日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。九州の地酒・焼酎を、世界中で愛される< SHOCHU >に。業界に新風を吹き込む若き杜氏を訪ね、南国・鹿児島へ飛びました。
Vol.09 鹿児島・さつま町「小牧醸造」小牧伊勢吉さん
113軒もの焼酎蔵を有する鹿児島。「人口約2万人のさつま町だけでも3軒。それほどローカルな酒だから、地域外に出る必要がないんです。でもそれでは、いずれ淘汰されてしまう」。
そう語る小牧さんは、今注目の新世代杜氏です。「小牧醸造」の酒造りは、一見“昔ながら”。
毎年仕込みは竹で道具を作ることから始め、原料のさつま芋を切って混ぜるのも手作業です。
一方、ボトルデザインは有名クリエイターに依頼。地元では邪道とされていたソーダ割り向きの焼酎をいち早く開発し話題に。
ワイン樽やブランデー樽で熟成させる焼酎や、グラン・クリュワインのように芋を選別する焼酎なども次々企画し、新たなファン層を獲得してきました。
昨年には自ら九州中を口説いて回り、初めて規模や地域をまたいだ団体「九州本格焼酎青年会」を発足。
さらに日本酒と焼酎の造り手で設立した「一般社団法人JSP(ジャパン・サケ・ショウチュウ・プラットフォーム)」に参画、業界の垣根も越えています。
目指すは、焼酎が世界中のお酒好きを喜ばせる未来。その先頭を走る準備は万全です。
「小牧醸造」で生まれた焼酎
紅小牧
1200円(300ml)
小牧さんの母の先代杜氏・世津子さんが「若者や女性にも飲みやすい芋焼酎を」と開発。フローラルな香りとほのかな甘さが特徴。ぜひ2:8のソーダ割りで!
PHOTO/SAORI KOJIMA TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年10月号「MEETS SAKEBITO」より転載