保健室ウィーク_顔
毎日行うスキンケアとオーラルケア。習慣になっていることだからこそ、この機会に見直してみませんか? 自分の肌質にぴったりなスキンケア法や、歯周病を防ぐ正しいブラッシング方法を、専門家に教えてもらいました。
更新日:2020/05/29
スキンケア
スキンケアで大切なのは、自分の肌質を知ること。なんとなくは把握しているつもりでも、意外と間違えて認識していることもありそう。肌質を間違えたままスキンケアをすると、さまざまな肌トラブルを引き起こすことも。改めて自分の肌質をチェックして、それに合わせたスキンケアを意識しよう。
洗顔後のタイミングで自分の肌タイプをチェック
肌質をチェックするには、洗顔後になにもつけないで15~20分経ったタイミングがベスト。そのタイミングで、自分の肌の状態が下記のどれに当てはまるかをチェックして。わかりにくければ、あわせて普段の肌の状態からもチェックを。当てはまる項目が多いタイプが、自分の肌質。
当てはまる項目が多かったら「脂性肌」タイプ
当てはまる項目が多かったら「普通肌」タイプ
当てはまる項目が多かったら「乾燥肌」タイプ
肌の特徴・スキンケアのポイントは?
【脂性肌タイプ】脂性肌の人がやりがちな‶洗顔ごしごし・保湿控えめ″はNG
皮脂の分泌が過剰な脂性肌。ニキビの原因となるアクネ菌は、皮脂をエサにして増殖するため、ニキビができやすい、毛穴に皮脂が詰まりやすいといったトラブルが起こりやすい。美容皮膚科医の慶田朋子さんによると、脂性肌の人は「洗い過ぎによるトラブル」が起きやすいのだそう。
「脂性肌の人は、特に皮脂が出やすいTゾーンをごしごしと入念に洗いがち。けれども肌をこすると肌を守るバリア力まで失われてしまうことに。洗顔料でふわふわの泡をつくり、肌にのせたら、泡を動かすようなイメージで洗顔してください」(慶田さん)
また、脂性肌の人がやりがちなケアが、保湿を控えめにすること。
「皮膚の表面にある角層で保湿の役割を担っているのは、『皮脂膜』『天然保湿因子』『角質細胞間脂質』。この中で水分を保持する働きの割合でいうと、皮脂膜は2~3%程度。つまり、脂性肌の人でも洗顔後はしっかり保湿しないと乾燥してしまいます」(慶田さん)
【普通肌タイプ】頬のあたりのカサカサは乾燥だけが原因じゃない!
部位によって肌の状態が異なるのが、普通肌の人。額、鼻、あごはテカりやすいので、脂性肌だと思い込みがちだけど、実は頬の部分は乾きやすいということも。普通肌なのに脂性肌用のスキンケア用品で顔全体をお手入れすると、肌が乾燥して荒れてしまうことに。
逆に乾燥肌だと思っていても、普通肌や脂性肌だったというケースも。
「ほうれい線や頬のあたりがカサカサしている場合、乾燥が原因の場合と皮脂の分泌が多いことによる脂漏性皮膚炎が原因の場合とがあります。Tゾーンの毛穴が開いている人は、脂漏性皮膚炎の可能性があります。自分では判断しにくいときは、肌質に最適なスキンケアを提案してくれる美容皮膚科にで相談してください」(慶田さん)
乾燥肌だと思い込んで、朝は洗顔料をつけずに洗顔したり、夜もさっと洗うだけだったりすると、残った皮脂が酸化して余計に肌荒れを起こすことになるので要注意。
【乾燥肌タイプ】乾燥肌の人は取り入れたい!最も保湿力が高い成分とは?
乾燥肌は、角層で保湿の役割を担う皮脂膜、天然保湿因子、角質細胞間脂質が減少して、角層内の水分量が低下した状態。肌のバリア機能が落ちているので、外からの刺激に反応して肌トラブルを起こしやすい。
スキンケアでは、保湿化粧水や乳液、クリームで、保湿成分をしっかり角層に届けることが大切。保湿成分にはさまざまなものがあるけれど、特に保湿力が高いのが、セラミド。角質細胞間脂質の代表格であり、水分を保持する力が強いので、クリームや美容液はセラミド入りのものを選んで。
また、乾燥がニキビを引き起こすことも。
「乾燥によって肌のバリア力が低下すると、防御反応のひとつとして角層が厚くなります。すると毛穴に皮脂や角質のかたまりが詰まり、それをえさにしてアクネ菌が増殖し、炎症を起こすのです」(慶田さん)
しっかり保湿しても治らない場合は、不規則な食生活や睡眠不足などによって肌のターンオーバーが乱れていることもあるので、生活習慣を見直して。
教えてくれた人
慶田朋子さん
銀座ケイスキンクリニック院長。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会レーザー専門医。東京女子医科大学病院皮膚科、聖母病院皮膚科、などで勤務したのち、2011年に現クリニック開設。最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせ、「切らないハッピーリバースエイジング」を叶える美容皮膚科医として多くの患者から厚い信頼を得ている。皮膚の働きや美肌に役立つスキンケア、生活習慣などのわかりやすい解説が好評。著書に『365日のスキンケア』(池田書店)、『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。
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オーラルケア
歯周病と聞くと若いうちはあまり関係ないような印象があるけれど、国の調査によると25~29歳の31.4%、30~34歳の33.1%が初期の歯周病なのだとか(※)。若くて自覚症状がない場合でも、油断はできないみたい。美しく健康な口元を守るために、歯周病の可能性がないかセルフチェックをしてみよう。
※厚生労働省 平成28年度歯科疾患実態調査 「歯周ポケットの保有者の割合、年齢階級別」より
歯周病リスクは年齢に関係なし。今すぐセルフチェックをしよう
歯周病とは、口臭、歯ぐきの色や状態の悪化、歯並びが悪くなる、歯が抜けるなどのさまざまな症状を引き起こす病気。きれいな口元が損なわれるだけでなく、食生活がままならなくなったり、全身の病気につながったりする場合もあるから、早めにケアをしておきたいところ。まずは次のチェックリストで、歯周病の可能性があるかどうかを確かめてみて。
チェック項目が3つ以上当てはまる場合は歯周病の可能性が高いかも!
歯科医師の大岡洋先生によれば、チェック項目が3つ以上当てはまる場合は歯周病の可能性が高いのだそう。
「最近では10代で歯周病になる患者も急増しており、年齢に関係なく誰もが歯周病になるリスクを持っています。早期の歯周病なら回復が可能なので、若いうちからのケアが非常に大切です」(大岡先生)
チェックリストに該当する項目が3つ以上の人はもちろん、自覚症状がない人も、歯周病ケアについて今から考えておくことが大切といえそう。
気づいたときは重症かも!?知らないうちに進行する歯周病
そもそも歯周病とは?
そもそも歯周病とは、歯の表面に付着した歯垢に歯周病菌が住み着くことで発生する病気。その進行は初期の「歯肉炎」と、炎症が進行した「歯周炎」の2段階に分けられる。
まず、歯垢に住み着いた歯周病菌が歯と歯ぐきのすき間に侵入して炎症を起こすと、歯肉炎に。この段階では歯ぐきが赤くはれる、出血するなどの症状が見られるけれど、見過ごされることも多いとか。
そのまま歯肉炎が進行すると、歯と歯ぐきのすき間が炎症によって深くなり、「歯周ポケット」ができてしまう。これが歯周炎の状態で、歯ぐきのはれやうみが出る症状が見られるのだそう。
「歯周ポケットができると歯垢がそのすき間に入り込んでしまい、ブラッシングで完全に落とすことが難しくなります。歯周ポケットにたまった歯垢はやがて歯石になってこびりつき、歯周病菌が繁殖して炎症がさらに進んでしまいます」(大岡先生)
さらに炎症が広がると歯ぐきの色に赤や紫が混じるようになり、歯ぐきが後退して歯の根元が露出しはじめる。やがて重度の歯周炎まで進行すると、歯を支える骨が溶けて歯が抜けてしまうことにも。
「歯周病は長い年月をかけてジワジワと進行する場合が多く、自覚症状もほとんどないため、重度になるまで気がつかないケースが多いのです。自覚症状がなくても予防を意識することが大切です」(大岡先生)
多くの人が間違っている?適切なブラッシング習慣とは
では、歯周病を予防するためにはどうしたらいいの? 大岡先生によれば、ポイントがふたつあるのだそう。
ひとつめは、適切なブラッシング習慣を身につけること。歯を磨くとき、多くの人は白い歯の部分をシャカシャカと磨くのでは? 実はこれ、間違ったブラッシングなのだとか。
「“歯を磨く”という感覚でブラッシングすることは、残念ながら歯周病予防にはなりません。ブラッシングの際は歯ぐきのふちをゆっくり揺らすように歯ブラシを小さく動かし、歯と歯ぐきの境目にたまりやすい歯垢を落とすように意識しましょう」(大岡先生)
歯ブラシを選ぶ際は、ヘッドが奥歯の幅よりも少し長いくらいのコンパクトなものがおすすめ。歯ブラシの毛は、歯や歯ぐきを傷つけない硬さで適度なブラッシング圧と洗浄効果が期待できる「ふつう」タイプがいいのだそう。
そして歯磨き粉については、実は使わない方がいいのだと大岡先生。歯磨き粉で泡立つと歯ブラシの位置が確認しづらく、きちんと磨けているかわからなないうえに、ミント味によってきれいになったと錯覚しやすいのだとか。歯磨き粉を使いたい場合は、泡が立たないタイプを少量だけ使うようにして。磨く際は手鏡を使って、歯ブラシの位置を確認しながらブラッシングをしよう。
「歯間ブラシを使う場合は、歯と歯のすき間のサイズに合っているものを選ぶことが重要です。歯間ブラシを入れたときに少し抵抗感を感じるものを選びましょう。なお、デンタルフロスは歯周病の予防効果があまり期待できません」(大岡先生)
朝や昼の歯磨きは短時間でもいいけれど、就寝前の歯磨きは時間をかけてていねいに行うことが大切。歯周病菌は就寝中に増殖しやすくなるため、夕食直後に夜の歯磨きを終わらせるよりも、就寝前にしっかりと磨くことが重要だと心得て。
定期的な歯科検診で健康で美しい歯を守ろう
歯周病を予防するためのもうひとつのポイントが、定期的な歯科検診。その第1の理由は、歯周病が進行していても自覚症状がほとんどないため、歯科医師による定期的なチェックが欠かせないから。検診では、歯を支える骨の状態を確認するレントゲン診査と、歯周ポケットの深さの測定などが行われるのだそう。
さらに、歯周ポケットにたまった歯垢や歯石はセルフケアでは落とせないため、検診の際にクリーニングをしてもらうこともおすすめ。
また、検診時にぜひ行ってほしいのがブラッシングのチェック。歯垢がたまっている部分が赤く染まる「染め出し」をすることで、どこに歯垢がたまりやすいのかを確認でき、ブラッシングのアドバイスもしてもらうことで日頃のセルフケアがより効果的に行えるようになるはず。
「歯周病が疑われる場合はもちろん、症状の有無に関わらず歯科検診は定期的に受けるようにしましょう。歯周病は体の免疫力が低下したときに突然進行することも多いため、継続して検診を受けておくことが予防や症状の早期回復につながります。3カ月に一度のペースで検診を受けることを目安にしてください」(大岡先生)
歯の健康は体全体の健康につながるもの。正しいセルフケアでしっかり守っていこう。
教えてくれた人
大岡洋さん
歯科医師。大岡歯科医院院長。1991年 慶應義塾高等学校卒業。1997年 東京歯科大学卒業。2002年 ハーバード大学歯学部・公衆衛生学部大学院(予防歯科学専攻)修了。日本人歯科医師として初めて予防歯科で理学修士(Masterof Science)を取得。2003年より東京歯科大学非常勤講師(歯科補綴学)。国際歯科学士会(ICD)理事。アメリカ歯周病学会(AAP)会員。慶應義塾大学特選塾員。
著書に『「歯みがき」するから歯は抜ける』(現代書林)。
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ILLUSTRATION/CHIKA SHIBA