【人気のシャンプーOEMメーカーおすすめ7選】化粧品開発コンサルタントに聞いたOEMの選び方も
シャンプーなどのヘアケア用品製造を行うコスメOEMメーカー。OEMにまつわる情報は限定的なことから、シャンプー開発をする上で会社選びに迷っている人も多いのでは? そこで今回は、人気のOEMメーカー7社をピックアップ。化粧品コンサル会社の「ELATE COSME WORKS」赤星さんに聞いたOEMメーカーの選び方、費用感、商品化の流れもご紹介。大手化粧品メーカーに勤めていた、OEMの専門家が答えてくれたQ&Aも参考にしてみて。
更新日:2022/12/26
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お話を聞いたのは・・・
化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん
化粧品業界歴20年。大手化粧品メーカー、オーガニック化粧品メーカーで企画、開発等様々な職種を経験。現在はELATE COSME WORKS代表として、企業向け化粧品開発のサポートや、美容メディアの記事監修、化粧品の成分解析などを行っている。
1.シャンプーOEMの選び方
シャンプーOEMメーカーを選ぶときのポイントは、成分、効果、シャンプーボトルの3つ。会社の目的に合う、最適なOEMメーカーを見つけよう。
1-1.成分で選ぶ
シャンプーの種類や特徴はさまざまあり、企画、開発時にどのような商品を作るか悩んでしまうことも。そんなときは、OEMで製造できるシャンプーの洗浄成分の種類から選ぶのも方法のひとつ。代表的な洗浄成分としては、石けん系、高級アルコール系、アミノ酸系の3つが挙げられる。ターゲット層や商品のイメージに合うものを選ぼう。
石けん系シャンプー
脂肪酸や天然油脂を使用したシャンプーで洗浄力が強く、さっぱりとした洗いあがりに人気がある
洗浄力の強さとは対照的に、肌や環境へのやさしさが特徴。シャンプーが多少皮膚に残留しても問題が少ないとされている。ただし、カラーやパーマをした髪には向かない。アルカリ性のため髪がきしむ感覚が気になる場合もあるが、酸性リンスをつけることで指通りがなめらかになる。
肌タイプ | 普通〜脂性 |
---|---|
洗浄力 | 強い |
刺激 | 少し強い |
成分表記 | 石ケン素地、カリ石ケン素地、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウムなど |
高級アルコール系シャンプ
硫酸塩などの石油を主成分にしたシャンプーで安価な価格で売られている商品が多い
高級アルコール系の洗浄成分を使用したシャンプーは、洗浄力が強く泡立ちがよい。さっぱり洗うことができ、頭皮のべたつきが気になる人におすすめ。ただし洗浄力が高い分、敏感肌の人には向かない。市場に出ているシャンプーの多くに使われているが、処方の工夫しだいでは負担を抑えることができるため、一概によくないとも言えない。
肌タイプ | 普通〜脂性 |
---|---|
洗浄力 | 普通〜強い |
刺激 | 強い |
成分表記 | ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど |
アミノ酸系シャンプー
洗浄成分としてアミノ酸系の成分を配合したシャンプーで乾燥肌や敏感肌の人におすすめ
アミノ酸系の洗浄成分は人の頭皮や髪とも相性がよく、洗浄力が穏やか。余分な皮脂まで落としてしまう心配が少なく、頭皮や髪に潤いが残りやすい。ただしスタイリング剤をたっぷり使っている人や、オイリー肌には洗浄力が物足りなく感じる場合も。
肌タイプ | 乾燥〜普通 |
---|---|
洗浄力 | 弱い |
刺激 | 弱い |
成分表記 | ココイルグルタミン酸TEA、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ココイルグリシンKなど |
1-2.効果で選ぶ
エイジングケア(※)やスカルプケアなど、特化したいジャンルがある場合は、シャンプーの効果から選ぶのも方法の一つ。
※年齢に応じたケア
スカルプシャンプー
スカルプとは英語で「頭皮」の意味。抜け毛対策などの頭皮ケアを目的としたシャンプーのことを、広く「スカルプシャンプー」と呼ぶ。洗浄力は穏やかなものから強いものまでさまざま。
またスカルプシャンプーを製造する際は、有効成分を配合した医薬部外品も視野に入れるとよい。フケやかゆみ予防にはピロクトン-オラミンやミコナゾール硝酸塩、肌荒れ予防にはグリチルリチン酸ジカリウムやアラントインなど、複数の有効成分が候補になる。
無添加シャンプー
無添加シャンプーとは、一般的に特定の表示指定成分が配合されていないシャンプーのことを指す。しかし「無添加」と記載できる基準は特別設けられておらず、何を「無添加」と標ぼうするかはメーカーが自由に決められるのが現状。どの成分を無添加としたいのかを明確にしたうえで、企画に臨む必要があるといえる。
ノンシリコンシャンプー
ノンシリコンシャンプーとは、その名の通りシリコーンが入っていないシャンプーのこと。シリコーンはキューティクルをコーティングし、指通りを軽やかにする効果を期待して配合される。なおシリコーンが頭皮に残留するという説もあるが、信ぴょう性は乏しい。
ノンシリコンシャンプー=髪や頭皮にいいというイメージから人気はあるが、誰にとっても合うというわけではない。例えば、カラーやパーマなどのケミカルダメージがある髪にはシリコーン入りのシャンプーがベター。何をもってノンシリコンシャンプーを製造したいか、あらためて明確にしておこう。
オーガニックシャンプー
オーガニックとは「有機の」という意味で、有機栽培された植物を原材料として使っているシャンプーのことを広く「オーガニックシャンプー」と呼ぶ。ただし日本にはオーガニックコスメに関する統一基準がないので、ひとつでもオーガニック植物を使用していれば「オーガニックシャンプー」と謳うことができるのが現状。
「オーガニック」を売りにするためには、オーガニックに関する独自の基準を設けたり、海外のオーガニック認証を取得したりといった工夫が求められる。海外の期間から認証を受ける場合は厳しい審査をクリアする必要があり、コストもかかる。他のシャンプーと比較すると製造、開発の難易度は高め。
ドライシャンプー
水で洗い流さずに使用できるドライシャンプー。頭皮にスプレーして軽く揉みこんだ後にタオルドライすることで、汗や皮脂によるニオイ、べたつきを抑えられる。水で流す必要がないため、入院中や体調不良時、被災時など入浴が難しいときに役立つ。
1-3.シャンプーボトルで選ぶ
OEMメーカーにシャンプー製造を委託した場合、ボトルのデザインも選択しなければならない。ボトルによって商品イメージや使い勝手が変わるうえに、製造にかかる費用も異なる。代表的なボトルの種類と特徴、コストを確認し、自社の希望に合ったものを選ぼう。
ポンプボトル
ポンプ型のボトルはもっとも人気のあるデザイン。ノズル部分を押すと容器から中身が出てくる仕様で、片手でも簡単にシャンプーを出せるため便利。ただし、ボトル自体が大きく重量があり、小ロットでの作成が難しいためにコストがかかる点はデメリットともいえる。
ソフトボトル
キャップを開けて中身を押し出すタイプの容器。ボトルは柔らかめでキャップも片開きできるため、大きな不便を感じることなく使用できる。また、ポンプボトルと比較するとコストを抑えやすい。ただし簡単にキャップが開くため、消費者目線では持ち運びには不向きといえる。
チューブ容器
チューブ型容器のメリットは、コストが抑えられること。初めてシャンプーの製造をする場合や、まずは少量から販売していきたいと考えている場合におすすめ。メジャーな容器ではないため、他の商品と差別化を図りたいときにも好適。
ただし、片手で簡単に中身を出せるボトルタイプと比較すると、取り出す際に手間が掛かる点や、液漏れしやすい点はデメリット。普段使いのシャンプーよりは、ヘアパックやトリートメントなどの容器として使用することが多い。
詰め替え用シャンプー
アルミの袋を使用した詰め替え用の容器もある。ポンプボトルのシャンプーと一緒に販売されることが多く、詰め替え用容器のみでの販売はほとんどない。容器の費用負担が減り安く購入できるため、リピーターからの需要がある。長期的にシャンプーを販売していきたいと考えている場合は、詰め替え用シャンプーの製造も検討しよう。
2.人気のおすすめシャンプーOEMメーカー7社
ここでは、シャンプーのOEMメーカー7社をご紹介。知名度の高いメーカーを紹介するので、オリジナルシャンプーの製造を検討している人はぜひチェックしてみて。
株式会社ES-ROOTS
国産オーガニックにこだわったシャンプーを製造可能。小ロットからの発注もOK
株式会社ES-ROOTSは、天然成分や植物由来成分をメインに使用した商品の製造に特化したOEMメーカー。自社でもオーガニック商品を製造、販売しているため、消費者ニーズを活かした商品開発の心強い味方になる。
委託農場をはじめとした日本全国の有機農場とネットワークを築いているのも強み。天候や災害によるリスクの不安が少なく、安定的な原料供給が可能。
300個からや500個からといった、小ロットでの製造も委託できる。まずは少量から販売したい場合や、これからオーガニック方面に事業を拡大したいと考えている企業にぴったり。
ホシケミカルズ株式会社
ヘアケア用品や化粧品、健康食品などに幅広く対応。企画から販売までをトータルサポート
提案力、開発力、対応力が自慢のOEMメーカー。ヘアケア商品だけでなく、化粧品や医薬部外品、健康食品など幅広いジャンルに対応している。
商品企画から研究開発、販売支援、社員教育までをトータルサポート。1万件以上の豊富な処方実績と企画専門部署の分析力で、消費者ニーズに即した商品や販売プランを提案してくれる。
また1975年の創業以来、海外企業とのネットワーク作りに邁進。輸出業務や海外向け化粧品の製造といった、海外ビジネス展開をめざす企業のサポートもしている。沖縄に工場があるため、アジア諸国にもスピーディに出荷、納品が可能。
株式会社テシマ化研
半世紀以上に及ぶ界面活性剤の商品開発力と製造技術が強みのOEMメーカー
油脂類を取り扱う問屋として創業して以来、半世紀以上にわたり界面活性剤をメインに使用した商品開発を行ってきた老舗のOEMメーカー。
化粧品だけでなく、洗剤や洗浄剤のOEM、化学品原料の販売も実施している。無添加や無香料、防腐剤フリーなど、さまざまな要望に柔軟に応えられる豊富な経験と技術力が特徴。含有成分や効果を売りにした商品作りを考えているなら、視野に入れてみて。
小ロット生産や多品種生産も可能。原料や資材の購買代行も行っているため、初めて自社製品を作る際でも安心して任せられる。
株式会社ワイマック
「代わりのない、高い価値」がモットー。独自技術を活かした特別なシャンプーを作れる
株式会社ワイマックは、「代わりのない、高い価値」をモットーに活動するOEMメーカー。
ヨーロッパと日本での特許を持つ低温形状記憶技術や、シャンプーをボトルから泡状で噴出させる「マイクロフォーム(微細泡)」技術など、独自技術を活かしたオンリーワンのシャンプーを製造できる。
また、ヘアサロンには「小ロット、売れ残りリスクゼロ」の限定プランも。12本からの小ロットで容器の形状やサイズも自由に選択でき、高額なコストがかからないからお試しにもうってつけ。
皮膚臨床薬理研究所株式会社
商品開発1100点の豊富な実績と、世界特許を取得した「ラメラテクノロジー」が強み
1986年に創業し、商品開発数1100点以上の実績を誇るOEMメーカー。知識や技術を活かし、コンセプトの可能性を最大限に引き出した商品開発をかなえる。
世界特許を取得した「ラメラテクノロジー」はとくに必見。スカルプケアや敏感肌用シャンプーの製造にも適している。
打ち合わせから商品の出荷、納品までは約1カ月程度。ロット数は最小500個から。販売までの時間をできるだけ短くしたいときや、ニーズに合わせて製造本数を増やしていきたいときにもおすすめ。
ORIGINAL PRODUCTS & HAPPY
10本15400円からのOEMオーダーが可能。超低リスク低コストだからお試し販売にぴったり
低リスクで商品開発、製造ができるOEMメーカー。お試しなら10本15400円から、フルオーダーなら50kgから委託製造が可能。在庫リスクがなく低コストで、気軽に製造できる。
また、シリコン入りシャンプーが当たり前だった30年ほど前から、「髪は生きている」という「毛髄核産生理論」に基づき、ノンシリコンシャンプーの製造、開発を開始。髪本来の美しさを体感できるシャンプーを提供している。
WEBからでも商品の発注が可能。オンラインで簡単に製造依頼ができるから、「今すぐ作りたい」「何度も打ち合わせを重ねるのが難しい」というときに便利。
株式会社コスメディアラボラトリーズ
商品の企画、開発から販売方法の提案まで、顧客ニーズに合わせた提案型営業が魅力
コンセプトの提案から販売方法のアドバイスまで、トータルサポートを任せられる。企業側からよりよい方法を提案してもらえるので、初めての商品開発でも安心。
また、オリジナルの化粧品原料開発にも対応。地域の特産物や果物、ハーブなどをブレンドすることで、自社だけのオリジナル商品が作れる。
さらに、国内では数少ない「ナノテクノロジー」を活用できる大型高圧乳化装置を導入。トリートメントやヘアミストなどとの相性がよく、付加価値の高い商品を作れる。最小ロット数は500個で、最短1カ月で納品可能だから、販売までのスケジュールに余裕がないときにも視野に入れてみて。
3.シャンプーOEMにかかる費用
シャンプーの製造をOEMに委託する際に押さえておきたいポイントは、費用の内訳とロットごとの費用感。どのような費用が発生するか確認しながら、予算に合う方法を選択しよう。
3-1.費用の内訳
シャンプーのOEMにかかる費用は以下の通り。
・試作
・容器
・バルク(中身)
・デザイン
・箱
・梱包
・輸送
容器の価格は、ボトルデザインや大きさ、厚さなどによってさまざま。ポンプボトルは比較的コストがかかり、チューブ型になると価格設定が低くなる。ただし、ポンプボトルは消費者ニーズが高いことから、費用対効果を考えると先行投資する価値はある。
中身はシャンプーやトリートメントとして使用する成分や特殊技術の有無、原材料の価格などによって変わるため、事前に確認しておくとよい。オーガニックや天然由来の原料を使用して高級感を出すのか、手頃な商品にするかは、コンセプトやターゲット層に合わせて決めよう。
箱やパッケージのデザインは、デザイナーに委託する場合、追加費用が発生するケースがほとんど。できるだけコストを抑えたいときは、自社で発案したものを持ち込むのがベスト。
なお、梱包代や輸送費、試作代は見積もりに組み込まれていることが多い。ただし、複数箇所に発送する際や、原価の高い材料で試作する場合は追加費用が発生することも。また、組み立てが必要だったり種リンクを巻いたりといった複雑な工程が発生する場合も、梱包のコストがかかる可能性がある。
3-2.ロットごとの費用感
ロットごとの費用感は、500個で1000円、1000個で700円、3000個で500円程度。ただし、あくまで目安の数値となる。
実際に発生する費用は、品目や容器、容量、仕様などによって変わるため、一律でいくらと紹介するのは難しい。OEMメーカーでも、ロットごとの費用については金額を公表していないケースがほとんど。商品の詳細が決まり試作も完了してから、かかる費用を計算しよう。
4.シャンプーをOEMで製造するメリット
シャンプーをOEMメーカーで製造するメリットは、初期費用を抑えられること、短期的な販売や限定商品に適していること、理想にかなう商品が作れること。自社で製造するかOEMメーカーに依頼するか悩んでいるときは、まずメリットを確認しよう。
