生まれ変わった神奈川・足柄の日本酒蔵_MEETS SAKEBITO Vol.17

更新日:2022/05/20

日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。誠実かつ酔狂であれ。軽やかなスタンスが今っぽい!見事に生まれ変わった、神奈川・足柄の日本酒蔵を訪問しました。

Vol.17 神奈川・開成町「瀬戸酒造店」森 隆信さん・小林 幸雄さん

森さんは1971年長崎県生まれ。大手建設コンサル「オリエンタルコンサルタンツ」で1865年創業の「瀬戸酒造店」再生事業を立案、2018年代表取締役に。小林さんは1964年長野県生まれ。各地の蔵で酒造りに従事後、「瀬戸酒造店」杜氏に就任

「酒造りを休んでいる地元の酒蔵をなんとかしてくれないか」。

コンサル会社の社員として地方創生に取り組む森さんに声がかかったのは7年ほど前のこと。

休眠蔵を外部コンサルが再生……と、ここまではたまにある話。

しかしすっかり日本酒に魅せられた森さん、2年を費やして新会社を設立、事業を引き継ぎなんと自ら代表に。

蔵元として生きることを決意します。

挑戦を後押したのが、酒造歴30年のベテラン杜氏・小林さんとの出会い。

左上/時間や温度、湿度の微調整をしながら進める製麹。麹室には独特の緊張感が 右上/酒の味わいや世界観が表現された商品デザインも秀逸 左下/酵母添加後、元気に発酵が進む酒母 右下/かつて酒米の一大生産地だった開成町。丹沢山系と富士山系が混ざる軟水寄りの水質が、酒にやわらかい個性を与える

「大切なのは米の洗いと蒸し。料理で言う下ごしらえです」と語る小林さんの丁寧な酒造りから生まれるのは、本人曰く「“普通”の酒」。

普通なれど普遍でピュア、穏やかな味わいは、飲みやすいこと、この上なし! 

その実力は、国内外のコンクールで重ねる受賞歴が証明済みです。

一方「コンセプトは“酔狂”。酔ってタガが外れたくらいの方が、なに事もうまくいくから(笑)」と森さん。

基本はしっかり、でも遊び心を忘れない。2人のそんなバランスが、復活蔵の快進撃を支えます。

泡盛

「瀬戸酒造店」で生まれた日本酒

セトイチ いざ
1834円(720ml)

山田錦使用の純米吟醸酒。フランスのコンクール「Kura Master」2年連続受賞。華やかさと穏やかさの好バランスに、すいすい杯が進む!

瀬戸酒造店 

TEL.0465-82-0055 
住所/神奈川県足柄上郡開成町金井島17

直売あり。有料見学可能(要予約)

PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2022年6月号「MEETS SAKEBITO」より転載

※記事は2022年5月20日(金)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります