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クラフトビールをひとつの「文化」として捉え、大切に育ててきた街_東京巡礼【連載】

更新日:2021/07/20

毎月案内人をお招きして、東京の思い入れのある場所を教えてもらうこの企画。今月はおいしいクラフトビールのお店を集めたWEB サイト「クラフトビール東京」を運営する川野亮さんが池袋、要町エリアをご案内

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The Cat & Cask Tavern/住宅街の路地に佇むビアパブにはリアルエールを注ぐハンドポンプが3タップ、ドラフト3タップ

バラエティ豊かなクラフトビール専門店が集積する池袋、要町エリア

私が初めてクラフトビールに出会ったのが、この「The Cat & Cask Tavern」。2011年のことでした。当時、東京でクラフトビールが飲めるお店はまだ20軒ほどで、クラフトビールのことを知っている人も少なかったと思います。私もまったく知らずに「The Cat & Cask Tavern」で初めてIPAを飲んだときの感動といったら。今でも忘れることができない体験です。

それから10年。今では東京でクラフトビールが飲めるお店も専門店で400軒ほど。ブルワリーは東京だけで約70軒、日本全国では約500軒に増えています。日本の津々浦々にそれぞれの魅力を持ったブルワリーやお店が生まれ、特に軒数が多い東京は、クラフトビールの多様性を体現していると言えます。

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Snark Liquidworks/NishiikeMart に店を構えるブルーパブ。フード持ち込み可で(金・土は不可)、金、土はおいしいカレーが登場します

その中でも私にとっての巡礼地が要町・池袋である理由は、初めての訪問以来ずっと通い続けている「The Cat & Cask Tavern」があることももちろんなのですが、この街がクラフトビールを単なる飲み物ではなく「文化」として捉えていると感じているからなんです。

要町・池袋とその周辺は、大正から第二次世界大戦の終戦頃にかけて多くの芸術家が暮らしながら芸術活動の拠点とし、「池袋モンパルナス」と呼ばれています。その名残もあって、この街には文化を大切にする気質があり、クラフトビールもそのひとつとして、大事に育てられているのだと思います。

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Smoke Beer Factory 要町/お肉にチーズ、刺身にアイスまで燻製!大塚店に併設の醸造所「NAMACHAんBrewing」オリジナルビールも美味

そんな要町・池袋にはバラエティ豊かなクラフトビールの店があり、それぞれに「文化」が感じられます。前述の気さくなイギリス人のウェインさんが営む「The Cat & Cask Tavern」には、イギリスのパブ文化を思わせる居心地のよさがあります。「Smokebeer Factory」は燻製料理がおいしく、燻製という食文化とクラフトビールの相性のよさに気付かされます。

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Two Fingers Craft Beer/クラフトビール愛好家のナオさんとステフさんが営むバー。初心者にもわかりやすくビールの楽しさ、おいしさを案内

そして「Snark Liquidworks」は、アメリカのコンテストで賞をとった日本の名ブルワー・藤浦一理さんが、日本ではあまり知られていないヨーロッパの古くからの醸造法を再解釈した新しいビールを生み出すことで、ヨーロッパのビール文化を伝えています。「Two Fingers Craft Beer」は通好みの珍しいビールをわかりやすく説明しながら飲ませてくれるお店で、初心者でもクラフトビール文化の奥深さを知ることができます。

要町・池袋で、この街が育てた、この街だけのクラフトビール文化に触れてみてください。

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今月の案内人/川野亮さん

2011年から WEBサイト「クラフトビール東京」を運営。クラフトビールがメジャーになる前から、専門店を巡り、400店舗以上を訪問。東京・横浜のお店を紹介し続けている。雑誌やWEB でもクラフトビールに関する記事を執筆

PHOTO/KENYA ABE TEXT/SHINO KAWASAKI
※メトロミニッツ2021年8月号「東京巡礼」より転載

※記事は2021年7月20日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります