藤原麻里菜さん、無駄づくり、秋葉原

発明家・藤原麻里菜さんが愛する秋葉原

更新日:2022/06/20

毎月案内人をお招きし、思い入れのある街を教えてもらう連載企画。最終回となる今回は、実用性のない発明品を「無駄づくり」と称して発表している、コンテンツクリエイターの藤原麻里菜さんがご登場。創作活動にインスピレーションを与えてくれるという、秋葉原の魅力を語ります。

■東京ラジオデパート/B1F~3Fに電子部品・電子機器の専門店が集まる、ディープで少しレトロな空間。2階にあるアート・ユニット「明和電機」の公式ショップでは、人気の電子楽器「オタマトーン」も購入できる。「よく分からないけど見てるだけで楽しい」という藤原さん流の楽しみ方でエンジョイしてみて!
住所/東京都千代田区外神田1-10-11 営業時間/10:00~19:00 ※営業時間、定休日は各店舗により異なる

街じゅうにあふれる、
人それぞれの〝好き″や情熱が
「無駄づくり」を刺激する

私が手がけている「無駄づくり」は、「無駄なこと」を「モノ」として作ることで、新しい価値の創造や、未来へのインパクトが起こせるんじゃないかな、というプロジェクトです。

例えば「強制笑顔マシーン」は、機械が自分の口角をむりやり上げるというデバイス。無表情がコンプレックスだったことから思いついた機械ですが、ネガティブな感情やモヤモヤを「モノ」にすることで客観視したり、面白さに昇華させることを軸に、日々「無駄」の制作に勤しんでいます。

■秋月電子通商 秋葉原店/半導体、IC、マイコン・・・なんでも揃う電子部品の宝庫。便利な工作キットは電子工作に挑戦したい人に最適。ちなみに藤原さん、こちらに「できることなら住みたい」そうです
住所/東京都千代田区外神田1-8-3 野水ビル1F 営業時間/11:00~18:00 夏季・年末年始休業あり

秋葉原はその「無駄づくり」のための材料を見つけたり、インスピレーションを与えてくれる街です。もともと秋葉原のシェアアトリエで「無駄づくり」の制作をしていて、そこで受付のアルバイトもしていました。機械工作についても、そこで同僚や会員さんからアドバイスを貰ったり。自分のアトリエを持ったいまでも、秋葉原には通っています。

■千石電商 秋葉原本店/工具もパーツも、初心者向けからプロ仕様まで抜群の品揃えを誇る。電子楽器の部品など特殊なものも手に入る、〝カスタムしたい派″の味方。藤原さんも「初めてならココ! なパーツ屋さん」と太鼓判
TEL.03-3253-4411 住所/東京都千代田区外神田1-8-6 丸和ビルB1F~3F 営業時間/11:00~19:00 年末年始休

何を作る、何が好き、何に向かう・・・秋葉原は「自分の目的」を持っている人、それに対して何も厭わない情熱を持っている人が多く集まる街だと思います。だからこそ専門性の高いお店がたくさんあるし、同時にそれが一般にも開かれているのが、すごく魅力的に感じます。

■スーパーポテト秋葉原店/レトロゲーム専門のショップ。ゲームセンターのフロアには懐かしのアーケードゲームが。駄菓子も買える。藤原さんによると「疲れたら遊んで休む」のにぴったりの場所だそう
TEL.03-5289-9933 住所/東京都千代田区外神田1-11-2 北林ビル3F~5F 営業時間/11:00 ~ 20:00 無休

「無駄づくり」に必要な電子部品や基盤、ハンダなどは、秋月電子や千石電商といったパーツショップで購入しています。秋月電子は抵抗やモーターのような基本的なパーツが必ず揃っているし、千石電商は機材のツマミ( ノブ)だけでも7種類とか、独特のパーツがたくさんあって。ただ、どちらも専門性が高いお店なので、最初は緊張しました(笑)。でもその独特の空気感が、みんな居心地よくなっていくんだろうなって。

■叙香苑~じょこうえん~秋葉原総本店/秋葉原電気街から徒歩数分、気軽に入れる雰囲気ながらも味は本格中華。夜の定食メニューも充実していて、仲間と飲むもよし、一人で食べるもよし。藤原さんにとって「個人的にエモイ思い出がいっぱい」の大切なお店
TEL.03-5817-8123 住所/東京都台東区台東1-8-2 1F 営業時間/11:00~23:00 土・日・祝11:00~15:00、17:00~23:00 不定休

東京ラジオデパートも、昭和を感じるビルの中に、私には分からないようなパーツや古い機材を売ってるお店がたくさん入っていて。秋葉原は「こんなパーツがあるなら、あのマシンが出来るかも」「これは何に使うんだ!?」ってガジェットやパーツが店頭や店先に並んでいるので、想像力が膨らみます。だから、街を歩いてお店で直接見ることは、私の創作にとってすごく大事ですね。

■マグロ専門居酒屋AKIBA/生本マグロ刺身盛り合わせやユッケ、チーズ挟み揚げなど豊富なマグロ料理が人気の居酒屋。お得なランチの穴場でもある。「物づくりの疲れを癒やしてくれる」と藤原さん 
TEL.03-6206-8666 住所/東京都千代田区外神田4-2-6 AKIBA426 ビル2F 営業時間/11:30~13:30、15:30~23:00(22:00LO、ドリンク22:30LO) 日定休

買い物のついでにゲームセンターに寄って休んだり。ご飯を食べる場所も多いし、クラブやバーもあったり、昼だけじゃなく、実は夜も楽しめる街だと思います。

秋葉原はたくさんのモノと文化が、お互いに干渉せずに受け入れあう、寛容な街だと思います。ノビノビとそれぞれが存在して、楽しくみんなが過ごせる場所。時代とともに移り変わる街だけど、その部分はこれからも変わらないで欲しいですね。

ブレケル・オスカル

今月の案内人/藤原麻里菜さん

コンテンツクリエイター、文筆家。不必要なものを形にした作品をYouTubeで発表し、国内外で人気を博す。著書に『考える術―人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』(ダイヤモンド社)、『無駄なマシーンを発明しよう!―独創性を育むはじめてのエンジニアリング』(技術評論社)ほか。2022/6/21(火)~ 30(木)、西武渋谷店でファッションと「無駄づくり」をテーマに企画展「MUDA COLLECTION 2022 Summer -Let’s wear useless things-」を開催

YouTube 無駄づくり / MUDAzukuri
Instagram  @mudazukuri
Twitter @togenkyoo

Photo/SHIN HAMADA(Portrait), KAZUHITO MIURA , KATSUMI SATO Text/SHINICHIRO“JET”TAKAGI
※メトロミニッツ2022年7月号「東京巡礼」より転載
※新型コロナウイルスの感染状況により、営業時間や定休日など変更になる可能性がございます。詳細は各店舗までお問い合わせください

※記事は2022年6月20日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります