日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。今回訪ねたのは、日本酒銘醸地・灘の江戸時代から続く老舗蔵。業界とファンを驚かせた、若き挑戦者たちの物語。
SAKEBITO Vol.06 兵庫・神戸市「白鶴酒造」 別鶴プロジェクトチーム
「え、これが日本酒?」思わずそう呟くほどの果実味と爽やかさ! そんな個性派酒「別鶴(べっかく)」を手掛けたのは、日本酒業界の超大手「白鶴酒造」。そう、コンビニで見かけるあの白鶴です。
「日本酒の消費量は今や最盛期の三分の一以下で、飲み手の高齢化も進行中。もっと若い人にアピールできる商品をと、上司に掛け合ったのが始まりです」と話すのは、プロジェクト発起人であるマーケティング部の佐田尚隆さん。20~30代の若手チームで掲げたのが、かつてない日本酒を造るというミッションでした。
鍵は老舗ならではの“財産”。例えば酵母は、400種を超える自社ライブラリーから、お蔵入りだったキャラ立ち酵母を選出。酒米は自社開発の白鶴錦、一部工程に杉樽を用いて複雑味を出すなど、蔵の知見と技術をフル活用。
かくして、3種の革新的な日本酒が誕生したのです。商品テーマは、虫眼鏡とシュノーケルと望遠鏡。「初めての世界を覗くのは、少しどきどきするものだから」と佐田さん。レンズの向こうに、日本酒の可能性が広がります。
「白鶴酒造」で生まれた日本酒
別鶴 木漏れ日のムシメガネ
2743円(720ml)
ライムをきゅっと搾ったような鮮烈な香りと酸味に、ほどよい甘みが調和。爽快なイメージの低アルコール酒。「夏はキリっと冷やして炭酸水で割るのもおすすめ」と佐田さん
白鶴酒造
TEL.078-856-7190(お客様相談室)
兵庫県神戸市東灘区住吉南町4-5-5
「白鶴酒造資料館」は入場無料、通常営業時試飲あり。※コロナ禍の営業形態は公式サイトで要確認
PHOTO/SAORI KOJIMA TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年7月号「MEETS SAKEBITO」より転載