秩父のミード醸造所を訪ねて_MEETS SAKEBITO Vol.13

更新日:2022/01/20

日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。「飲みたい酒は、自分で造る」。 酒愛高じて造り手に! ブームの兆しを見せるはちみつ酒・ミードの醸造家を訪ねて秩父へ。

Vol.13 埼玉・小鹿野町「ディアレットフィールド醸造所」工藤エレナさん

1988年、ロシア・モスクワ生まれ。4歳から福島県で育つ。IT 系企業に勤務後、2017年に酒類販売免許を取得、ミードの委託醸造を始める(製造は福島県「峰の雪酒造場」)。2019年、埼玉県秩父郡へ移住。2021年に酒類製造免許取得、醸造所を開設

うっとりするほど瑞々しい白ぶどうや花の香り。はちみつと水と酵母だけを原料に、そんな芳醇な味わいを生み出すミードは、世界最古の酒と言われます。

そのミード造りを目指し埼玉・秩父へ移住、夫の宏樹さんと夢を実現させたのが工藤エレナさん。

原点は大の酒好きとなった学生時代にありました。東京農業大学に進学、全国の蔵を巡る中で出会ったのが、福島の日本酒蔵が醸す国産ミード。

曰くそのおいしさは「衝撃的。やられたって感じ」。心に芽生えたミード造りの野望。

左上/西武秩父駅前の直営店「秩父令和商会」では、さまざまなミードをグラスで提供 右上/発酵中のミード。1カ月ほど低温でゆっくり発酵させ、繊細な味を引き出す 左下/酒好き夫婦、エレナさんと宏樹さん 右下/昨年は地元産はちみつを1t買い付け。蜜源となる花の植栽など、地域活動も続ける

宏樹さんと結婚後、夢を打ち明けると……「『ローン組んで家買うか酒蔵建てるか、どっち?』って。『酒蔵』と即答(笑)」。

福島に通い技術を学びながら、家族で新天地・秩父へ。「決め手は秩父産はちみつの質の高さ。山桜や藤など樹木の花の蜜が主体で、香りがよいんです」。

先月初リリースの自社醸造ミードは、酒ラバーのプライドを感じる完成度。今後は自家培養酵母での醸造や樽熟成に挑戦するほか、体験醸造の受け入れも予定。夢のマイミード造りがかなうかも!

「ディアレットフィールド醸造所」で生まれたミード

秩父百花
3025円(375ml)

さまざまな花の蜜をブレンドした奥秩父産百花蜜使用。甘みさっぱり、後味キリリのクリアな味わい。食前・食中・食後、いつ飲んでもハマる

ディアレットフィールド醸造所

TEL/非公開
住所/埼玉県秩父郡小鹿野町藤倉1623 

体験醸造の受付は春以降を予定。直営店「秩父令和商会」(埼玉県秩父市野坂町1-20-38)ではグラス提供のみ、ボトル販売なし。

PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年2月号「MEETS SAKEBITO」より転載

※記事は2022年1月20日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります