広島でスパークリングワインを生む醸造家を訪ねて_MEETS SAKEBITO Vol.08

更新日:2021/08/20

日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。シャンパーニュの伝統製法で造られる、ピンクのシュワシュワワイン。地元のブドウ品種に光を当てる気鋭の造り手を訪ね、広島へ。

Vol.08 広島・福山市 「福山わいん工房」 古川和秋さん

1983 年、広島県出身。料理人を目指し「辻調理師専門学校」フランス校へ留学、大阪のレストランで経験を積んだ後、再渡仏。シャンパーニュ地方でワイン造りを学ぶ。2016 年「福山わいん工房」設立。今年1月「ワインショップ ショワジール」開店

10代でフランスへ料理留学、シャンパーニュ地方での研修で名だたるワイン生産者のもとを訪れた古川さん。

料理人となってから再度現地へ渡り、生産現場の真っただ中に身を置きつつ抱いたのが、「いつか自分もワイン造りを」という夢でした。

その後、2016年に地元・福山市に醸造所を設立。本場仕込みの技術を駆使し、シャンパーニュ同様、瓶内二次発酵を行うスパークリングワインをメインに製造しています。

左上/細かく優しい泡が特徴 右上/10℃に保たれた熟成庫。創業年から寝かせるワインも 左下/醸造所近くにオープンしたワインショップ 右下/左からバラ色が美しいスパークリング「キュヴェ ローズ」、蔵王町産ブドウと野生酵母で造る赤ワイン、ソーヴィニヨン・ブランを使った辛口スパークリング。種類も豊富 

主力のブドウ品種は、福山市名産のマスカット・ベーリーA(以下MBA)。「でも今はシャインマスカットなどが人気で、MBAに価値がないと考える農家さんが多いんです。ワインに加工することで、産地を守りたい」と古川さん。

幸運なことに、MBAはたんぱく質を多く含むため泡持ちがよく、スパークリング造りには最適な品種。繊細な泡とMBAらしい甘い香りが心地よい古川さんのワインは、着々と評価を上げています。

目指すのは、地域の食文化に根ざしたワイン。「ヨーロッパに行けば、飲食店のワインリストの9割が地元産。日本でもそういう日が来ればいいなと思います」

「福山わいん工房」で生まれたワイン

マスカットベーリーA
エクストラブリュット 2019
3,520円( 750ml)

淡いロゼ色が美しい瓶内二次発酵のスパークリングワイン。イチゴのような甘い香りと穏やかな酸味があり、飲み口はすっきりドライ。瀬戸内海産の魚介とも相性抜群

福山わいん工房

TEL/非公開(問い合わせは ホームページより) 
住所/広島県福山市霞町1-7-6 

見学は要予約。JR福山駅近くの「ワインショップ ショワジール」でワインの購入と有料のテイスティングが可能。

PHOTO/SAORI KOJIMA TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年9月号「MEETS SAKEBITO」より転載

※記事は2021年8月20日(金)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります