「Landmark Art Girl」Hogalee

東京が舞台の芸術祭「東京ビエンナーレ2020/2021」が開幕|STEP1【東京ビエンナーレの楽しみ方】

更新日:2021/07/12

コロナ禍による延期を乗り越え、東京の街を舞台にしたアートの祭典「東京ビエンナーレ2020/2021」が、2021年7月10日(土)~9月5日(日)に初開催! 「見なれぬ景色へー純粋×切実×逸脱ー」をテーマに掲げ、街のさまざまな場所に点在する60以上の作品を回遊しながら楽しむことができる。今回は、東京ビエンナーレに込められた思いと楽しみ方をご紹介。

「Landmark Art Girl」Hogalee:神田小川町に現れたのは、現代を映す鏡として線画で記号化した「オンナノコ」を描き続けるHogaleeのパブリックアート。突如現れた巨大な壁画によって、静かな路地裏が異色の空間に

▽東京ビエンナーレ見どころガイド

◆STEP1【東京ビエンナーレの楽しみ方】←今読んでいるのはこちらの記事

◆STEP2【アートとARで未知なる世界へ】

◆STEP3【イーストトーキョーに新たな光を当てる注目のプロジェクト】

◆STEP4【作品から見えてくる未知なる東京】

変化し続けるかつてない芸術祭。東京ビエンナーレの楽しみ方

会場は中央区、千代田区、文京区、台東区の歴史的建造物や学校、道路、水辺など60カ所以上に点在している。作品数の多い神田・湯島・上野・蔵前エリアと大手町・丸の内・有楽町・日本橋・京橋・銀座エリアはそれぞれ1日かけて、街の文脈とともに楽しむのがおすすめ。

また10カ所ほどに点在するAR作品だけを集中的に巡るのも楽しい。都心ゆえ、移動は地下鉄か自転車が便利。上記マップ掲載以外にも作品はたくさん。各作品の詳細な位置は変更の場合もあるので、公式サイトでチェックしよう。

芸術祭と同時に「災害対応力向上プロジェクト」をはじめとするソーシャルプロジェクトも進行中。興味があれば誰でも参加可能なので、アートを介して社会と向き合ってみて。

チケットのこと

パスポート2500円なら、各地に点在するオフライン作品に加え、スマホをかざすと立ち上がるAR作品や音声、動画が体験可能に。ほか、作品ごとの個別鑑賞券500円もあり。

各地に登場するストーリーテラーに注目
※動画イメージ

各地に登場するストーリーテラーに注目

東京ビエンナーレでは、アートだけではなく街の文脈も楽しめるよう、スマートフォンを利用した新たな街歩きの提案を行っている。そのひとつが、開催エリアに点在する東京の文化資源を地図上に浮かび上がらせ、動画で紹介するプロジェクト「ストーリーテラー」。作品の背景にある物語を通じて、今まで知らなかった街の魅力をぜひ見つけてみて。

東京ビエンナーレMAP

東京ビエンナーレMAP

注目ストーリーテラーはこちらです

【A】吉見俊哉(社会学者)/彰義隊の墓
徳川の聖地から近代の展示場へ。上野の多層性を敗者の視点で読み解く

【B】陣内秀信(建築史家)/常磐橋
震災の被害からよみがえった美しい石橋に立ち、水都東京に耳を澄ます

【C】木下直之(静岡県立美術館館長)/東京駅(アガペの像)
戦時中、駅は死地の入口だった。東京駅に立つ遺言としての彫刻を見よ

【D】畑中章宏(民俗学者)/太田姫稲荷神社
人口密集都市ゆえ、今も昔も疫病に苦しむ江戸東京の疫病神をご紹介

【E】河野安紀(三菱一号館美術館)/三菱一号館美術館
丸の内の開発はここからはじまった。後世に託された街づくりの志を聴く

【F】池田晶紀(写真家)/神田ポートビル
神田にみんなの港ができた! 心身を整え、新しい東京へ船出しよう

【G】糸井重里(ほぼ日)/TOBICHI東京
南青山から神田に引っ越した「ほぼ日」。糸井さんが語る神田の魅力とは?

【H】栗生はるか(一般社団法人せんとうとまち代表)/燕湯
ヤッチャバの男たちが汗を流した粋な銭湯へご案内。湯船で時間旅行を

【I】小池一子(東京ビエンナーレ総合ディレクター)/湯島聖堂
学校のはじまりの地で悠久をアートで物語る。テーマは「東京に祈る」

【J】山崎亮(studio-L)/CPK GALLERY
あなたのいらないものが誰かの力になるチャリティショップの可能性

総合ディレクター小池一子さんに聞きました

東京ビエンナーレにはどんな思いを込めましたか?

新型コロナウイルスの影響で1年間の延期を余儀なくされた「東京ビエンナーレ 2020/2021」がいよいよ幕を開けた。千代田、中央、文京、台東の4区の約60カ所を舞台に、世界中からアーティストが集結。町に宿る歴史や文化を拾いあげながら、地域とともに作りあげる新しい芸術祭は、今後2年に一度の開催をめざしているという。東京ビエンナーレ市民委員会の共同代表を務める小池一子さんは、この芸術祭について、次のように教えてくれた。

総合ディレクター小池一子さんに聞きました

「テーマである『見なれぬ景色へ―純粋×切実×逸脱―』には、すでに存在している東京の街並みに思わぬ仕掛けを突きつけて、この景色の変化を考えさせるのが表現者の役割、という思いを込めています。都心北東部エリアを舞台にしたのは、そこに東京のいちばんコアな部分があると感じたから。昔ながらの暮らしや災禍の爪痕が残っている一方、最先端なものもあって。その両方が存在している複雑な街の様相に惹かれましたね」

また行政主体ではない、民間主導のボトムアップ型の芸術祭であることも大きな特徴のひとつ。

「東京でアートを大切に思う人間が集まり、一人ひとりの意思がつながって市民委員会を作るところから始まりました。そもそも人間って、ラスコーの壁画の時代からものをクリエイトする生き物。否が応でもものづくりをしてしまう人間の自然な発露の場として、やはりこの場は必要だったと思います」

そんな芸術祭の魅力について尋ねると、こんな言葉が返ってきた。

「多面性ですね。東京の街もそうだし、そもそもアートっていろいろな面があるでしょう。ワクワクするようなAR作品もあれば、戦争の記憶を通して、誰かの悲しみに寄り添う「Praying for Tokyo」のような作品もある。特に後者はこの芸術祭の核心であり、私たちに物事を深く考えるきっかけを与えてくれると思っています」

さらにアートを通じて地域の特性に触れられるのも、この芸術祭ならでは、と小池さん。

「下町の街角に作品をひとつ置くことで景色が変わるように、アートにはそれまであった風景を一変させる力があります。街になにかを探す気持ちで出てみれば、きっと発見があると思いますよ。立ち止まって目を閉じて、そしてまた見てみることで、今まで知らなかった東京の顔が見つかるはずです」

【OZmallからのお願い】

新型コロナウイルスの影響により、イベントの中止・変更、ならびに施設の休業、営業時間の変更、提供内容の変更が発生しております。日々状況が変化しておりますので、ご不明点がございましたら各施設・店舗へお問い合わせください。
外出時は、ご自身の体調と向き合いマスク着用のうえ、各施設の3密対策・ソーシャルディスタンス確保などの衛生対策にご協力のうえ、思いやりを持った行動をお願いします。

※オズマガジン2021年8月号「アートなおでかけ」の記事を一部転載 
※掲載店舗などの情報は、取材時と変更になっている場合もございますので、ご了承ください

イベントDATA

イベント名
東京ビエンナーレ2020/2021
開催場所
東京都中央区、千代田区、文京区、台東区の歴史的建造物や学校、道路、水辺など60カ所以上
開催日程
2021/7/10(土)~9/5(日)
チケット
パスポート2500円
※各地に点在するオフライン作品、AR作品や音声、動画が体験可能
※ほか作品ごとの個別鑑賞券500円もあり
ホームページ
東京ビエンナーレ 公式HP

オズマガジン2021年8月号は「アートなおでかけ」特集

オズマガジン2021年8月号は「アートなおでかけ」特集

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PHOTO/KAZUHITO MIURA、WRITING/NAOKO OGAWA、MAP/SHOKO KAWAI

※記事は2021年7月12日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります