うまいもの探偵団が、毎回東京の気になる街の気になる料理店へ突撃。一番売れているメニューを料理人にお聞きして、おいしいだけじゃない、愛されている理由を探ります。。今回は、三越前でワインファンを増やし続けている「ヴィノシティ マキシム」。その一番人気メニューとは?
【今月のお店】VINOSITY maxime(三越前)
一番売れているメニュー:ノルウェーサーモンの瞬間スモーク
探偵団 : 店名の「VINOSITY(ヴィノシティ)」とはどういう意味なんですか?
原田シェフ : ラテン語で「ワイン中毒」という意味です。神田にある「ヴィノシティ」が1号店、「ヴィノシティ マジス」が2号店、そしてここ「ヴィノシティ マキシム」が3号店で2014年にオープンして10年が経ちました。ワインショップやワインスクールも系列にあって、“1人でも多くのワイン中毒、つまりワインラバーを増やせたら”というのがうちのコンセプトなんですよ。ちなみに、マジスは「more」、マキシムは「most」という意味、つまり最上級ということで、3店舗の中で一番食事もしっかりとできるビストロです。
探偵団 : なるほど~。それは、お料理への期待値も高まります。1番売れているメニューはなんですか?
原田シェフ : 「ノルウェーサーモンの瞬間スモーク」です。サーモンを粗塩とグラニュー糖、カイエンペッパーでマリネして1日寝かせ、それを毎回注文が入ってから、桜のチップで燻製にします。燻製時間は約2分。あとは余熱で火を通して、その間に風味が染み込んでいきます。そうすることで、サーモンのおいしさを活かしつつ、口に入れたときにスモーキーさがふわっと香るんですよ。
探偵団 : 確かに口の中で燻製の香りが豊かに広がりますね。それでいて、サーモンのレアな食感も残っていて、とてもおいしい。シェフは以前、フレンチの名店の「シェ・松尾」にいらっしゃったんですよね?
原田シェフ : はい。その経験は大きいです。フレンチがベースなので、そこから逸脱しないような料理を意識していて、そのうえで、ワインに合うような料理を作っています。
探偵団 : 今日のお料理に合わせたワインはなんですか?
横山ソムリエ : 宮城県のワイナリー「Fattoria AL FIORE」の「Arancia 2022」をおすすめします。優しいナチュラルワインを造る生産者が、デラウェアを使って仕込んだオレンジワインを用意しました。
探偵団 : オレンジワイン! なぜこちらを選ばれたんですか?
横山ソムリエ : ワインのペアリングのコツに「色を合わせる」というのがあって、サーモンのオレンジ色に合わせました。オレンジワインは、白ブドウを使って、赤ワインを造るときのように皮や種と一緒に発酵させることで、皮から色が抽出されて、このような色合いになります。味わいや渋みなども抽出されるのですが、さらにこのワインは、樽とアンフォラで熟成させたものをブレンドしていて、スモーキーなニュアンスを持っているので、燻製したサーモンとは抜群の相性なんです。
探偵団 : わあ~、本当ですね。サーモンのスモーキーさと、ワインのコクや渋みが完全に同調して、複雑な余韻が口の中に広がります。
横山ソムリエ : よかったです。うちのお店は世界中のワインを常に100種類以上揃えているので、ぜひ自分に合うワインを見つけにきてもらえたらうれしいです。
ヴィノシティ マキシム
コレド室町2 にある「ヴィノシティ マキシム」。原田和樹さんは、「シェ・松尾」や、「ASO」で勤務後、シェフに就任。ソムリエ資格を持ち、系列のワインスクールで講師も務める横⼭裕樹さんがワインを担当
TEL.03-6262-3777
住所/東京都中央区日本橋室町2-3-1 コレド室町2 1F
営業時間/11:00~23:00 金~24:00
定休日/なし
【今月の探偵】編集部員:まつしま
メトロミニッツのお酒と食担当。ワインが好きなので、外食はフランス料理やビストロ率が高め
PHOTO/KENSUKE HOSOYA
※メトロミニッツ2024年3月号「うまいもの探偵団」を転載