快便には朝5分のトイレ習慣がいい?腸活の噂!ウソ・ホント。スペシャリスト・内藤裕二先生に真相を直撃【美腸活の処方箋vol.2】

あなたの腸年齢いくつ?腸活の噂!ウソ・ホント。スペシャリスト・内藤裕二先生に真相を直撃【美腸活の処方箋vol.2】

更新日:2024/08/20

日々の心がけで腸を整えると、お肌ツルツル、ココロ健やかといいことづくめ! そんな話題の「腸活」で美と健康をパワーアップするコツをスペシャリストから学ぶ「美腸活の処方箋」。第2回目は「腸活の噂!ウソ・ホント」。年々暑さが厳しくなっている今、冷房や食欲不振で気付かぬうちに腸に負担がかかっているかも!? まずは腸年齢診断をして、夏だからこそ押さえておきたいポイントを知って正しい腸活をしよう!

あなたの「腸年齢」はいくつ?まずは診断してみよう

腸内細菌研究で名高い、内藤裕二先生が数多く発表した論文をもとに作成した「腸年齢」チェック診断。まずはより効果的な腸活をめざすために、今の自分の腸はどんな状態なのかセルフチェックをしよう!

■「腸年齢」の診断方法■
下記、10項目の「腸年齢」チェックリストで自分の状態をチェック。その個数を左図の式に当てはめて、「腸年齢」を算出してみよう。それがあなたの「腸年齢」です。
<例>あなたが今30歳で、チェックした項目が「0個」なら20歳。「2個」なら26歳、「3個」なら29歳。

■「腸年齢」チェックリスト■
□帝王切開で生まれた
□都会で生まれて、都会で育った
□母と食べ物、衣類の好みが違う
□この2年間にインフルエンザにかかった
□おならが臭い、または、臭いといわれる
□コロコロとした、便が多い
□やわらかい便が多い
□朝食後にトイレに行かない
□大腸ポリープがあるといわれた
□抗生物質や胃酸分泌抑制薬をのむことが多い

■夏こそ知っておきたい!腸活の噂のウソ・ホント5

Q1.トイレは毎朝5分がいいと聞くけど、猛暑の時期でも同じ時間で済ませるべき?

■答え:ウソ。3分ほどで済ませましょう

「夏でも毎朝トイレに行くことは大切ですが、夏場は5分は長すぎます。長時間いきむと肛門に負担がかかってしまうので、いきむのは3分を目安にしましょう。

快便へのポイントは、朝ごはんを食べ終えたタイミングでトイレに行くこと。朝、胃に食べ物が入ると、その刺激で大腸の蠕動運動が起こり、腸に溜まっていたものが運ばれ、スッキリ排便につながるわけです。

なので、朝ごはんを食べないままトイレに行ってもあまり意味はありません。夏バテなどでどうしても朝食をとれない日は、朝いちばんに水分を多めにとって腸を刺激してあげましょう」(内藤先生)

Point

・トイレでいきむのは3分を目安に
・朝ごはんを食べ、腸を目覚めさせてからトイレへ行こう

Q2.冷たいものを飲みがちな夏。お腹を温めると腸が整うの?

■答え:ホント。冷えは腸の動きを悪くさせます

「冷えは腸活の天敵です。腸活に励んでいるけど効果が出ないという人は、もしかしたら冷房や冷たいものを摂りすぎていて、お腹が冷えているのかもしれません。

お腹が冷えると、交感神経が優位になり腸の動きが悪くなるため、便秘や下痢といったお腹のトラブルを引き起こしやすいです。それだけでなく、風邪などの体調不良になることも。

お腹を冷やさないためには、白湯を飲むなどインナーケアもいいですが、まずは物理的に温めてあげるのがいちばん。腹巻きやカイロなどで、お腹を冷やさない工夫をしましょう。おすすめなのは、お風呂に浸かりながらの腸のマッサージ。温めながら外的刺激を与えてあげると、より腸が活発に動くようになります。

暑い時期に気を付けたいのは就寝時。冷房をつけて寝ているときも、お腹だけは冷やさないようにふとんをかけて寝るようにしましょう」(内藤先生)

Point

・暑いからといって、冷たいものの摂りすぎは要注意
・マッサージや腹巻などで、夏でもお腹を温めよう

Q3.腸活のために、夏でもランニングや筋トレはするべき?

■答え:ウソ。生活の中で取り入れられる運動で十分

「ただでさえ暑いこの時期は、熱中症の危険もあるので激しい運動はおすすめしません。一方で、さまざまな研究により、運動をすることで腸内環境が整うことがわかっています。運動と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、ランニングをしたり筋トレをしたりと、ハードな運動をする必要はありません。激しい運動で交感神経が優位になると、血流が悪くなり、自律神経が乱れて腸機能が低下。夏バテを助長させる原因にもなってしまいます。

では、どれくらいかというと無理のない範囲で日常生活に運動を取り入れる程度でOK。例えば、エスカレーターではなく階段を使う、買いもの中はカートではなくカゴを持つ。ささやかなことでいいので、毎日続けることが大切です」(内藤先生)

Point

・腸活のための運動は、日常生活で取り入れられる範囲のものでOK
・夏のハードな運動は、腸機能を弱らせ、熱中症や夏バテの可能性も

Q4.食欲不振がちな夏。腸活にサプリメントを活用してもいい?

■答え:ホント。食事だけで必要な栄養を摂るのは大変

「普段の食事だけで必要な栄養をすべて摂るのはなかなか大変なこと。特に暑い日が続くと、あまり食欲が出ないという日も。そんなときは、サプリメントを効果的に取り入れるのがおすすめです。

例えば、WHOが定めている食物繊維の1日の摂取基準量は25グラム。穀物類を主食にしている国ならクリアできても、主食が白米や白いパンの日本人にとって食物繊維25グラムのハードルはとても高いものなのです。

現代の日本人は食が細くなっている傾向があり、ビタミンやミネラルも不足しがち。特に夏は、汗と一緒にミネラルが失われています。これでは腸の不調だけでなく、貧血や倦怠感、夏バテなど体の不調につながってしまいます。とはいえ、摂り過ぎもよくないので、足りない分を補う意識でサプリメントを上手に活用していきましょう」(内藤先生)

Point

・食事で足りない分をサプリメントで補おう
・汗をかきやすい夏はミネラル不足に注意

Q5.腸活を始めると、1週間で変化が出るってホント?

■答え:ウソ。腸活の変化があらわれるのは早くて2週間

「腸活の変化は、個人差はありますが、季節に関係なく2週間ぐらいで出る場合が多いです。

ひとりひとり腸内環境が違うように、腸活の方法ひとつとっても改善する・しないは人によって異なります。1カ月も続ければ変化がある・ないがはっきりするので、その腸活が自分に合っているかどうか、まずは1カ月を判断基準にしてみてはいかがでしょうか。

一方で、腸内環境が定着するまでには約3カ月が必要と言われています。いい変化が見られた場合もすぐにやめてしまうのではなく、3カ月は続けるようにしましょう。

ただし、これまで話したように冷房で腸が冷えていたり、夏バテで水分や栄養が不足しすぎていると、腸の動きが悪くなり、思ったように効果が出ない恐れも。しっかりと腸を温めるなど腸活の基本を押さえたうえで、続けることが大切です」(内藤先生)

Point

・ひとつの腸活は1カ月続けて、合う・合わないを判断しよう
・自分に合った腸活は3カ月続けて、腸内環境を定着させよう

Profile

内藤裕二先生
京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座教授。腸内細菌研究で名高く、酪酸産生菌と健康長寿の関係などの研究をはじめ、腸内細菌を長年研究し続けている。著書に『100年腸~最強食物繊維があらゆる不調を改善!』(内外出版社)ほか。
>>>京都府立医科大学

【ヘルスケア特集】

【ヘルスケア特集】

毎日がんばる女性にプチ不調や悩みはつきもの。そこで腸活、温活、睡眠などみんなが気になるヘルスケアのお悩みをピックアップ!悩みのメカニズムや解決法、取り入れたい習慣などを専門家やプロのお話しとともにご紹介。自分のココロとカラダに向き合って、健やかに私らしく過ごそう。

WRITING/CHIAKI ISHIBE

※記事は2024年8月20日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります