市場を席巻する人気のぶどう、シャインマスカットのように、末永く愛されるヒット品種を―。いちご戦国時代と呼ばれるほど活況を見せているご当地ブランドいちご。なかでもメトロミニッツ編集部が注目している大分県の「ベリーツ」は、その名の通り、スイーツのようなストロベリー。大分県が8年の歳月をかけて育成した、特別な日に食べてほしい、格別な味わいのいちごです。東京で開催されるベリーツのフェア情報もご紹介!
まるでスイーツのような完成度!
大分のいちご「ベリーツ」
「今、日本に存在しているいちごで、食味に関しては最高の品種やと思います」
大分県杵築(きつき)市のいちご生産者、日浦悠(ひうらゆう)さんは「ベリーツ」をそう絶賛します。
いちご農家になって11回目、ベリーツを作り始めて7回目のシーズンを迎える日浦さんのハウスで、ベリーツを試食させてもらいました。
ただよう華やかな香り。しっかりした果肉をかじると濃厚な甘みが広がって、最後に爽やかな酸味がスッと引いていく、余韻の続くおいしさ。しかし日浦さんは、納得いくベリーツの作り方にたどりつけていない、と謙遜します。
「『苗半作(なえはんさく)』という言葉があって、苗の良し悪しで果実の出来不出来が決まります。その苗作りが自分はまだまだ。それから、生育の促進や食味をよりよくするために、最近はミネラルのバランス調整に試行錯誤しているところです」と日浦さん。
ストイックな姿勢に圧倒されつつ日浦さんのハウスをあとにして、佐伯市のいちご農家の若手リーダー、樋口勝典(ひぐちかつのり)さんを訪ねました。収穫用のトレイにはヘタの際まで赤く色づいた、端正な円すい形のベリーツが美しく並べられています。
ひとつ試食して「今日はちょっと水分が多いな」と樋口さん。ベリーツの特性と天候に合わせた水やり、ハウス内の温度や湿度の管理に特に気を遣うそうです。
「大分のベリーツ生産者の一人ひとりが理想のおいしさを追い求めて努力しています。お祝い、誕生日、いいことがあった日に食べてもらえたら。あ、食べる少し前に冷蔵庫から出して室温に戻してくださいね。あんまり冷たいと本当のおいしさがわからなくなっちゃうんで!」
笑いながら話す樋口さんの言葉に、ベリーツにかける自信と誇りがにじみます。
PICK UP! >> ベリーツ
大分県待望のオリジナルのいちご。果実はしっかりした固さで傷みにくく、ヘタの近くまで真っ赤に染まる色づきのよさ、甘さと酸味のバランスがとれた食べ飽きることのないおいしさが魅力。高い糖度と適度な酸味の「とちおとめ」と収穫量が多くて日持ちする「さがほのか」を掛け合わせた「ゆふおとめ」、香り高い「かおり野」のそれぞれの長所を発揮。「ストロベリー」と「スイーツ」をかけて命名された。12月~2月の冬場にかけて最盛期を迎える。
品種/ベリーツ
育成地/大分県
品種登録/2017年
交配/ゆふおとめ × かおり野
東京でベリーツを味わうなら【その1】
⇒新宿高野本店[新宿]
新宿高野本店、5階タカノフルーツパーラーで、ベリーツをたっぷり贅沢に味わうことのできるパフェを提供中。トップは山盛りのベリーツ。上品なホイップクリームといちごシャーベット、ソフトクリームとのバランスが最後まで絶妙です。地下2階のオリジナルフード&ギフトフロアでは、ベリーツのケーキやサラダも期間限定で登場します。さらに、1月26日(金)~1月31日(水)には同じく地下2階で「大分特産マルシェ」を開催。大分から直送する生果のベリーツを限定販売するほか、かぼすの飲料など大分県の特産品も販売します。
新宿高野本店(しんじゅくたかのほんてん)
TEL/03-5368-5147(5F タカノフルーツパーラー),03-5368-5151(B2F オリジナルフード&ギフトフロア)
住所/東京都新宿区新宿3-26-11
営業時間/5F タカノフルーツパーラー11:00~20:00(19:30LO),B2F オリジナルフード&ギフトフロア10:00~20:00
定休日/不定休
※ケーキ、デリカの販売、および「大分特産マルシェ」の開催期間は、1月26日(金)~1月31日(水)
東京でベリーツを味わうなら【その2】
⇒HIROO arobö
お洒落な雑貨や食品が揃う人気のセレクトショップ『HIROO arobö』で、ベリーツを使ったお菓子や加工品のPOP-UPが開催されます。ベリーツもじっくり漬けた「ゆふいちごの恋ビネガー」は、水や炭酸水で割ると心地よい爽快さ、牛乳や豆乳でまろやかな酸味に。白ワインなどで割れば食前酒にもぴったり! POP-UPでは数量限定で青果のベリーツも販売するほか、大分県の調味料も入荷します。
HIROO arobö(ヒロオ アロボ)
TEL/03-5422-8923
住所/東京都渋谷区広尾5-17-3
営業時間/11:00~19:00
定休日/不定休
※POP-UPは、1月21日(日)~2月3日(土)開催
東京でベリーツを味わうなら【その3】
⇒ひので家
とり天などの大分グルメを居酒屋利用で楽しむこともできる地元密着型の弁当店『ひので家』で、ベリーツと大分県産かぼす果汁を使った、イチゴミルクの素「ベリーツミルクの素」を販売します。いちごのつぶつぶ感をほどよく残した「つぶ」と、しっかりとすりつぶした、さらさらとした口当たりの「さら」の2種類。牛乳や豆乳、ヨーグルトと割って、濃厚ないちご感と優しい甘みを楽しめます。イートインではカクテルにして提供も! ベリーツフェア期間中は、ベリーツの風味を活かしたお菓子や数量限定で青果のベリーツも販売。
ひので家(ひのでや)
TEL/03-6904-0045
住所/東京都板橋区成増3-23-2
営業時間/11:00~15:00 16:00~22:30(22:00LO)
定休日/年始
※ベリーツフェアは、1月21日(日)~2月3日(土)開催
【NOTE】
【取材ノート】
日浦さんのハウスで咲いていたベリーツの花。必要な花だけを残して取り除く「摘花(てきか)」や不要な葉を間引く「葉かき」といった作業を、それぞれの株の状態を見ながら丹念に行うことで、ひと粒ひと粒が大きくて甘いベリーツが育つ。1シーズンに7回ほどある収穫のピークが始まると、まだ暗い早朝のうちから夕方遅くまでかかりきりになるそうで、その大変な労苦に感じ入った。
【取材ノート】
樋口さんのハウスで収穫作業を見学させてもらう。ちょうど腰くらいの位置にいちごの栽培ベンチを設えた「高設栽培方式」が大分県では主流。ベリーツの葉をよく見てみると、葉っぱのギザギザした先端のそれぞれに“しずく”が光っていた。ベリーツは水を吸い上げる力が旺盛で、一方で天候不順などで水はけが十分に進まないと水分がうまく循環せずに果実が水っぽくなってしまうことがあるそう。水分コントロールはベリーツを育てる上で最も気を遣う点のひとつ。
【取材ノート】
収穫したばかりの樋口さんのベリーツ(写真上)。樋口さんから、食べる前に室温に戻すことに加え、ヘタのほうから食べると最後まで甘みが続くこと、ハウス栽培のいちごは衛生管理がしっかりしているので洗わずに食べたほうがおいしさや鮮度が落ちにくい、といった食べ方のヒントも教えてもらった。「おいしかった、というありきたりな感想の言葉ほどうれしいものです」と樋口さん。日浦さんのハウスでは特に大玉で、果実の先端が裾広がりに角ばったいちごも見せてもらう(写真下)。形は個性的だが先端の体積が大きいぶん甘みも強く、「ベリーツドルチェ」という規格として出荷しているそう。
PHOTO/YASUKA FUJISHIMA , KATSUMI SATO
※メトロミニッツ2024年2月号「今日もどこかで第2のシャインマスカットが生まれている。」に加筆して転載