスを立てかけるのも簡単なので、使わないときは居住スペースを確保できます。薄すぎない適度な厚みが、快適な寝姿勢をサポートしてくれます。

Q. カーペットに直置きしても大丈夫?

カーペットへの直置きは問題ありません。特に、冬場はフローリングからの熱が伝わりにくくなるため、床の冷気を遮る一助にもなります。

寝汗や湿気によるカビを対策するなら、コイルマットレスなどの空気をたくさん含んだマットレスがおすすめ。梅雨時期には、カーペットとマットレスの間に除湿マットを敷いたり、頻繁にマットレスを立てかけたりして対策しましょう。

※記事は2023年8月15日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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