初期費用を抑えられる
商品を製造するとなれば、通常は工場の建設や設備の導入、人員の配置や原料の調達など莫大なコストと手間が発生する。OEMメーカーに依頼すれば、設備や人員、原材料などを用意する必要がない。削減した初期費用は、新商品の研究や販売戦略などに投資できる。
また、商品の製造に伴い取得が求められる「製造業許可」や「製造販売業許可」の取得も不要で、工場の維持費や固定費も発生しない。OEMメーカーに依頼すれば、製造にかかる全体的なコストの圧縮がかなう。
短期的な販売や限定商品にも好適
自社で工場を持つ場合、長期的に工場を運用しなければ採算が取れない。長い期間販売できるものを優先的に製造するようになる。
しかし、OEMメーカーであれば小ロットの製造も可能。500~1000個など少ない量でも製造を依頼できるから、短期的に販売する予定の商品や期間限定、地域限定、数量限定商品の製造にも好適。大量生産による在庫リスクも削減できる。
理想にかなう商品が作れる
自社工場で複数ジャンルの商品を製造する場合、その分時間も費用もかかる。しかしOEMメーカーに依頼すれば、同時期に複数ジャンルの商品を仕上げることが可能。事業拡大をねらい、一度に複数の商品を売り出したいと考えているときに便利。
また、メーカーごとの得意分野を把握し選別することで、コンセプトにぴったりと合う商品を製造できる。たとえば、高品質なトリートメントを製造したい場合はカプセル技術を持つメーカー、オーガニックシャンプーを作りたい場合はオーガニックを専門的に取り扱うメーカーなど、専門知識を持つOEMメーカーに委託することで、理想的な商品作りが可能に。
5.シャンプーをOEMで製造するデメリット
シャンプー製造をOEMメーカーに委託する際は、いくつかのデメリットもある。メリットだけでなくデメリットも確認し、自社にとってどの方法がベストかを今一度検討しよう。
小ロットに対応しているメーカーが少ない
小ロットに対応可能としているメーカーは少ない。お試しで作ってみたい、ニーズが増えるまでは少しずつ製造したいと考えている場合は、発注しにくいこともある。
ただし、小ロットで製造すると1つあたりの仕入単価は高くなる。10個や100個など極端に少ないロット数での発注はおすすめできない。予算とコストのバランスを考えると、1000個から3000個程度が現実的。予算だけでなく販売価格や仕入単価、在庫リスクも考慮してロット数を決めよう。
ブランド力が必要
OEMメーカーは稀に自社製品を販売していることもあるが、大手メーカーのような知名度はなく、消費者からの認知度はほぼゼロに等しい。自社のブランド力がより重要となるため、よい製品を作っても売れなければ意味がない。
まずは認知されるために、顧客からの注目を集めることが大切。自社製品のメリットや他社の製品にない強みを最大限アピールし、顧客ニーズを分析しながら販売目標を立て、有効な経営戦略を展開していくことが求められる。
在庫管理の費用が発生する
OEMメーカーで製造した商品は、依頼元の企業に送付、納品される。届いた商品を保管しておくためのスペースを確保しなければいけないため、場合によっては倉庫のレンタルや増設が必要になるケースも。
また、在庫管理のための固定費や人件費といったコストも発生する。製造工程を省略することで初期費用を抑えられるが、在庫管理にかかる費用をゼロにすることはできないため要注意。
ただし、自社で製造する場合に比べると在庫リスクは少なくなる傾向がある。とくに小ロットで製造する場合は、大きな在庫を抱える心配がないため、費用やスペースに関する不安を軽減できる。
6.読者の疑問を解決!シャンプーのOEMに関するQ&A
ELATE COSME WORKS代表 赤星恵美子さんが、シャンプーのOEMについての疑問にお答え。
試作品の依頼に費用はかかるの?
通常は2~3回ほど行われる試作品にかかる費用は通常無料のケースが多いです。ただし常識の範囲を超える回数の試作を依頼する場合や、特殊技術、特別な原料を使用する際は追加費用が発生することもあります。
試作は、商品イメージを明確にするための大切な作業工程のひとつ。試作品を実際に見て触ったときに、改善したいポイントがあれば遠慮なく伝えましょう。契約に進み本製品を製造してから変更を加えると、大きなコストがかかる恐れも。試作の段階では、追加費用を懸念するよりも、納得できる商品作りに取り組むことが重要です。
シャンプーをOEMで製造すると納期はどれくらいかかるの?
発注から納品までの目安は3~5カ月程度となります。ただし、実際にどれくらいの期間がかかるかは製造する商品のロット数や含有成分、デザイナーへの委託の有無などにより異なります。納期に余裕を持って商品開発の計画を立てましょう。
また、メーカーによっては「最短納期1カ月」「3カ月以内に納品」といったようにスピード対応が可能なケースもあります。販売までのスケジュールが詰まっている場合や、急ぎで仕上げたいときは、メーカーの納品スケジュールを先に確認しておきましょう。
初心者でもOEMメーカーに取り合ってもらえる?
初心者だからといってOEMメーカーから製造を断られることはなく、誰でも自由に依頼できます。ただし不信感を与える可能性があるため、企画や商品イメージが明確になっていない段階で相談に行くのは避けましょう。
トータルサポートを依頼する場合でも、目標やコンセプト、販売戦略などはしっかりと計画を立ててから相談に行くのがベストです。商品化への熱意が伝われば、OEMメーカーもしっかりと期待に応えてくれるはずです。
医薬部外品の承認は難しい?
医薬部外品とは、厚生労働省が許可した効果や効能に有効な成分が、一定の濃度で配合されている製品のことです。医薬部外品を製造、販売する場合は製造する前に厚生労働省の許可を得る必要があります。承認を得るまでにかかる期間は、半年から1年程度で、費用も何十万円とかかります。
商品の開発から製造が完了するまでは1年から2年程度の期間を要することもあります。申請が許可されないと開発が振り出しに戻るので、発注者、OEMメーカーともにリスクがあります。医薬部外品を製造したい場合は、実績のある処方をOEMで使用できるか確認するのが吉と言え、オリジナルで製造するのはおすすめしません。
化粧品として製造したのちに、並行して開発を進めるなどの工夫が必要です。OEMメーカーでの製造日数だけ確認すると「最短3カ月で納品可能」「小ロットなら1カ月で製造できる」などと記載されていることもありますが、商品の開発、製造にはゆとりを持ったスケジュール管理を心がけましょう。
この記事に登場した監修者
ELATE COSME WORKS代表 化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん
株式会社カネボウ化粧品に6年勤務し、結婚後にポーラ化成工業株式会社に転職。2社では、主に医薬部外品の主剤分析、クレーム品や製造トラブルに関わる調査分析業務に携わる。
その後、アロマ、オーガニックコスメのOEM製造会社にて新規化粧品事業の立ち上げに携わり、化粧品製造販売業許可、化粧品製造業許可を5カ月で取得。自社ブランドおよび企業向けの商品開発、コンサルティング営業、製造オペレーション構築、オーガニックコスメの処方開発に携わる。
実績として、有名アパレルブランドのノベルティコスメや、ヘアケア製品、アロマ製品、スキンケアブランド、メンズコスメなど多数。コンセプトに沿って洗練されたパッケージデザインにも気を配っている。
今回の記事では、コスメOEMメーカーの選び方からOEM業界の事情まで、幅広く監修。OEM業界に携わってきた経験から、化粧品開発にまつわる基礎知識をわかりやすく伝えている。