日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。今回向かったのは山梨県。でもワイナリーじゃありません。フリースタイルを貫く、気鋭のジン蒸留所を訪ねました。
Vol.14 山梨・甲州市「GEEKSTILL」岸川勇太さん
「山梨はフルーツ王国。原料は豊富だし、ワイン以外の酒文化が育ってもいいはず」。
そんな想いで「GEEKSTILL」を立ち上げた岸川勇太さん。ジンのベースに使うのは、贅沢にも全量山田錦で醸す純米吟醸酒を蒸留したスピリッツ。
香り付け用のフルーツやスパイスなどは通常まとめて浸漬させますが、ここではすべて個別に浸漬、再蒸留後にブレンドして風味を組み立てるのが岸川さん流です。
その結果生まれるのが、日本酒由来のうまみと鮮やかな香りが同居する、やわらかいのに超が付くほどフレッシュな味わい!
「他がどんなやり方をしているかは知らないし、気になりません。したいことをしているだけ」と岸川さん。
現在は自らジンの必須原料・ジュニパーベリーを栽培、日本初・国産原料100%のジン製造に挑戦中とか。
とは言え、「色々やっていますけど、なんとなく感じてもらえればそれでいい。お酒は仲間と気軽に、好きな飲み方で楽しむものであって欲しいから」。
造り手も飲み手も自由であるべし。革新的なジンを支える信念に共感!
「GEEKSTILL」で生まれたジン
AMRTA [1-45-59-64]
4950円(500ml)
山梨県産の柚子とレモングラス、静岡県産シトラスなどを使用。鮮烈な柑橘香と厚みのある後味が絶妙。ジン初心者にもおすすめ!
PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年3月号「MEETS SAKEBITO」より転載