【人気のヘアワックスOEMメーカーおすすめ10選】OEMコンサルに聞いた失敗しない選び方も

ワックスやヘアオイルといったヘアケア用品の販売にあたり、製造をOEMメーカーに委託する企業が増えている。しかしOEMメーカーは複数あるため、どのメーカーに依頼するか決められない人も多いのでは。そこで今回は、スタイリング剤の中でも人気のワックスの製造におすすめのOEMメーカー10選を紹介。商品化の流れ、製造できるスタイリング剤の種類といった基礎知識も解説。オリジナルワックスの製造を検討中の方は参考にしてみて。

更新日:2022/12/26

お話を聞いたのは・・・

化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

化粧品業界歴20年。大手化粧品メーカー、オーガニック化粧品メーカーで企画、開発等様々な職種を経験。現在はELATE COSME WORKS代表として、企業向け化粧品開発のサポートや、美容メディアの記事監修、化粧品の成分解析などを行っている。

1.OEM製造できるスタイリング剤の種類

OEMメーカーで製造できるスタイリング剤は複数あるが、近年需要が高いのはヘアワックス、ヘアオイル、ジェルの3種類。各スタイリング剤の特徴を確認し、商品イメージやコンセプトに合うスタイリング剤を選ぼう。

ヘアワックス

毛先の動きや毛束感を演出できるヘアワックス。高校生や大学生、忙しい朝に簡単にスタイリングを済ませたい社会人などからのニーズが高い。

ふんわりとした無造作ヘア用や、ツヤ感を出すもの、きっちりと固めたいとき用のものなど複数の種類がある。ヘアワックスは比較的柔らかくまとまるのが特徴で失敗が少ないため、ヘアアレンジ初心者でも使いやすい。

ヘアオイル

ヘアオイルは、髪のコーティングやダメージケアに適したスタイリング剤。カラーやパーマ、紫外線、乾燥などによるダメージで髪がパサついたときや、ツヤを与えるためにも多く使用される。

また、近年は香り付きのヘアオイルをヘアフレグランス代わりにしたり、束感のあるスタイリングに使ったりすることもあり、性別や年齢を問わず人気が高い。

主成分にはシリコンオイルか植物油脂が多く使われる。シリコンオイルはツヤ感とまとまりが出るが、シャンプーで落としづらい残留性も。一方、植物油脂はシャンプーで落としやすいが、重めのテクスチャーに好みがわかれる可能性はある。

ジェル

セット力が高く、しっかりと髪を固定したいときに活躍するジェル。つややかな髪を演出できるため、濡れ髪アレンジが流行している近年、売り上げが急増している。おしゃれや流行に敏感な男性からの需要が高い。

粘性の高いジェルを使用すれば、ナチュラルに仕上げることも可能。フォーマルな場や特別な日のヘアセットだけでなく、普段のお出かけや仕事の際にも使用できる。

監修者のアドバイス

ELATE COSME WORKS代表 化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

ヘアワックスは種類ごとの処方がそこまで変わらないので、原価はほぼ変わりません。最近では、天然原料を使った美容室専売バームの発注が増えています。セット力は弱いものの、ハンドクリームとしても使えるので人気が高い傾向です。ただし、化学合成原料を使用せず天然原料のみで製造すると原価は高くなりがちです。

スタイリング剤は使用感が命と言ってよいほど重要なので、製造する際は希望に近いベンチマーク品から修正を重ねていくのが効率的な発注方法といえます。

2.ヘアワックスの製造を委託するOEMメーカーの選び方

ヘアワックスの製造を委託するOEMメーカーを選ぶ際は、開発実績、ロット数、医薬部外品の処方実績の3点を要チェック。自社の希望をかなえられるOEMメーカーがあるか確認しよう。

2-1.開発実績から選ぶ

OEMメーカーによって、得意ジャンルは異なる。製造したいと考えている商品の製造、開発を得意とするメーカーを選ぼう。

ヘアケア用品を初めて製造、開発する場合は、実績が豊富なメーカーを選ぶのがベスト。まずホームページで創立年数や処方実績数をチェックしてみて。

実績や経験が豊富な場合、ヘアケア用品に特化した製造技術や含有成分を保有しているケースも多い。そのようなメーカーを選べば、自社の商品イメージやコンセプトを具現化できる可能性が高まる。

2-2.ロット数から選ぶ

ロット数も事前に確認しておきたい重要なポイントの一つ。小ロットで発注できれば、初期費用を抑えられ、在庫を抱えるリスクや在庫管理にかかるコストも削減できる。お試しで作りたいときや、ニーズが増えるまでは少量生産にしたいと考えているときにも便利。

しかし、小ロットに対応しているメーカーは多くない。また、「小ロット対応可能」となっていても、実際は一部の商品のみしか対応できないケースもある。小ロットでも製造できるか、何本から対応可能か、小ロットの場合費用はいくらになるかを事前に問い合わせしておこう。

また、小ロットで製造すると、その分1本あたりの仕入単価は上がってしまう。1000個から3000個あたりが経済的なので、費用対効果も含めて予算を決めることが大切。

2-3.医薬部外品の処方実績から選ぶ

ヘアケア商品は、含有成分によっては医薬部外品に分類されることも。医薬部外品の商品を製造する際は、各都道府県への届け出が必要。OEMメーカーによっては医薬部外品の対応ができないこともあるため、事前に確認する必要がある。

また、医薬部外品を取り扱う際は、消費者から問い合わせやクレームが入る可能性も考慮しておこう。そういった場合を見越して、サポート体制が充実しているメーカーを選択するのも方法の一つ。法律や規制に関する専門知識を持ったスタッフが在籍している、あるいはアフタフォローのサービスがあるメーカーなら、万が一トラブルが発生した際にも心強い。

監修者のアドバイス

ELATE COSME WORKS代表化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

美容室や理容院で働いている人が発注する場合、実際に店舗で使用されているスタイリング剤を製造しているメーカーに問い合わせてみるのがおすすめ。製造元はラベルの裏面に記載されていることが多いのでチェックしてみて。使用感や香りの選択肢が豊富なメーカーがよいメーカーともいえます。

基本的にスタイリング剤は化粧品に分類され、医薬部外品に分類されることは少ないです。育毛などの特別な効果を訴求しない限りは医薬部外品に分類されることはないので、通常のスタイリング剤を開発したいなら問題はありません。

3.人気のおすすめヘアワックスOEMメーカー10選

ここでは、ヘアケア用品のOEMメーカー10社をご紹介。知名度の高いメーカーを紹介するのでヘアケア用品の製造を検討している人はぜひチェックしてみて。

武内製薬株式会社

企画、開発から商品販売まで一貫して内製化しているから、コスト削減とスピーディーな対応が可能

美容領域を得意とするOEMメーカー。「自分に自信を持つ」また、「悩みを解決する」商品作りをモットーとしている。

商品の企画や開発、製造、販売まで一貫してサポート。外注にかかる時間を省略できるからスピーディーな対応が可能で、無駄なコストも発生しない。「国内製造、国産」をコンセプトにしたいときにもおすすめ。

これまでに1000件以上のOEMを受託してきた、実績の多さも強み。法律や規制に関するコンプライアンス遵守も徹底している。

株式会社天真堂

EC通販に特化したOEMメーカー。通信販売や海外進出による販売促進をサポート

EC通販に特化したOEMメーカーとして確立したポジションを築いている天真堂。通信販売時のマーケティングや海外市場への参入もサポートしており、事業拡大をねらう企業にも心強い。

医薬部外品や化粧品、健康食品、医薬品と、幅広いジャンルに対応。ヘアケア用品では育毛剤に力を入れており、すでに10種類以上保有している。含有成分を調整するだけで、スピーディーにオリジナル商品を開発できる。

