焼酎業界に新風を吹き込む鹿児島の若き杜氏を訪ねて_MEETS SAKEBITO Vol.09

更新日:2021/09/20

日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。九州の地酒・焼酎を、世界中で愛される< SHOCHU >に。業界に新風を吹き込む若き杜氏を訪ね、南国・鹿児島へ飛びました。

Vol.09 鹿児島・さつま町「小牧醸造」小牧伊勢吉さん

1978 年、鹿児島県生まれ。旧名・小牧尚徳(ひさのり)。高校卒業後に上京、飲食業などを経験し、2000年、蔵へ戻る。2016 年に3代目杜氏として小牧伊勢吉襲名。フラッグシップの焼酎「一尚」は、社長を務める兄・一徳さんと自身の名から命名したもの

113軒もの焼酎蔵を有する鹿児島。「人口約2万人のさつま町だけでも3軒。それほどローカルな酒だから、地域外に出る必要がないんです。でもそれでは、いずれ淘汰されてしまう」。

そう語る小牧さんは、今注目の新世代杜氏です。「小牧醸造」の酒造りは、一見“昔ながら”。

毎年仕込みは竹で道具を作ることから始め、原料のさつま芋を切って混ぜるのも手作業です。

一方、ボトルデザインは有名クリエイターに依頼。地元では邪道とされていたソーダ割り向きの焼酎をいち早く開発し話題に。

左上/代々伝わる和甕で仕込むことで、“アースィー(土っぽい)”な独自の風味に 右上/契約農家で栽培されたさつま芋。麹用の米を含め、使う原料はすべて地元産 左下/自然豊かな地。蔵の裏手には一級河川・川内川が流れる 右下/右3 種が創業100 周年を機に生まれた「一尚」シリーズ。左は名産の南高梅を使った梅酒

ワイン樽やブランデー樽で熟成させる焼酎や、グラン・クリュワインのように芋を選別する焼酎なども次々企画し、新たなファン層を獲得してきました。

昨年には自ら九州中を口説いて回り、初めて規模や地域をまたいだ団体「九州本格焼酎青年会」を発足。

さらに日本酒と焼酎の造り手で設立した「一般社団法人JSP(ジャパン・サケ・ショウチュウ・プラットフォーム)」に参画、業界の垣根も越えています。

目指すは、焼酎が世界中のお酒好きを喜ばせる未来。その先頭を走る準備は万全です。

「小牧醸造」で生まれた焼酎

紅小牧
1200円(300ml)

小牧さんの母の先代杜氏・世津子さんが「若者や女性にも飲みやすい芋焼酎を」と開発。フローラルな香りとほのかな甘さが特徴。ぜひ2:8のソーダ割りで!

小牧醸造

TEL/0996-53-0001
住所/鹿児島県薩摩郡さつま町時吉12

見学は通常の場合、要予約(現在は休止中。再開時期等は要問い合わせ)

PHOTO/SAORI KOJIMA TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年10月号「MEETS SAKEBITO」より転載

※記事は2021年9月20日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります