【婦人科医監修】更年期・異常な眠気を解消する方法とは?|原因や対処・治療法を徹底解説
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朝起きれなかったり、大事な会議であくびを連発したり。だるくてソファから動けなくなり、「どうしていつも寝てるの?」と家族に指摘されることも・・・。そんな、更年期に見られる異常な眠気について悩む人に、兵庫県西宮市にある「直レディースクリニック」の院長・竹村 直也さんに聞いた、更年期障害のひとつとして起こる過度な眠気や不眠の原因や対策をご紹介。
更新日:2021/12/16
更年期・更年期障害による眠気の症状とは
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ベッドに入ったのに目が冴えてなかなか眠れない、夜中に何度も目がさめる、眠りが浅い、しっかり寝たのに熟睡感がなくスッキリしない、昼間にあくびがたくさんでる、強い眠気に襲われる・・・。これらの不眠や異常な眠気は、更年期・更年期障害の症状のひとつとして多くの女性に見られる。
更年期・更年期障害による眠気の症状の原因
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女性ホルモンの分泌低下
更年期を迎えると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下する。エストロゲンは「抗ストレスホルモン」という呼び名もあるように、気持ちを明るくする効果がある。この分泌が低下するとストレスに対する抵抗力が弱くなり、睡眠の質も低下して、異常な眠気を引き起こすことがある。
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自律神経の乱れ
眠気の原因として自律神経の乱れもあげられる。自律神経と睡眠との関係は深く、昼間は交感神経が活発で活動的なモードに、夜になると副交感神経が活発になって体や脳がお休みモードにシフトする。ところが、女性ホルモンの低下により自律神経のバランスが乱れると、交感神経と副交感神経の切り替わりがスムーズにいかなくなって、うまく眠りにつけなくなり日中の眠気へとつながる。
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加齢
加齢も眠気の原因のひとつ。成長期の子供にとって睡眠は、集中力や記憶力のアップ、脳や心身の休息、さらには成長を促進するために欠かせない。ところが、中高年になると、若いときほどの深い眠りがいらなくなる。そのため、夜中に起きる回数が増えたり、レム睡眠の時間が少なくなったりして、熟睡感が得られなかったり眠気やだるさを感じてしまう。
更年期・更年期障害による眠気の症状の対処法
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サプリメントを飲む
寝つきが悪い、日中眠くなることがあるなどの軽い症状なら、気軽に始められるサプリメントもあり。睡眠系だと、体内時計をつかさどるメラトニン、神経の興奮を抑えるGABAやセロトニンを配合したものなど。薬のように直接的に眠気をもよおすわけではないけれど、ゆるやかな効果を実感できるかも。
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漢方を飲む
不眠に悩んでいるけど、睡眠薬に抵抗があり、できるだけ自然の摂理に任せたいという人なら漢方薬もいい。漢方薬は、自然の生薬を組合せて作られているため、体に優しいのがポイント。体質改善を目的としており、根本的な解決につながるのもいい。おすすめは、不眠症や貧血、神経症の治療に使用される「加味帰脾湯」、更年期障害、月経痛の人向けの「加味逍遙散」、不眠や精神不安に適した「酸棗仁湯」など。体質によってあう薬が違うので、初めての人は専門の薬局で処方してもらおう。
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生活習慣の改善
寝不足は生活リズムの見直しも大切。まず、快眠のためには体内時計を正すこと。朝起きたらしっかり朝日を浴びる。ウォーキングや散歩など適度な運動をして、規則正しい食事、入浴してしっかり体を温めたり、夕方以降のカフェインは避けたほうがベター。寝つきを良くするため、就寝前にはスマホやパソコンを使わないように。週末の寝だめは睡眠サイクルを乱すので1、2時間程度に抑えよう。
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深刻な場合は婦人科へ
眠れないのが数日~3週間程度なら、一時的なストレスだったり、気温の変化などでも起こるのであまり気にしないでOK。ただし、1カ月以上にわたる不眠なら、なんらかの病気が潜んでいることも。「気のせい」「更年期だから」と我慢せず、婦人科に相談して。
勘違いしやすい、似たような症状
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不眠が更年期によるものと思ったら、意外な病気が隠れていることも。特に更年期に起こる不眠の症状と間違われやすいのが、甲状腺ホルモンが多すぎる甲状腺疾患の「甲状腺機能亢進症」(バセドウ病など)。更年期障害で引き起こる症状と酷似しているため、自己判断せず医者にかかろう。
更年期・更年期障害による眠気の症状のQ&A
今まで、しっかり眠れていたのに、急によく眠れなくなりました。更年期の影響でしょうか?
眠気の症状は、更年期・更年期障害の症状のひとつとして多くの女性に見られるものです。1カ月以上にわたる不眠なら、なんらかの病気が潜んでいることもあるので病院へ行きましょう。>眠気の原因について詳しく見る
日中に強い眠気を感じてしまいます。どう対処したらよいでしょうか。
軽い症状なら、気軽に始められるサプリメントも。薬のように直接的に眠気をもよおすわけではないけれど、ゆるやかな効果を実感できるかもしれません。>眠気の症状の対処法を見る
お話をお伺いしたのは、医師 竹村 直也さん
直レディースクリニック・院長、産婦人科専門医。神戸大学病院他で産婦人科専門医として勤務したのち、2020年に直レディースクリニックを開業。「患者さんの身近にあり寄り添い、安心できるクリニック」をモットーとしていて、患者さんからの信頼も厚い。
WRITING/KANO NUMATA、ILLUSTRATION/HARUKA OSHIMA