
予定のない休日の午後、あるいは仕事が早く終わった日。このまま家で過ごすのがもったいないように感じたら、この連載の出番です。どこへ行くか迷ったときにぴったりなスポットをお届けする、夕方からの街歩き案内です。
佇まいにもうっとりする
住宅街の隠れ家蕎麦屋
三ノ輪駅のある台東区・根岸の静かな住宅街の一角、飛び石のアプローチを抜けて、少し奥まった場所にあるこちら。「前はおでん屋、その前は料亭だった歴史のある場所なんです。同じ街でこんなにいい場所に移れて、運がよかったです」と話してくれたのは店主の佐藤元春さん。
浅草の老舗「並木藪蕎麦」で12年の研鑽を積み、2021年に独立。徒歩数分の場所にお店を構えたが、建物の立ち退きを機に昨年、今の場所へ移転。「敷居が高そうな外観なんですが、王道な蕎麦屋がテーマです。値段もお手頃にしているので、まずは、かけかざるを食べていただいて。気に入ってもらえれば、鴨や天ぷらなどもぜひ」。
手打ちの十割蕎麦と、鯖節と昆布を長時間煮出し、うまみだけを抽出したつゆは絶品。あっさりとしていながらも、味わい深い1杯で、一度食べれば虜になること間違いなしです。
ほしのま
TEL.070-9128-2646
住所/台東区根岸4-1-18
営業時間/12:00〜14:30(14:00LO)、18:00〜20:30(20:00LO) 土・日・祝12:00〜20:00(19:30LO)
定休日/水・木
銭湯ラバーも沸くこと必至
老舗銭湯の新しい一歩
「自宅の一部も改修して釜を移動させて、そのスペースに作りました」と、肝入りのサウナと水風呂を新設し、70年以上続く銭湯がリニューアル!
「時間が経っても清潔感のある空間を届けたくて」という3代目加藤恭子さんの想いもあり、浴場内を全面大理石調のタイルに張り替え。下町とは思えないシックな空間のギャップと充実の新設備に惹かれて、ついつい長風呂必至です。
1世紀のカルチャーが詰まった
古くて新しい名物酒場
天井から吊るされたミラーボール、キープボトルと並ぶレコードや大きなスピーカー。来年創業100年とは思えない、サブカルミックスなギャップに心惹かれる界隈きっての老舗酒場。
「自分の好きを出しつつ、1世紀続く酒場としての芯はブレないように」と5代目の高尾太一さん。名物のニラ玉や刺身盛りなど、気軽な価格で提供する肴の数々がさまざまな世代の酒場ラバーを魅了しています。
PHOTO/TARO OTA TEXT/HIROTO OKAZAKI
※メトロミニッツ2025年5月号「TOKYO EVENING HOPPING」を再編集して転載