【人気のアイライナー・アイブロウOEMメーカーおすすめ6選】化粧品開発コンサルタントに聞いたOEMの選び方も

ポイントメイク化粧品を製造販売しようと思っても、なかなか自社で研究開発から製造まで手がけるのはむずかしいもの。今回はアイライナーとアイブロウのOEMメーカーの選び方や、アイライナー、アイブロウに強いおすすめのOEMメーカー6社もピックアップ。大手化粧品メーカーに勤めていた、OEMの専門家である「ELATE COSME WORKS」赤星さんが答えてくれたQ&Aも参考にしてみて。

更新日:2023/03/27

お話を聞いたのは・・・

化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

化粧品業界歴20年。大手化粧品メーカー、オーガニック化粧品メーカーで企画・開発等様々な職種を経験。現在はELATE COSME WORKS代表として、企業向け化粧品開発のサポートや、美容メディアの記事監修、化粧品の成分解析などを行っている。

今月のピックアップメーカー(PR)

ケミコスクリエイションズ株式会社

ペン型リキッドアイライナーのパイオニア。アイライナーの開発製造はすべて自社で実施

世界で初めてカーボンブラックを使った漆黒の処方を開発したのが、ケミコスクリエイションズ株式会社。ペン型リキッドアイライナーの累計出荷本数は、国内海外含めて、すでに1億2千万本を超える。

高いクオリティの製品を生み出すための原材料や容器の開発、品質チェック、生産ラインによる製造などはすべて自社で実施。とくにペン型リキッドアイライナーとリキッドアイブロウに力を入れていて、専門的に開発。定期的な消費者リサーチを重ね、リピートしたくなる1本を追及している。

ペン型リキッドアイライナーにおけるメタリックやパステルカラーの処方も得意で、カラーバリエーションも豊富。質の高い製品を生み出すだけではなく容器の加飾バリエーションも多彩なので、ブランドイメージに合わせてトータルコーディネートできる。また、小ロットにも対応し、1000本からパッケージも含めて対応可能。

1.OEMで製造できるアイライナーの種類

目元を強調したり、なりたい目元に近づけたりするアイライナー。主にペンシル、リキッド、ジェルの3種類があり、使用感や仕上がりもさまざま。メーカーによって製造に得意不得意があるので、まずはどのような種類をOEMに依頼したいのか考えてみて。

ペンシル

ペンシルは、やわらかい線で目元をナチュラルに仕上げられる。ぼかしやすく、うまく描けなかったときにも修正しやすい。

木軸を削って芯を出す鉛筆タイプは、芯が木で保護されているため折れにくく、やわらかい芯やパール入りの製造も可能。軸の長さや軸径にこだわりたいなら、調整できるOEMメーカーがおすすめ。

芯を少しずつ軸からくり出せるくり出しタイプは、芯の太さや形を選んで発注する。繰り出しタイプのなかには、中身はそのままで芯だけ交換して使えるものも。

リキッド

リキッドは液状のテクスチャーで、濃くくっきりとした目元を作れる。発色がよく水や汗で落ちにくい一方で太さの描きわけや修正が難しいので、アイメイクに慣れた人向け。

市場に多く出回っている筆ペンタイプは毛先がしなるため、太い線から極細まで調整が可能。目尻のはね上げを描くのに適している。インクがフェルト上のペン先にしみ出るフェルトペンタイプは、しなりにくく初心者向き。

ぬるま湯で洗い流せる、粘度を高めてピールオフタイプにする、パールを配合してきらめきや偏光を実現するなど、独自性のある製品も作りやすい。

ジェル

液体と固体の中間くらいのやわらかさで、ペンシルとリキッドのいいとこどり。やわらかいテクスチャーなので、くっきりとしたインパクトあるアイラインも、ナチュラルなアイラインも思いのまま。ツヤ感があって、洗練された目元に仕上がる。

ポット型容器に入ったジャータイプもあるが、人気があるのは初心者でも扱いやすいくり出しタイプ。

ジャータイプは液量や力加減が難しくテクニックが必要なものの、自由度が高い。販売するなら、ターゲットはアイメイクに慣れた人になりそう。

2.OEMで製造できるアイブロウの種類

顔の雰囲気や印象を大きく変えるアイブロウ。種類はペンシル、リキッド、パウダー、マスカラ、ティントの5つ。OEMメーカーに依頼する前に、アイブロウの基本的な種類について知っておこう。

ペンシル

鉛筆の形をしているタイプで、一本一本描き足すように眉毛を描ける。指でこすって消しやすいので修正しやすく、眉毛を描くのが苦手な人や初心者でも扱いやすい。

木の軸を削って使う鉛筆タイプは、削り方で芯の形を変えられるので自由度が高い。発色や使い心地、木軸部分のデザインなどが重要。なぎなた削りができる木軸は、プロでも使用できる。

くり出しタイプは削る手間がなく、手軽に使えるのが魅力。芯を交換して使える製品もある。汗や擦れに強いロングラスティングやウォータープルーフの効果を与えたいなら、それらの処方が可能なOEMメーカーを探してみて。

リキッド

しなる筆先で1本ずつ眉毛を描ける、筆ペンのような形をしたリキッドタイプ。眉の足りない部分を描き足すのに便利で、アイライナーのように細い線で繊細な仕上がりもかなう。

ベーシックな細筆だけでなく、太くも細くも描ける平筆やクシ歯のペン先が選べるOEMメーカーもある。標準的なリキッドタイプと差別化するために、ウォータープルーフ処方やロングラスティングの効果を追加してもよい。

パウダー

全体に色のニュアンスを加えたり、ふんわりとナチュラルな雰囲気に仕上げたりするならパウダーが便利。ブラシで眉にのせることで、濃淡やグラデーションをつけられる。カラーバリエーションの幅も広く、複数の色を混ぜて使うことも可能。

パレットに複数の色が入ったパレットタイプは、色を混ぜ合わせてカラーや濃淡の調整ができる。パレットタイプを購入するのは色にこだわりがある人が多いので、カラーバリエーションが豊かなOEMメーカーを選ぶのがおすすめ。

ボトルからチップを出してペンシルのように描けるのがチップタイプ。粒子が細かくやわらかい雰囲気に仕上げられるものの、製品によっては粉もれや粉散りの危険も。適量の粉を、チップに付着させる技術が重要。

デュアルタイプは、パウダーとペンシル、パウダーとリキッドのように組み合わせたもの。ペンシルやリキッドで眉を1本ずつ描いた後に、パウダーでふわっと仕上げるステップを、デュアルタイプ1本でまかなえる。

マスカラ

ペンシルやリキッドなどの眉メイクの仕上げに使うのが、アイブロウマスカラ。メイクで乱れた眉毛の根元を起こし、毛並みを整えて眉に立体感をプラス。眉にはっきりとしたコントラストを与えたり、インパクトを強めたりできる。

カラーバリエーションが多彩なので、髪やメイクに合ったマスカラを使えば、眉メイクが顔になじみやすくなる。またマスカラでコーティングすることで、眉メイクが崩れにくくなるメリットも。

眉マスカラをする人は髪色に合わせてカラーを選択するので、色の調整が得意なOEMメーカーがおすすめ。

ティント

メイクが億劫な人や時短したい人をターゲットにするなら、おすすめは眉ティント。「染め上げる」という単語の意味からわかるように、眉がある部分の角質を一時的に着色する仕組み。

眉毛の流れに沿ってティントを塗り、時間をおいてからやさしく?がすのが一般的な使い方。剥がさないタイプもある。アートメイクのように長期間は保てないけれど、3~7日もつ製品もあるので、メイクの手間が減る。

角質を染めるので、失敗すると修正が難しいことも。また、未使用者のなかには色素沈着や使いこなせるかどうかを不安に思う人も。1dayのみから1週間程度色が残るものまであるので、よく考えて決めよう。

3.アイライナー・アイブロウのOEMメーカーの選び方

アイライナー、アイブロウのOEMメーカーを選ぶポイントは開発実績、質感や色のバリエーションの豊富さ、ロットの3つ。OEMメーカーとよいパートナー関係を築いて、製品化を成功させよう。

3-1.開発実績から選ぶ

OEMメーカー選びに悩んだら、開発実績から選んで。作りたいと思っているアイライナーやアイブロウと似た製品の開発実績があるOEMメーカーなら、ノウハウや設備、技術力を備えている可能性が高い。

メイクアップ化粧品、基礎化粧品など、化粧品のジャンルはさまざま。OEMメーカーにも得手不得手があるので、ほかの商材で取引したからといって、知り合いのOEMメーカーに依頼するのは注意が必要。少し手間でも、アイライナーやアイブロウに強いOEMメーカーを探そう。

OEMメーカーの特徴や開発実績の情報は、公式サイトで公開されていることが多い。詳細がインターネット上でわからなければ、直接問い合わせてみて。

3-2.質感や色のバリエーションから選ぶ

アイライナーやアイブロウの色は、ブラックやブラウンが一般的。しかし同じブラウンでも、鮮やかなものから光り輝くメタリックカラー、シックでエレガントなニュアンスカラーなど、質感や色のバリエーションは無限にある。

着色料の種類が少なかったり、カラー処方のノウハウがあまりないOEMメーカーだと、希望の色が出せない場合も。とくにブルーやレッドのようにカラフルなバリエーションや、メタリックやパールの処方も考えているなら、原料調達が得意なOEMメーカーがおすすめ。

また自社での容器のデザイン作成に不安があるなら、容器やパッケージも含めて製品をコーディネートしてくれるOEMメーカーを探すのもひとつ。化粧品は、中身だけでなく外観も重要。依頼する際、気になるOEMメーカーの容器やパッケージのカラーバリエーションも確認して。豊富なカラーバリエーションを持っていれば、やさしい色合いやパール調、メタリックなど、ブランドイメージに合うものも見つかりやすい。ただし、容器に独自カラーを使ったり印刷する色数が多かったりすると、コストも跳ね上がるので気をつけて。

3-3.ロットから選ぶ

成功するかわからないうちは、できればコストも在庫も抑えたいもの。そこで重要なポイントになるのはロット。

最小ロットが3000個くらいからのOEMメーカーが多い中、最近では小ロット希望に答えるため500個くらいから請け負ってくれるOEMメーカーも。はじめてで不安なら、小ロットのOEMメーカーを探してみて。

小ロットのメリットは、失敗したときの痛手が少ないこと、総額を抑えられること、在庫をたくさん抱える必要がないこと。しかしひとつあたりの原価が高くなって、利益が出しにくいというデメリットもある。

試験的に小ロットで製品を作って、テストマーケテイングに成功したら大ロットに切り替えるなど、ロットに関して柔軟に対応してくれるOEMメーカーがおすすめ。

監修者のアドバイス

ELATE COSME WORKS代表 化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

アイライナーやアイブロウの形状は、使用感や個人的な好みによって使い分けられるため、圧倒的に人気のある形状はありません。

OEMメーカーによって生産可能な形状は異なるので、商品化したいアイライナーとアイブロウの製造が可能か確認する必要があります。特殊な色合いを作りたい場合、例えばメタリックカラーなどは製造できるメーカーが限られるので注意が必要です。

コスメ全般について言えることですが、落ちにくく落としやすいことはベースを傷つけない意味で非常に重要な要素であり、最近のトレンドでもあります。

顔料にポリマーなどをコーティングすると、染みにくくなりますが、お湯などで落ちやすくなる性質も持たせることが可能。落としきれなければ肌トラブルの原因になる可能性が高いので、消費者のニーズも高いと言えるでしょう。

4.人気のおすすめアイライナー・アイブロウのOEMメーカー6選

ここでは、アイライナー、アイブロウのOEMメーカー6社をご紹介。知名度の高いメーカーを紹介するので、アイライナー、アイブロウの製造を検討している人はぜひチェックしてみて。

ケミコスクリエイションズ株式会社

ペン型リキッドアイライナーのパイオニア。アイライナーの開発製造はすべて自社で実施

世界で初めてカーボンブラックを使った漆黒の処方を開発したのが、ケミコスクリエイションズ株式会社。ペン型リキッドアイライナーの累計出荷本数は、国内海外含めて、すでに1億2千万本を超える。

高いクオリティの製品を生み出すための原材料や容器の開発、品質チェック、生産ラインによる製造などはすべて自社で実施。とくにペン型リキッドアイライナーとリキッドアイブロウに力を入れていて、専門的に開発。定期的な消費者リサーチを重ね、リピートしたくなる1本を追及している。

ペン型リキッドアイライナーにおけるメタリックやパステルカラーの処方も得意で、カラーバリエーションも豊富。質の高い製品を生み出すだけではなく容器の加飾バリエーションも多彩なので、ブランドイメージに合わせてトータルコーディネートできる。また、小ロットにも対応し、1000本からパッケージも含めて対応可能。

ホシケミカルズ株式会社

ブランド構築から販売支援までトータルサポート可能な提案力と技術力。

ホシケミカルズの魅力は、ゼロからでも化粧品ビジネスに参入可能な提案力と技術力。ノウハウの蓄積があり、ブランディング段階から販売後のアフターフォローまで一貫したサポートを受けられる。

化粧品メーカーはもちろんのこと、通信販売やエステサロンなどさまざまな業界の要望に応えるため、トレンドやニーズの調査も欠かさない。1975年に原料商社として創業した原料調達に強い会社で、取引実績は国内だけではなく海外を含め700社以上。工場は4カ所あり、そのうちの東京工場はメイクアップ化粧品に特化している。

化粧品はもちろんのこと、ヘアケア、ボディケア、医薬部外品、健康食品など、幅広い分野での依頼が可能。化粧品は1000個の小ロットから大ロットまで柔軟に対応している。

株式会社トンボ鉛筆

文具製造の技術を活かしてペンシル型化粧品を製造。

株式会社トンボ鉛筆は、1913年創業の大手文房具メーカー。化粧品のOEMも行っていて、文具製造のノウハウを活かしたペンシル型ポイントメイク化粧品に強みを持つ。

化粧部門発足時にペンシル型に特化していた専門開発チームも、現在ではファンデーションの開発や製造を行うなど事業領域を広げつつある。

化粧品の研究開発の拠点は、愛知県の清算開発センター。タイとベトナムにも文具プラスチック部品の自社工場を持つ。

三粧化研株式会社

化粧品の設計や企画から携わる「ODM」が可能。グローバル展開にも強い。

三粧化研では開発から携わるOEMだけではなく、「ODM」で設計段階から相談可能。ターゲットや製品の具体的なイメージがあれば、化粧品に詳しくなくても専門家の提案を受けながら製品化できる。化粧品や薬機法に詳しくなくても、まずは相談してみて。

また、顔料とパール粒子を規則的に液体中に配列する特許技術を持っているのも強み。この分散技術によって光が均一に反射するので、アイライナーの発色が抜群。汗に強いのに38度以上のお湯でクレンジングオフも可能、20秒で乾く速乾性など、アイライナーの製品としての精度も高い。

小ロットは1000個から対応。海外の取引先も多く、グローバル展開する際にはサポートを受けられる。

株式会社トキワ

カラーコスメ国内OEM市場のリーディングカンパニー。処方から容器まで製造可能。

1948年に鉛筆の軸を製造する会社として創業したトキワは、アイライナーやアイブロウのようなペンシル型化粧品に強みがある会社。300社ほどと取引がある大手で、高品質なプレステージブランドからプチプラまで、手がける製品も幅広い。

