【婦人科医監修】更年期・吐き気やムカつきを改善する方法とは?|原因や対処・治療法を徹底解説
前触れもなく急に気持ち悪くなったり、食欲がわかなかったり・・・。更年期に多く見られる吐き気やムカつきについて悩む人へ、兵庫県西宮市にある「直レディースクリニック」の院長・竹村 直也さんに聞いた、更年期症状のひとつ、消化器系の吐き気などのトラブルの原因や対策をご紹介。
更新日:2021/12/16
更年期・更年期障害による吐き気の症状とは
いつもの食生活と変わらないのに急に吐き気や胃もたれを感じるようになったら、更年期に突入したサインかも。胃腸の調子が悪くなった、急に気持ち悪くなる、食欲が起こらない、前触れもなくつわりのように吐き気がする・・・。そんな胃腸に関わるトラブルが更年期には起こりやすくなる。
更年期・更年期障害による吐き気の症状の原因
なぜ、更年期になると胃腸のトラブルが出やすいのか? それは、胃腸の働きが自律神経によってコントロールされているから。更年期に入り、女性ホルモンの分泌が減ると、自律神経が乱れやすくなる。すると、胃が正常に動かなくなり、唾液の分泌が減ったり、消化を助けるアミラーゼという酵素が減少して、消化力が弱くなってしまうため、すぐ胃もたれなど不快感を感じやすくなってしまう。
更年期・更年期障害による吐き気の症状の対処法
口内環境を整える
吐き気やムカつきがあると、食後の歯のブラッシングがていねいにできなくなることも。口の中が不衛生になると、不快感からさらなる吐き気につながってしまう。気分が優れないときは、食後にとらわれず、体調が良くなったタイミングで歯磨きをするように心がけて。口内がさっぱりしていると吐き気が抑えられやすいため、レモン味の洗口液でひんぱんに口をすすぐなどのオーラルケアも効果的。
食事(イソフラボンを摂取)
更年期による吐き気の症状は、女性ホルモンのバランスが乱れたことによるもの。なので、女性ホルモンと似た働きをする“イソフラボン”を食事やサプリメントで補ってあげるのもいい。大豆イソフラボンは豆腐や納豆、豆乳、油揚げなどに含まれている。積極的に摂取し、女性ホルモンの働きをアップしよう。
ツボ押し
ひどい吐き気はツボ押しで楽になることもある。みぞおちとへその間にある「中脘(ちゅうかん)」は、胃と繋がりのあるツボで、吐き気、膨満感、むかつきなどに、手のひらの中央のくぼみ「労宮」は、食欲不振、吐き気に、手首の内側のシワの指3本分下にある「内関」は胃の痛み、むかつきを改善し、リラックスさせる働きがある。気持ちいいくらいの強さで30回ほど揉み、胃がすっきりするのを実感して。
漢方
とにかく辛い更年期。5~10年と長期戦になる場合もあるから、ゆるやかに体質改善を図りたい。植物や鉱物などの生薬を組み合わせた漢方薬は、西洋薬のような即効性はないものの、続けることで少しずつ症状の改善が期待できる。吐き気にいいとされるのは「五苓散(ごれいさん)」「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」「六君子湯(りっくんしとう)」など。漢方薬は体質に合っていてこそ効果が現れるので、自己判断せず専門医に選んでもらおう。
専門家に相談
急に吐き気をもよおしたからといって、更年期と決めつけてしまうのは危険かも・・・。胃もたれや胃の痛みは胃腸炎や胃癌などの疑いもあるため、きちんと専門医の診察を受けるようにして。
お話をお伺いしたのは、医師 竹村 直也さん
直レディースクリニック・院長、産婦人科専門医。神戸大学病院他で産婦人科専門医として勤務したのち、2020年に直レディースクリニックを開業。「患者さんの身近にあり寄り添い、安心できるクリニック」をモットーとしていて、患者さんからの信頼も厚い。
WRITING/KANO NUMATA、ILLUSTRATION/HARUKA OSHIMA