【婦人科医監修】更年期・慢性的なだるさを改善する方法とは?|原因や対処・治療法を徹底解説
朝、布団から起き上がれない。経験したことのないだるさで家事や仕事ができなくなった・・・。そんな、更年期に起こる異常なだるさに悩まされている人へ、兵庫県西宮市にある「直レディースクリニック」の院長・竹村 直也さんに聞いた、更年期のだるさの原因や対策をご紹介。
更新日:2021/12/16
更年期・更年期障害によるだるさの症状とは
しっかり寝たのに疲れがとれない、頭がボーッとしてやる気がでない、激しい運動をしたわけではないのに全身がだるいなど、だらだらと続く倦怠感や無気力感は更年期女性の主な症状のひとつ。以前と比べて、「気力、体力ともに、もたなくなった」と感じたら更年期に入ったサインかも。
更年期・更年期障害によるだるさの症状の原因
更年期は、卵巣機能が低下し、女性ホルモンが急激に減少するとき。女性ホルモンの分泌をコントロールしている脳の一部「視床下部」がいくら指令を出してもホルモンが分泌されないため、脳は軽いパニック状態に。バランスを戻そうとムリを重ねてしまう。それが疲れやだるさとなってしまう。
更年期障害の疲れ・だるさと間違いやすい病気
だらだらと続く疲れやだるさは、ほかの病気でもみられるため、更年期のせいなのか見分けがつかないことも。特に、甲状腺ホルモンの分泌が低下する「甲状腺機能低下症(橋本病)」の症状は、更年期の倦怠感や無気力感と非常によく似ている。不調を感じたら、迷わず婦人科を受診しよう。
更年期・更年期障害によるだるさの症状の対処法
バランスのいい健康的な食生活
偏った食生活は、代謝がうまくできなくなって疲れを溜め込む原因になってしまう。まずは、バランスのいい健康的な食生活を心がけよう。一方で、食べ過ぎもNG。特に動物性たんぱく質や脂質が多い食事、インスタント食品を過剰にとると腸内環境が悪化し、めぐりが滞る原因に。体重も増えて、体を動かすためにエネルギーを浪費することから疲れやすい体になってしまう。
漢方薬
食生活を変えても改善しないなら、漢方薬を取り入れるのもあり。無気力感や倦怠感など、心と体のだるさに効果的なのが「加味帰脾湯(かみきひとう)」。気と血を補う生薬が配合されていて、気血を整え、弱っているカラダを改善してくれる。体質にもよるので、初めての人は専門医に処方してもらうのがベター。
ホルモン補充療法
だるいのが女性ホルモンの乱れによるものであれば、ホルモン補充療法が効果的。ホルモン補充療法は、女性ホルモンのエストロゲンを補充することにより疲労感、倦怠感などを軽減させる治療法。投与スタイルを、飲む、貼る、塗るなどから選べて、ムリなく続けられるのがいい。ただし、肝障害があったり、不正出血があったりすると投与できない場合もある。
お話をお伺いしたのは、医師 竹村 直也さん
直レディースクリニック・院長、産婦人科専門医。神戸大学病院他で産婦人科専門医として勤務したのち、2020年に直レディースクリニックを開業。「患者さんの身近にあり寄り添い、安心できるクリニック」をモットーとしていて、患者さんからの信頼も厚い。
WRITING/KANO NUMATA、ILLUSTRATION/HARUKA OSHIMA