また、育毛剤には独自技術「TEN-DDS」を採用。ヘアワックスだけでなく、育毛剤の開発にも興味がある人はぜひチェックしてみて。

中野製薬株式会社

自社製品のスタイリング剤で高い人気を誇るメーカー。実績を活かしたサポート力に定評あり

60年の歴史を持つ有名ケア用品メーカー。学生から社会人まで、美容室でも使用されているほどの人気商品も保有している。

豊富な実績とノウハウを活かしたサポート体制が強み。初めてヘア用品に挑戦する企業でも、技術、知識不足を懸念する必要がない。商品開発や顧客ニーズの分析、マーケティングアドバイスなど、クライアントの希望に合わせてフレキシブルに対応している。

ヘアケア用品やスタイリング剤、育毛剤、カラー剤など、製造できる商品は1300種類以上。最小1本からの小ロットも受け付けており、気軽に相談できる。

株式会社OEM

OEMに特化したメーカー。希望や要望に沿った商品開発をめざす提案型サポートが魅力

商品イメージを最大限再現するため、ドクターを含めた少数精鋭によるきめ細かいサポートを実施している。

ヘアオイルやシャンプーといったケア用品から、スキンケアグッズやサプリメントなど幅広いジャンルに対応。これまでの製作実績もホームページから確認できる。

また、海外展開のサポート体制が整っているのも魅力の一つ。マーケティングや貿易関連の書類作成、海外企業との多言語対応も任せられる。事業拡大や海外進出を検討中の企業は要チェック。

株式会社ピュール

体にも環境にも配慮した成分を使用。天然成分や無添加にこだわった商品開発にぴったり

「人と自然にやさしく」をテーマに活動するOEMメーカー。肌への負担が少ない成分や、自然由来の原材料を多く使用している。

マイクロプラスチックビーズ、フタル酸エステル、パラベン、鉱物油、硫酸系界面活性剤を不使用とする独自の無添加基準を設定。無添加や天然成分配合を売りにした商品開発にぴったりといえる。

販売状況の分析や新商品の提案、PR戦略の導入など、売上向上のためのアフターフォローも充実。最小ロットは1000本だが、商品によりロット数が異なるケースもあるため、事前に問い合わせしよう。

山栄化学株式会社

理美容化粧品で活用できる独自技術を保有。開発期間の短縮が可能に

化粧品、医薬部外品の基材となるプレミックス原料「エマコール」を開発。原料の組み合わせや調合にかかる時間を大幅に短縮できる。

原材料を一つひとつ調達する必要がないため、コストの削減も可能。在庫管理や原材料の輸入に関する懸念も解決できる。

希望に合う「エマコール」がない場合は、商品コンセプトに合わせて新しく開発することもできる。頭髪化粧品等の処方設計や製造に豊富な知識と技術を持つスタッフが商品開発をサポートしているので、初心者でも依頼しやすい。

オリラボ株式会社

オリエンタルの髪質、肌質に合わせた商品開発を手がけるOEMメーカー

オリラボとは、オリエンタルラボラトリーの略。OEMメーカーとして、オリエンタル(アジア人)の魅力を最大限に引き出す商品を開発、製造している。

美容業界に携わって60年、会社設立から30年の豊富な実績と経験が強み。販売促進に関するアドバイスや商品に関するパフォーマンスチェックのサービスも提供している。

コスモスオーガニック、ヴィーガン認証、ハラル認証など、複数の承認も取得。植物由来原料を使った製品を開発、製造できるので、オーガニックや無添加のヘア用品をコンセプトにしたい企業にぴったり。

エルマン薬粧株式会社

600品目以上を手がけた豊富な実績が魅力。初回の試作品提供まで3日~1週間のスピード対応も可能

美容現場からの支持を受け、これまでに600品目以上の商品開発、製造に携わってきたOEMメーカー。豊富な経験とノウハウを活かし、ニーズに合わせた商品開発をサポートしている。

初回の試作品発送まで最短3日~1週間程度しかかからない、スピード対応が最大の特徴。販売までに日数がない場合や、スケジュールが押している場合にも安心して依頼できる。

仕込み量100kgの小ロット対応も可能だから、数量限定商品の製造にもおすすめ。すべてを同じ容器にいれるのではなく、店舗用、販売用、お試し用など、バラバラのサイズで製造することもできる。

インターナショナル・トイレツリース株式会社

幅広いジャンルを取り扱うOEMメーカー。少量~大量生産まであらゆるニーズに柔軟に対応

化粧品や医薬品などを幅広く製造、開発するOEMメーカー。ヘア用品に関しても、ヘアカラー剤やパーマ液、トリートメント、シャンプー、セットローションなど取り扱い商品のバリエーションが豊か。

丁寧なサポート体制と柔軟な対応にも定評がある。商品のイメージやコンセプトに応じたサンプルを作成し、一つひとつの原料について解説。少量多品種から大量生産まであらゆるニーズに対応している。

化粧品製造業許可、医薬部外品製造業許可、化粧品製造販売業許可、医薬部外品製造販売業許可の4つの許可と、ISO9001、ISO22716の承認を取得。製造から品質管理、営業、開発まで、製造環境がしっかりとマネジメントされている。

日本コルマー株式会社

海外にも生産拠点を持つグローバル企業。海外進出をめざす企業に好適

韓国や中国、ベトナムにも生産拠点を保有しているOEMメーカー。ネットワークを活かし、世界のトレンドや顧客ニーズに関する情報もいち早く収集。輸出用の商品開発や世界進出のアドバイスなどバックアップ体制が整っている。

商品の中身や成分など製造に関わることだけでなく、関連諸規制対応手続きや容器、梱包資材の提案から原料資材の調達まで、トータルサポートが可能。初めて商品を作る場合や、知識、経験に乏しく不安を感じている企業でも依頼しやすい。

また、化粧品開発に関する100年以上のデータベースを構築していたり、専門性の高い研究員が130名在籍していたりと豊富な知識と実績がある。独自開発した処方も約90%と高割合。希少性のある商品で、他商品や他企業との差別化を図りたいときにもおすすめ。

4.ヘアワックスOEMにかかる費用

ヘアワックスの製造をOEMメーカーに委託する際は、事前に予算を立て、無理のない範囲で依頼できるメーカーを探すことが大切。費用の内訳とロットごとの費用感も確認しておこう。

4-1.費用の内訳

ヘアワックスの製造にかかる費用の内訳は、中身、試作品、パッケージデザイン、容器、箱、梱包、輸送。

商品のなかでももっとも重要とされる中身については、どのような成分を使用するか、特殊技術を利用するか、オーガニックや無添加の原材料を使用するかなど、ケースによって費用が異なる。こだわりを入れるとその分費用が高くなる可能性も。費用対効果を考慮し、訴求ポイントに適合する成分をピックアップしよう。

パッケージデザインや容器、箱などにも費用がかかる。デザインをメーカーに委託する場合や、標準サイズ以外の容器、箱を使用する際は別途費用が発生する可能性も。安価に抑えたいときは、デザインを持ち込みし容器や箱は標準サイズで製造するのが得策。

ヘアケア用品は1個あたりの量が多いため、小ロットでも製造しやすいのがメリット。ただし、実際に何個から製造できるかはメーカーによって異なるため、事前に確認しておこう。なお、試作品と梱包、輸送費は見積もりに組み込まれていることが多い。通常の対応範囲を超える分については、追加で請求される可能性もある。

4-2.ロットごとの費用感

ロットごとの費用感は、品目や容器、容量、仕様によって変わるため一概には言えない。ただし、目安で言えば500個で1000円、1000個で700円、3000個で500円程度になる。

OEMメーカーのホームページでも金額については公表していないケースがほとんど。具体的な金額はケースバイケースであるため、自社で製造する商品の詳細が決まってから計算しよう。

なお、新規参入する際はできるだけ少なく依頼したいと考えることも多いが、100個程度では発注できないことも。1個あたりの仕入単価も高くなるので、経済面を考慮すると1000個から3000個程度が適切な数と言える。

監修者のアドバイス

ELATE COSME WORKS代表 化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

ヘアワックスに使用される主な容器は、ジャー、チューブ、ポンプの3種類です。ジャー容器の素材はプラスチック樹脂、ガラス、缶が多く、チューブ容器はプラスチック樹脂やアルミニウムが多いです。ガラスの容器は種類も少なく価格も高いが、プラスチック樹脂やアルミの容器は種類も豊富で価格も安くなります。アルミの容器は落とすと凹んでしまうため、クレームにつながることもあります。

5.ヘアワックス商品化までの流れ

ヘアワックスの商品化をめざしたいけど、どんな流れでヘアワックス商品化を進めればいい? そんな悩みを持つ人のために、OEMの専門家監修が商品化の流れを解説。今回紹介するヘアワックス商品化の流れは、次の7つのステップ。

1. 製品企画書の決定
2. 試作品の製作
3. 安定性試験の実施
4. 製品仕様の決定
5. 見積もり/契約
6.薬機法の確認
7.製造/納品

それぞれのステップごとに、ヘアワックス商品化の流れの詳細をチェックしてみて。

1. 製品企画書の決定

商品を購入する人の年齢や性別といったターゲット層、具体的な商品イメージなどを明確にし、商品の開発に向けて製品企画書を作成しよう。製品企画書があるとOEMメーカーにプランが伝わりやすくなり、進行後のミスマッチを防ぎやすい。

OEMメーカーによっては企画、開発の段階からサポートしてもらえるケースもあるため、製品企画書の作成がサービス内容に付帯されているかどうか確認してみて。

2. 試作品の製作

製品企画書の内容に沿って、試作品の作成がスタート。試作品の作成にかかる期間は2週間~1カ月程度で、基本的には2~3回ほど繰り返す。1回で2~3パターンの試作品を作成してもらい、テクスチャーや香り、ヘアセットの持続時間などを細かくチェックしよう。

気になることがあれば、試作品の段階で伝えておくことが大切。試作品の段階であれば修正が可能で、場合によっては他のメーカーに依頼先を変えることもできる。

3. 安定性試験の実施

安定性試験とは、化粧品や医薬部外品、医薬品の承認申請の際に必要な工程。有効性や安全性、品質の状態が保たれているか、長期保存が可能かといったことを確認する。

3年以上の安定性が確認できない場合、製造年月日や使用期限をパッケージに記載しなければならないと薬機法で定められているため、注意が必要。安定性試験にかかる時間を短縮したい場合は、すでに承認が取れている薬剤が使えるOEMメーカーに依頼しよう。

4. 製品仕様の決定

製品仕様とは、ボトルの形状やパッケージデザイン、箱の質感などのこと。商品のコンセプトに合ったデザインに仕上げよう。デザインは自社で決めるか、OEMメーカーに依頼するかの2パターンから選択できる。ただし、メーカーによってはデザイン依頼不可の場合もあるため、事前に確認が必要。

なお、デザイナーに依頼する場合は追加費用が発生するケースも。費用を安く抑えたいときは、自社で決めたデザインを持ち込みしよう。

5. 見積もり/契約

製造する商品の具体案が決まったら、見積もりを依頼する。小ロットで依頼すると在庫リスクの削減になるが、1個あたりの仕入単価が高くなるため販売価格も上昇することに。予算だけでなくターゲット層や販売戦略なども考慮し、発注するロット数を決めよう。

見積もりの内容を確認し、問題がなければ契約に進む。契約時に費用を前払いするケースも多いため、費用の事前準備を忘れずに。

6.薬機法の確認

商品のパッケージや箱、取り扱い説明書などに記載する内容が薬機法に触れていないか確認する必要がある。効果効能や含有成分などに関して、正しい表現方法で記載しなければならない。虚偽や過大な広告が見られると判断された場合、売上の4.5%が追徴金として課せられることになる。

OEMメーカーによっては薬機法の確認がサポート内容に組み込まれているケースも。初めて自社製品を作る場合や、薬機法に詳しいスタッフが在籍していない企業は、サポート体制が整っているメーカーを利用しよう。

7.製造/納品

契約内容に従い製造が開始され、製造が終わると指定先に納品される。納品された商品は、念のため不備がないか確認しよう。

その後、商品に問題がなければ販売を開始する。販売戦略のアドバイスや販売に関する勉強会を実施しているメーカーもあるため、必要に応じて利用しよう。なお、アフターフォローがあるかないかはメーカーにより異なる。フォローを希望する場合はサービス内容を事前に確認しておこう。

6.読者の疑問を解決!ヘアワックスOEMに関するQ&A

ELATE COSME WORKS代表 赤星恵美子さんが、ヘアワックスOEMについての疑問にお答え。

医薬部外品の承認期間は?

医薬部外品とは、有効成分を含有している製品のことです。医薬部外品を製造、販売する場合は製造する前に厚生労働省の許可を得る必要があります。承認を得るまでにかかる期間は半年~1年程度で、費用も何十万円とかかります。

商品の開発から製造が完了するまでは1~2年程度の期間を要することもあります。申請が許可されないと開発が振り出しに戻るので、発注者もOEMメーカーにもリスクがあります。医薬部外品を製造したい場合は、実績のある処方をOEMで使用できるか確認するのは吉と言え、オリジナルで製造するのはおすすめしません。化粧品として製造したのちに、並行して開発を進めるなどの工夫が必要です。OEMメーカーでの製造日数だけを見るのではなく、ゆとりを持ったスケジュール管理を心がけましょう。

ヘアワックスを製造するのに認可は必要?

ヘアワックスを製造する際に必要な許可は、「製造販売業」と「製造業」の2つです。

「製造業」は包装、表示、保管等を含む商品の製造をする際に必要な許可のことです。また、自社で企画した商品を国内工場で生産し、自社の名前で販売する際は「製造販売業」が必要になります。ただし、以下のケースでは許可を受けずに販売できます。

・「製造販売業」を取得した会社が製造し、自社の名前で販売する場合
・「製造販売業」を取得した会社にOEM委託する場合

なお、OEM委託する場合、製造販売元にOEMメーカーの名前が記載される点には注意が必要です。「製造販売業」があればOEM委託した際にも委託先メーカーの名前を記載せずに済むため、どうしても製造販売元を知られたくない場合は「製造販売業」だけでも取得しておきましょう。

初心者でもOEMメーカーに取り合ってもらえる?

初心者でもOEMメーカーに依頼することは可能です。特別な審査もないため、比較的自由に依頼できます。ただし、無計画な状態で相談すると、想定以上に時間がかかってしまう恐れも。できるだけ商品イメージや企画を練り上げた状態で相談に行きましょう。

また、初心者がOEMメーカーを選ぶ際は「要望しているものを作れるか」だけでなく、トラブル時のサポート体制、不良品などの返金サポートの有無、担当者のレスポンスの早さ、質も確認しましょう。2~3社ほど並行して相談しながら、自社に合ったメーカーを選択してください。

この記事に登場した監修者

ELATE COSME WORKS代表 化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

株式会社カネボウ化粧品に6年勤務し、結婚後にポーラ化成工業株式会社に転職。2社では、主に医薬部外品の主剤分析、クレーム品や製造トラブルに関わる調査分析業務に携わる。

その後、アロマ、オーガニックコスメのOEM製造会社にて新規化粧品事業の立ち上げに携わり、化粧品製造販売業許可、化粧品製造業許可を5カ月で取得。自社ブランドおよび企業向けの商品開発、コンサルティング営業、製造オペレーション構築、オーガニックコスメの処方開発に携わる。

実績として、有名アパレルブランドのノベルティコスメや、ヘアケア製品、アロマ製品、スキンケアブランド、メンズコスメなど多数。コンセプトに沿って洗練されたパッケージデザインにも気を配っている。

今回の記事では、ヘアワックスOEMメーカーの選び方からOEM業界の事情まで、幅広く監修。OEM業界に携わってきた経験から、化粧品開発にまつわる基礎知識をわかりやすく伝えている。

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※記事は2022年12月26日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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