処方から容器まで連携して依頼でき、形状や芯形を自由自在に組み合わせ可能。例えばペンシルとリキッドを組み合わせたアイライナーや、パウダーとペンシルの機能をひとつにしたアイブロウなども作れる。

100名以上が在籍する研究開発拠点では次々と新しいアイデアがうまれ、現在所有する特許技術は400以上。複雑なカスタマイズ製品の相談にも親身に乗ってもらえる。

アサヌマコーポレーション 株式会社

顧客の多彩なニーズに応える、メイクアップ化粧品専用のOEM/ODMメーカー。

創業70年を超えるアサヌマコーポレーションは、日本で初めてペンシル型眉墨を開発した会社。研究開発と処方だけではなく容器やパッケージの企画デザインまで手がけ、顧客のニーズに応える。

アイライナーはカラーも多彩で、人気のパステルカラーにも対応可能。アイブロウは一般的なペンシルタイプのほかにリキッド、パウダー、マスカラタイプも取り揃えている。ワックス系ならではのなめらかさとフィット感が魅力。

またOEMだけではなく、設計や開発段階から携わるODMにも柔軟に対応している。

5.アイライナー・アイブロウの製品化までの流れ

アイライナー、アイブロウの商品化をめざしたいけど、どんな流れでアイライナー、アイブロウ商品化を進めればいい? そんな悩みを持つ人のために、OEMの専門家監修の商品化の流れを解説。今回紹介するアイライナー、アイブロウ商品化の流れは、次の7つのステップ。

1. 製品企画書の決定
2. 試作品の製作
3. 安定性試験の実施
4. 製品仕様の決定
5. 見積もり、契約
6.薬機法の確認
7.製造、納品

それぞれのステップごとに、アイライナー、アイブロウ商品化の流れの詳細をチェックしてみて。

1. 製品企画書の決定

よきパートナーとなるOEMメーカーを探すためにも、具体的な製品イメージを持っておくのが大事。化粧品の種類、ターゲット層、基本的なコンセプトなどは、問い合わせ前に決めておきたい。

OEMメーカーを選定したら、製品化に向けて打ち合わせを行う。販売価格や利益率が決まっていれば、OEMメーカーも原料や処方などを提案しやすい。何度も打ち合わせを重ねて具体的な企画が固まったら、企画書を作成しよう。

企画書には製品イメージやコンセプト、ターゲット、市場分析、希望数、予算、納期、販売戦略などを記載する。基本的なコンセプトを崩さないように気をつけて。

不明点があれば、その都度OEMメーカーに確認。OEMメーカーは知識も経験も豊富なので、対話を重ねるほど企画書の精度は上がるはず。

2. 試作品の製作

企画書を元に、OEMメーカーが試作品を作成。使用感のイメージを共有するために、作りたいものに近い商品があるならベンチマークとして渡しておくと開発しやすくなり、試作の失敗も減らせる。

初回の試作品が出来上がるまでの期間は2~4週間。可能ならほかのスタッフや知人にも試作品のフィードバックを求めると、より修正箇所が明確になる。

改良点をOEMメーカーに伝え、何度か試作を繰り返す。一般的な試作回数は2~3回だが、製造を開始してからの変更は納期の遅れやコストアップにつながってしまうので、試作段階で妥協しないことが大事。OEMメーカーによって試作回数に上限があったり、2回目以降が有料になったりするケースもあるのであらかじめ確認しておこう。

3. 安定性試験の実施

試作品が完成しても、すぐに製造スタートにはならない。さまざまな環境下の長期保存でも品質を保てるかを確認する必要がある。化粧品は消費者の元に届くまで倉庫や店舗で保管されるため、この安定性試験は欠かせない。

検査では、安定性試験のガイドラインに基づいて長期保存試験や加速試験、過酷試験などが行われ、温度や湿度、光により変質しないかデータを取る。安定性試験を通して外観や香り、使用感などに問題が生じるなら製品化は難しい。

加速試験では一般的に6カ月間40℃、75%RHの環境下で保存して、変質が見られなければ製造後3年以上未開封状態でも品質が安定しているとみなされる。その場合、医薬品医療機器等法(旧題名:薬事法)上、使用期限を記載する必要がなくなる。

4. 製品仕様の決定

ブランドイメージや売れるかどうかに大きく関わるので、化粧品にとって外観はとても重要。試作品が完成したら、次は製品化するための容器、パッケージ、デザインを決める。

容器の素材や色、印刷の有無、内容量、ラベル、能書きや化粧箱などの詳細を決めよう。多い色数、独自カラー、オリジナル形状などの容器開発には、コストがかかりやすい。

理想のイメージがあっても、現実的に着色や形状の実現が難しかったり、開発にコストがかさんで販売価格が跳ね上がったりする可能性があるので、よく担当者と話し合って。

5. 見積もり、契約

処方と仕様が決まったら、見積もりへ進む。見積もり作成には処方や内容量、仕様、ロット数が必要。ロットによって見積額が変わるので、いくつかのロットパターンで見積もりを作成してもらおう。

また見積もり時点で確認しておきたいのは、製造納期やリピート発注時のリードタイム。製造にかかる期間は、発注時期や仕様によっても変化するもの。製品化が決定した時点で、再確認しておくとよい。また発注前に、今後のサポートやアフターフォローについても打ち合わせて。

ロット数や納品単価を確認して見積もり内容に問題がなければ、発注書の発行と契約を行う。ほとんどのケースで、初回は前払い決済。

6.薬機法の確認

正式な発注が済めば、納品までの手はずはOEMメーカーが担う。しかしデザインやパッケージを自社で用意する場合は、その準備やデザインデータの引き渡しが必要になる。

化粧品は、容器やパッケージに薬機法で定められた事項を記載しなければならない。広告表現も厳しく制限されているので、ルールを知らずに禁止された表現を使用すると、摘発されて罰則や罰金が科せられるので気を付けて。OEMメーカーは薬機法にも詳しいので、不安がある場合は相談するとよい。

容器やパッケージなどもまとめて依頼している場合は、OEMメーカーが薬機法や関連法規の確認をするので安心。各都道府県の役所に届け出が必要な場合もあり、こちらもOEMメーカーが手続きしてくれる。販売元として届け出の控えをもらい、しっかり保管して。

7.製造、納品

製造が終わると、納品日にOEMメーカーから製品が届く。基本的に配送先は1カ所。配送料が別途加算されるので、複数箇所に納品してほしい場合は事前に相談するとよい。

初回の打ち合わせから納品まで、かかる期間は半年から1年くらい。納品した時点で、OEMメーカーの役割はほぼ完了する。

アフターフォローやサポートが充実しているOEMメーカーなら、納品後もサポートを受けられる。販売体制構築や販売促進の支援、新製品の企画会議への研究員の派遣など、フォロー体制もOEMメーカーによってさまざま。

6.読者の疑問を解決!アイライナー・アイブロウのOEMに関するQ&A

ELATE COSME WORKS代表・赤星恵美子さんが、アイライナー、アイブロウOEMについての疑問にお答え。

アイライナー、アイブロウを製造するのに認可は必要?

他社が製造したアイライナーやアイブロウを小売店やエステなどで販売するだけなら、認可を取らず自由に販売できる。しかし化粧品の製造に携わるなら「化粧品製造販売業許可」を、製造販売するなら「化粧品製造業許可」が必要。

では国内OEMメーカーを利用した場合の認可がどうなるかというと、いくつかのパターンが考えられる。

1つめは、自社で認可を取らず、製造も製造販売もOEMメーカーに委託するケース。認可に関して負担はないけれど、自社ブランドでありながら製造者名にOEMメーカーが記載されてしまう。

2つめは、自社で「化粧品製造業許可」のみを取得するケース。「化粧品製造業許可」があれば、製造者名にOEMメーカーの社名を記載する必要がない。製造元にOEMメーカーの名前があることに抵抗があったり、ライバル社に製造元を知られたくなかったりするならこちらがおすすめ。

3つめは、コストを下げるためにパッケージやラベル貼り、在庫の管理などを自社で行うケース。OEMメーカーには、バルク製造と容器への充填の部分を依頼する。このケースでは、「化粧品製造販売業許可」と「化粧品製造業許可」の両方の認可が必要。

初心者でもOEMメーカーを利用できるの?

化粧品についてあまり詳しくない人や、サロンに通うお客様に自社ブランドの化粧品をプレゼントしたいという初心者でも化粧品を作れるのが、OEMの魅力。

しかし漠然と「売れるものを作って」と丸投げしても、OEMメーカーは動けない。少なくとも「ペンシル型のアイライナーで、目元をくっきりさせたい20~30代女性がターゲット。汗や涙で落ちにくいけれどクレンジングしやすいものを」というように、製品の種類、ターゲット、効果や特徴などのイメージは持っておくとよい。

作りたい化粧品の企画から相談したい場合は、ODMも可能なメーカーがおすすめ。漠然としたイメージしかなくても、ODMが可能なメーカーなら設計段階から相談に乗ってくれるはず。

また利益を出すためには、販売価格や製造個数についても考える必要がある。予算が決まっていると、OEMメーカーも処方や原料について具体的な提案がしやすい。

アイメイクにはどのような顔料が使用されるの?

デリケートな目元に使用するアイメイクの顔料は、安全性の高さが重要。とくにアイライナーは目の粘膜にも触れるので、処方の制約が多い。

化粧に使われる色材は、大きく分けて有機合成色素、天然色素、無機顔料、高分子粉体の4つ。アイライナーやアイブロウには、主に無機顔料が使用される。

無機顔料は、天然の鉱石や金属の化学反応によって作られる。有機合成色素と比べると色の鮮やかさは劣るが、水や油に溶けにくい性質があり安全性も高め。化粧品にもよく使用される主な無機顔料には酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、カオリン、マイカ、カーボンブラックなどがある。

さらに無機顔料は体質顔料、着色顔料、白色顔料、真珠光沢顔料などに区分される。体質顔料(タルクやマイカなど)は白色が多く、色の濃度調整や肌なじみに影響を与える。色の決め手となる着色顔料(ベンガラや黄酸化鉄など)は、白色顔料や体質顔料とのバランスが重要。白色顔料(酸化チタン、酸化亜鉛)は白さの調整に、真珠光沢顔料(雲母チタン、魚燐箔など)はパールやメタリックな輝きを出したいときに使用する。

OEMメーカーは化粧品製造のプロなので、顔料について不明な点があれば気軽に相談するとよい。

この記事に登場した監修者

ELATE COSME WORKS代表 化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

株式会社カネボウ化粧品に6年勤務し、結婚後にポーラ化成工業株式会社に転職。2社では、主に医薬部外品の主剤分析、クレーム品や製造トラブルに関わる調査分析業務に携わる。

その後、アロマ・オーガニックコスメのOEM製造会社にて新規化粧品事業の立ち上げに携わり、化粧品製造販売業許可、化粧品製造業許可を5カ月で取得。自社ブランドおよび企業向けの商品開発、コンサルティング営業、製造オペレーション構築、オーガニックコスメの処方開発に携わる。

実績として、有名アパレルブランドのノベルティコスメや、ヘアケア製品、アロマ製品、スキンケアブランド、メンズコスメなど多数。コンセプトに沿って洗練されたパッケージデザインにも気を配っている。

今回の記事では、アイライナー、アイブロウOEMメーカーの選び方からOEM業界の事情まで、幅広く監修。OEM業界に携わってきた経験から、化粧品開発にまつわる基礎知識をわかりやすく伝えている。

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※記事は2023年3月27日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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