日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。今回訪ねたのは、涼しい風に潮の香りが混ざる秋の湘南。グッドバイブスに満ちたブルーパブにある、小さな醸造所が舞台です。
Vol.11 神奈川・茅ヶ崎市「バーバリックワークス」安藤佑一さん・永石卓宏さん
写真の右側、豊かな髭がトレードマークの安藤さんは“パンチョ”の愛称で知られる名物オーナー。
2016 年、経営するバルにクラフトビール醸造所を併設する際、安藤さんの胸にあったのはちょっとした反骨心でした。
「ビールって、いつも既製品のソーセージと一緒に出てくるイメージでつまらない。もっとワインのようにたくさん選択肢があればいいのに」。長年飲食畑を歩みソムリエ資格も持つ安藤さん。
飲料メーカーから転職した永石さんとともに造り始めたビールは、どこかワイン的アプローチを感じさせます。
例えば、人工的なガス充填ではなく、自然に発生させる方法で炭酸ガスを付けたり、地元産フルーツと発酵中の麦汁を木樽に入れ、野生酵母の力を借りながら熟成させたり。
気付けば杯を重ねてしまうナチュラルな味わいは、料理の味も会話の流れも邪魔しません。トレンドは気にせず、自分たちが飲みたいビールをマイペースに造るのが2人の信条。
地元の常連客でにぎわうバルの中、今日も黄金色のビールが、愛すべき名バイプレーヤーとして存在感を放ちます。
「バーバリックワークス」で生まれたビール
ゴールドフィッシュボウル
710円(330ml)
トロピカルな香りとシトラス感、セッションIPAらしいクリアなのどごしが光るドリンカブルな1本。地元アーティストによるラベルもクール!
PHOTO/SAORI KOJIMA TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年12月号「MEETS SAKEBITO」より転載