【婦人科専門医監修】更年期・動悸のつらい症状を鎮める方法とは?|原因や対処・治療法を徹底解説
ハードな運動をしたり緊張しているわけじゃないのに、胸がドキドキして息苦しくなったり・・・。更年期に突然起こる「動悸」について悩む人へ、兵庫県西宮市にある「直レディースクリニック」の院長・竹村 直也さんに聞いた、更年期症状のひとつである動悸の原因や対策をご紹介。
更新日:2021/12/16
更年期・更年期障害による動悸・息切れの症状とは
急に胸がドキドキする、少し歩いただけで息苦しくなる、突然脈が早くなる・・・。本人に心当たりがまったくないのに引き起こる呼吸や脈動のトラブルは更年期に見られる動機の主な症状である。
更年期・更年期障害による動悸・息切れの症状の原因
なぜ、更年期になると動悸が起きるのか? 通常、拍動や呼吸は体内に無数にある神経のうち、内臓などの働きを調整する「自律神経」によってコントロールされている。この自律神経を司るのが脳の一部の「視床下部」であり、ここは女性ホルモンの司令塔でもある。更年期に入ると、視床下部が「女性ホルモンを増やせ」という指令を出し続けても、女性ホルモンの分泌が低下するため、ついに脳がパニックに! その影響で自律神経のバランスも崩れて、動悸、息切れを引き起こしてしまう。
更年期・更年期障害による動悸・息切れの症状の対処法
腹式呼吸
更年期の症状として動悸が起きているときは、交感神経が優位になり、自律神経のバランスが乱れている。そのため、副交感神経が優位になるように身体にアプローチすればいい。
いちばん簡単な方法が「腹式呼吸」。腹式呼吸とは、息を吸った時におなかを膨らませ、息を吐くときにおなかをへこませる呼吸法のこと。私たちが普段している「胸式呼吸」が交感神経に働きかけるのとは逆に、腹式呼吸は副交感神経を活性化させることができる。動悸や息苦しさを感じたら、意識して腹式呼吸に切り替えてみて。息をゆっくり吐くほど、動悸や息切れをしずめることにつながる。
一日の生活リズムを見直す
動悸を起きにくくするには、自律神経のバランスを保つことが大切。それには、一日の生活リズムを見直すこと。朝起きて太陽の光を浴びて体をリセットし、夜は12時前までに寝る習慣を。同時に、適度な運動やバランスのとれた食生活など規則正しい暮らしを心がけて、ストレスも溜めないようにしたい。自律神経のバランスが整えば、急にドキドキするような症状も次第に落ち着いてくるはず。
専門家に相談
いきなり、思いもかけないタイミングで発作が起こってしまうのが更年期の動機の辛いところ。通勤電車の中や会議中などで急に息苦しくなったら・・・と怖くなるけれど、焦ったり、ストレスを溜め込むと交感神経を優位にさせてしまい逆効果に。不安を感じたら、婦人科など専門医に相談しよう。
更年期・更年期障害による動悸・息切れの症状のQ&A
突然脈が早くなったり、息切れしたりします。更年期の症状でしょうか?
更年期症状とは限りません。貧血や心臓疾患、甲状腺機能亢進症でも動悸が起こりうるため、これらの病気の除外診断が必要です。>更年期・更年期障害による動悸の原因を見る
動悸や息切れを軽減するために、普段の生活で気をつけることはありますか?
副交感神経が優位になるように心がけましょう。いちばん簡単な方法が「腹式呼吸」です。動悸や息苦しさを感じたら、意識して腹式呼吸に切り替えてみてください。>詳しく見る
お話をお伺いしたのは、医師 竹村 直也さん
直レディースクリニック・院長、産婦人科専門医。神戸大学病院他で産婦人科専門医として勤務したのち、2020年に直レディースクリニックを開業。「患者さんの身近にあり寄り添い、安心できるクリニック」をモットーとしていて、患者さんからの信頼も厚い。
WRITING/KANO NUMATA、ILLUSTRATION/HARUKA OSHIMA