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レストランとしての矜持とともに。南インドの現地の味を日本に発信してきた京橋、銀座_東京巡礼【連載】

更新日:2021/09/20

毎月案内人をお招きし、思い入れのある場所を教えてもらうこの企画。今月は南インド料理専門店「エリックサウス」の立ち上げなどを手がけ、また独特の切り口で食を語るTwitterや本格インドカレーを手軽に作れるレシピ本で人気のイナダシュンスケさんが南インド料理の巡礼地をご案内。ナイルレストラン、ダバインディアなどカレーの名店が勢揃いです。

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ダバ インディア/南インドのローカルなおいしさを、一流のレストラン料理に昇華させるという誇りが凄まじい

京橋、銀座は南インド料理の聖地ともいえる場所

僕が南インド料理に出会った場所。それが、この「ダバ インディア」です。15年ほど前に初めてここで「ミールス」を注文し、大皿の中に並べられたなんだかよくわからない、見たこともないような料理の数々に翻弄されました。それ以来、僕は何度もこの店に来てミールスを食べ続け、南インド料理にハマっていってしまいました。

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アーンドラ・ダイニング 銀座/アーンドラ・プラデーシュ州という、さらに限られた地方の料理。エッジの効いた味がクセになる

こういう現地の味そのままのお店が長く続けられるのは、東京ならではだと思うんです。もし地方だったら地元の人に受け入れられやすいように、日本人の好みに合わせてアレンジしてしまう。けれど東京では、アレンジ無しで、ほぼ現地の料理をそのまま出しても、ちゃんとお客さんがついて来てくれる。強い個性があるからこそ愛されているお店が数多くある。これは東京だけが特別なのではないでしょうか。

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カーン・ケバブ・ビリヤニ/南インド料理の中でもビリヤニやニハリなど、他の5店とは違ったイスラム系の料理が食べられる

南インド料理も東京には早くからお店ができて、現地の味が伝えられてきました。15年前には「ダバ インディア」をはじめとする店が3~4軒はあり、その5年後くらいには10軒を超え、今では30~40軒はあるんじゃないでしょうか。最近は地方都市にも何軒かできていますが、つい数年前までは、本場の南インド料理が食べられる店は東京にしかなかったと思うんです。

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南インド料理 ダクシン 八重洲店/南インド全域の料理をやさしく紹介してくれる店。南インド料理の「優れた最初の教科書」

さらにその中でも、京橋・銀座は、南インド料理にとって特別な場所と言えます。その理由は「ダバ インディア」や「ダクシン」など日本の草分けとも言えるお店があること。もうひとつの理由は、このエリアの店はどこも、レストランとしての矜持が感じられるということ。単に現地の料理を出すのではなく、どんな人が来てもきちっと迎え入れ、レストランとしてクオリティの高い料理を出すという誇りがある。そんな背筋が伸びる感じがなんともいいんですよね。

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エリックサウス 八重洲/銀座・京橋で育まれてきた南インド料理文化を1人でも多くの人に味わっていただこうと、僕が始めた食堂

もし南インド料理に興味を持ったら、まずは今回挙げた6つのお店を一通りランチで巡ってみてください。そしてピンと来る店があったら、次はそのお店のディナーに行って、じっくりと時間をかけていろんな料理を味わってみてください。

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ナイルレストラン/言わずと知れた、日本のインドカレー文化の始まりの地。いつ食べても新鮮さを感じるおいしさはさすが

ランチタイムと違ってディナータイムはたくさんメニューがありますから、ここは思い切って今まで見たことのないような料理を注文してみましょう。好き嫌いはあるかもしれませんが、その中から、これまで想像もしなかったおいしさに出逢えるはずです。南インド料理の真価は、ディナーにあり! 新たな食の世界の冒険を楽しんでください。

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今月の案内人/イナダシュンスケさん

鹿児島県生まれ。幅広いジャンルの飲食店を経営する円相フードサービスでメニューや業態の開発を手掛ける。自らを“ナチュラルボーン食いしん坊” と称し、独特の切り口で食を語るTwitterが人気。著書に『おいしいもので できている』(リトルモア)、『だいたい1ステップか2ステップ!なのに本格インドカレー』(柴田書店)

PHOTO/KENYA ABE TEXT/SHINO KAWASAKI
※メトロミニッツ2021年10月号「東京巡礼」より転載

※記事は2021年9月20日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります