日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。「飲みたい酒は、自分で造る」。 酒愛高じて造り手に! ブームの兆しを見せるはちみつ酒・ミードの醸造家を訪ねて秩父へ。
Vol.13 埼玉・小鹿野町「ディアレットフィールド醸造所」工藤エレナさん
うっとりするほど瑞々しい白ぶどうや花の香り。はちみつと水と酵母だけを原料に、そんな芳醇な味わいを生み出すミードは、世界最古の酒と言われます。
そのミード造りを目指し埼玉・秩父へ移住、夫の宏樹さんと夢を実現させたのが工藤エレナさん。
原点は大の酒好きとなった学生時代にありました。東京農業大学に進学、全国の蔵を巡る中で出会ったのが、福島の日本酒蔵が醸す国産ミード。
曰くそのおいしさは「衝撃的。やられたって感じ」。心に芽生えたミード造りの野望。
宏樹さんと結婚後、夢を打ち明けると……「『ローン組んで家買うか酒蔵建てるか、どっち?』って。『酒蔵』と即答(笑)」。
福島に通い技術を学びながら、家族で新天地・秩父へ。「決め手は秩父産はちみつの質の高さ。山桜や藤など樹木の花の蜜が主体で、香りがよいんです」。
先月初リリースの自社醸造ミードは、酒ラバーのプライドを感じる完成度。今後は自家培養酵母での醸造や樽熟成に挑戦するほか、体験醸造の受け入れも予定。夢のマイミード造りがかなうかも!
「ディアレットフィールド醸造所」で生まれたミード
秩父百花
3025円(375ml)
さまざまな花の蜜をブレンドした奥秩父産百花蜜使用。甘みさっぱり、後味キリリのクリアな味わい。食前・食中・食後、いつ飲んでもハマる
ディアレットフィールド醸造所
TEL/非公開
住所/埼玉県秩父郡小鹿野町藤倉1623
体験醸造の受付は春以降を予定。直営店「秩父令和商会」(埼玉県秩父市野坂町1-20-38)ではグラス提供のみ、ボトル販売なし。
PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年2月号「MEETS SAKEBITO」より転載