ローカルの日常を訪ねる「ステイケーション」。滞在中に出会える、その町ならではの朝の風景をフォトグラファー嶋崎征弘さんの一枚の写真と文でお届けします。今号は高円寺の商店街脇にたたずむ銭湯「小杉湯」へ。朝風呂から始めるこの町ならではの朝、ぜひみなさんもご体験ください
高円寺の街で長年愛される銭湯で始める1日
小杉湯さんのことは以前から耳に入っており、いつか連載でと思っていた。今回念願かなって朝風呂へ。高円寺駅北口、庚申通り商店街から路地に入ると、「小杉湯」と書かれた青い看板が目に入る。
頭に思い描く、銭湯があって欲しいというロケーション。宮造りの、いわゆる東京型(初めて聞いた)の建物は、素人目にもよく手入れされていることがわかる。番台を通り抜け、脱衣所へ。正面に見える銭湯絵のブルーが目を引く。風呂場へ入ると、湯気抜きの高~い窓から、朝のクリアな光が降り注ぐ。3代目の平松さんが教会の中にいるような光と言っていたのが印象的で、入る前からとても気分がいい。
熱めの湯が苦手な自分は、適温のミルク風呂から。甘い香りと丁度良い湯加減で、じわじわと体が温まる。この位置(横)から見える富士の絵も逆光に覆われていて見惚れてしまう。
風呂上がりに、お決まりのコーヒー牛乳。その後、喫茶店でモーニング、そして古着屋巡りと高円寺ならではの湯上がり散歩も楽しみたい。銭湯を目指して、気になる街に飛び込めば、内側から街を覗いたような、得した気分を味わえそうだ。
今回訪れたスポット:東京都・杉並区・小杉湯
昭和8年から90 年弱、高円寺の人々の暮らしに寄り添う銭湯。肌がもっちりするミルク風呂やユズやヒバなどが日替わりで香るあつ湯を楽しみ、待合室兼ギャラリーで漫画を読みながらアイスをほおばれば、日々行っている“入浴”がちょっと幸せな営みに。タオル類やアメニティも完備しているので手ぶらでふらりと訪ねてみよう
TEL.03-3337-6198
東京都杉並区高円寺北3-32-2
営業時間/15:30 ~翌1:45 土・日 8:00 ~
木定休
入浴料金/大人480円
PHOTO&TEXT/MASAHIRO SHIMAZAKI
※メトロミニッツ2022年7月号「ローカルモーニング」より転載