長野・高山村の新たなワイナリーへ_MEETS SAKEBITO Vol.12

更新日:2021/12/20

日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。今回の訪問地は、ワイン用ぶどうの名産地として注目を集める長野・高山村。一昨年誕生した村内5 番目の新ワイナリーが、大いに話題を呼んでいます。

Vol.12 長野・高山村「ヴィニクローブ」倉田康博さん・裕子さん

康博さんは東京·海外で銀行や製薬会社に勤務。2016 年高山村に移住しピノ·ノワールを植樹。他ワイナリーや酒類総合研究所での研修を経て2019 年ワイナリー設立。裕子さんも東京·海外で銀行や外資系企業に勤務後、ワイナリー立ち上げに加わる

独特の気候風土が高品質なぶどうを育む高山村。今年初リリースの自家醸造ワインで業界をザワつかせているのが「ヴィニクローブ」です。

オーナーは元銀行員の経歴を持つ倉田夫妻。世界を股にかけ、あらゆるピノ·ノワールのワインを飲んできた生粋の“ピノファン”である2人。

造るワインもピノ·ノワールがメインですが、ピノ·ノワールは世界中の愛好家を魅了する品種である一方、特に栽培が難しいことで知られています。

左上/ピノ·ノワールの官能的な香りを最大限引き出すことを目指す 右上/芸術を愛する夫妻。踊るバレリーナの映像をひとコマずつ切り取ったラベルは、すべてが異なる斬新なデザイン 左下/点在する畑は全部で2ha弱。殺虫剤や除草剤は使わず、多様な生物が暮らす 右下/土間に砂利を敷き詰めたカーブ

「実が密集して果皮が薄いため実割れしやすく、病気に弱いんです。でも難しい分、また愛情が湧いてくる。造り手になって初めてわかった魅力です」と裕子さん。

収穫は手摘みしたぶどうを粒単位で選別。果粒を極力潰さないよう、ポンプを使わず重力でタンク内へ移すなど、栽培·製造は徹底的に丁寧に。

目標とするワイナリーはないものの、「ただ、飲み手だった頃の自分たちに恥じないワインを目指したい」。原動力はあふれるピノ愛。本場·ブルゴーニュに負けずとも劣らないエレガントな味わいに、妥協なき想いが溶け込みます。

「ヴィニクローブ」で生まれたワイン

ピノ・ノワール 2019
4180円(750ml)

自社栽培のぶどうを使い、フレンチオークの新樽で1年間熟成。花のような繊細な香りと優しい酸味が。飲み口はなめらかで、どこまでも優雅!

ヴィニクローブ

TEL/非公開
住所/長野県上高井郡高山村黒部4048-3

ワインの購入は「いまでや」GINZA SIX 店、「SAKEMIZUHASHI」、「日本ワインショップ遅桜」、「柏屋」にて。醸造所の見学は、来年春以降要予約にて受付予定 

PHOTO/SAORI KOJIMA TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年1月号「MEETS SAKEBITO」より転載

※記事は2021年12月20日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります