【婦人科医監修】更年期・イライラの症状を緩和する方法とは?|原因や対処・治療法を徹底解説
無性にイライラして家族に八つ当たりしてしまった。感情を抑えられず怒ることが多くなった・・・。更年期のイライラについて悩む人へ、兵庫県西宮市にある「直レディースクリニック」の院長・竹村 直也さんに聞いた、更年期症状のひとつであるイライラの原因や対策をご紹介。
更新日:2021/12/16
更年期・更年期障害によるイライラの症状とは
更年期になると、ちょっとしたことにイライラしたり、怒りっぽくなるなど、感情のコントロールが難しくなる。前は気にならなかったことに急にイライラする、パートナーや家族に対して怒りが爆発してしまう、感情の起伏が激しい、ささいな出来事に腹がたつなど、ネガティブな症状は更年期によるものかも。
更年期・更年期障害によるイライラの症状の原因
女性ホルモンのエストロゲンは、気分を高揚させたり幸福感をもたらしてくれる神経伝達物質、セロトニンを活性させる。セロトニンはストレスを抑える神経伝達物質、ノルアドレナリンの分泌をコントロールしているため、女性ホルモンが減少すると、セロトニン、ノルアドレナリンとも低下。それによって脳の“幸せ感”が足りなくなり、些細なことで不安やイライラを感じてしまうようになる。
更年期・更年期障害によるイライラの症状の対処法
トリプトファンを含む食事
更年期によるイライラ感は食事でとることで改善することもできる。とりたいのは“幸せホルモン”セロトニンを作る材料の必須アミノ酸、トリプトファン。牛乳やヨーグルトなどの乳製品、納豆、豆腐などの大豆製品、バナナ、玄米などに多く含まれている。セロトニンの合成に炭水化物とビタミンB6も必要なため、玄米ご飯、納豆、卵、豆腐の味噌汁といった典型的な日本人の朝食が理想的。時間がないときは、これら3つの要素をすべて含むバナナを1本とるだけでもOK。
適度な運動
セロトニンの活性を促すにはリズム運動がいい。一定のリズムで筋肉の緊張と弛緩を繰り返す運動のことで、ウォーキングや軽いジョギング、自転車こぎなどがある。最初の5分後くらいからセロトニン濃度が高まり、20~30分でピークに。疲れを感じるまでやると、かえってセロトニンが低下してしまうのでほどほどで切り上げて。時間帯は、セロトニンは太陽の光で活性化されやすいので朝や日中がおすすめ。不安や抑うつ感が改善されるだけでなく、ポジティブな気分に導いてくれる。
良質な睡眠
イライラして怒りっぽくなるのは睡眠不足が原因かも。眠れていないと交感神経優位になるため、イライラしたり、気分を落ち込ませてしまう。反対にしっかり眠れていると副交感神経が働き、ストレスが軽減されて日中のイライラも起こりにくくなる。眠りの質を上げるためには、就寝の2~3時間前に入浴し、寝る前のスマホをやめて、本を読んだり、音楽を聴いたり、リラックスして過ごそう。
サプリメントや漢方で体質改善
更年期によるイライラは、サプリメントや漢方で対処するのもひとつ。西洋薬のように即効性はないけれども、生活習慣の改善と併用することで少しずつ気持ちが楽になり症状が改善されることも多い。体質によって効果的なサプリや薬が異なってくるので、最初は専門家に選んでもらうのがいい。
更年期・更年期障害によるイライラの症状のQ&A
最近イライラしてしまうことが増えたのですが、更年期が始まったのでしょうか。
更年期になると、ちょっとしたことにイライラしたり、怒りっぽくなるなど、感情のコントロールが難しくなることも。>イライラの症状の原因を見る
更年期のイライラにはどう対処すればよいですか?
生活習慣を見直して、“幸せホルモン”セロトニンを活性化させよう。全く症状が改善されない場合は、専門医を受診して。>詳しく見る
お話をお伺いしたのは、医師 竹村 直也さん
直レディースクリニック・院長、産婦人科専門医。神戸大学病院他で産婦人科専門医として勤務したのち、2020年に直レディースクリニックを開業。「患者さんの身近にあり寄り添い、安心できるクリニック」をモットーとしていて、患者さんからの信頼も厚い。
WRITING/KANO NUMATA、ILLUSTRATION/HARUKA OSHIMA