横浜へ行ったら、パン屋さんに足を運んでみよう。実は横浜は、日本で初めて食パンが作られた街。そんな横浜・元町エリアにある8つのベーカリーの食パンを、パンマニアの池田浩明さんが食べ比べ! 食感や甘さを比較して図解にしました。あなたの好みはどの食パン?
図解!8種の食パンの食感・甘さ
【A】BLUFF BAKERY「ブラフブレッド(1本550円)」
【B】本牧館 本店「スペシャルブレッド(1斤260円)」
【C】TOAST neighborhood bakery「プルマン(ロング350円)」
【D】ON THE DISH「cotton(453円)」
【E】ecomo Bakery YOKOHAMA MOTOMACHI「有機栽培きたほなみのkakukaku(380円)」
【F】よつばベーカリー「ふんわりもっちり角食パン(302円)」
【G】ポンパドウル元町本店「パン・ドゥ・ミー(1ブロック280円)」
【H】ウチキパン「イングランド(360円)」
それぞれのパンの特徴は?
【A】BLUFF BAKERYのブラフブレッド
横浜をはじめ全国のパン好きに愛されるスペシャリテ。ぷるぷるとした弾力のあるしっとり感は、吸水性の高い北海道産小麦・キタノカオリならでは。かむほどに深まるデンプンの甘みが、はちみつの甘さと調和していくのも心地いい。
【B】本牧館 本店のスペシャルブレッド
70年以上にわたって本牧で親しまれるベーカリーのいちばん人気の食パン。きめが細かくしっとりしていて、口溶けがいい生地。ミルキーさやはちみつの甘さはありつつも、小麦の個性は強すぎないので、リッチすぎず飽きの来ない味わいです。
【C】TOAST neighborhood bakeryのプルマン
10数種類もの食パンが揃うベーカリーのイチオシ食パン。小ぶりなサイズで、ジャージー牛の生クリーム入り。やわらかで、リッチでゴージャスな甘みが際立ちます。歯切れがよく香ばしい耳も素晴らしい。トーストすればサクサクに。
【D】ON THE DISHのcotton
自家製ナツメヤシ酵母でパンを作る店。食パンcottonは店の軸的存在。シンプルなハード系だけどキタノカオリらしいもちもち感と甘みが豊か。なによりレモンのような発酵種の香りが鮮烈。種の個性をおいしさにつなげる腕はただものではない。
【E】ecomo Bakery YOKOHAMA MOTOMACHIの有機栽培きたほなみのkakukaku
国産有機小麦を使うベーカリーの色白食パン。酵母の香りが豊かで、有機小麦のワイルドな風味がユニーク。きたほなみ特有のきめ細かさはありつつ水分たっぷりで口どけもいい。日本の麦で作ったおむすびのような食パン。
【F】よつばベーカリーのふんわりもっちり角食パン302円
12月に誕生した、幅広い世代が親しみやすいパンが揃う店。ベーシックな食パンは、毎日食べても飽きの来ないシンプルな味わいながら、国産小麦特有のもちもち感とコシがクセになる。主張しすぎない味でバターも活きるはず。
【G】ポンパドウル元町本店のパン・ドゥ・ミー
1969年に元町で誕生して以来、全国で愛される有名店。プリン! とはね返る弾力がおもしろい。名物のフランスパンと同様、ごはんのように清らかな味わいに、日本人が毎日食べられるパンにしようという意図を感じます。
【H】ウチキパンのイングランド
元祖食パン・イングランドは、1888年以来ウチキパンのシンボル。しっかり焼き込まれた底面に惚れますね。蓋をしない山型なのでふんわり、とろける食感。小麦の味は清らか。濃いめの塩気の後に甘さがにじみ、うまみが広がります。
ハマパン総評
横浜は、日本ではじめて食パン(イギリスパン)が作られた街。横浜に住んでいたイギリス人に向けて作られたものです。今回、元町・山手エリアのいろいろなお店の食パンを食べてみて、その伝統が今も息づいていることを感じました。約130年前の最初の食パンと同じ製法で作るウチキパンはもちろん、元町で生まれフランスパンの伝統を担ってきたポンパドウルや、元町界隈で先代からパンを作ってきたBLUFFBAKERY(なかでもオーソドックスなホワイトブレッド)にも横浜DNAを感じます。またTOAST neighborhood bakeryのようなイギリスパン専門店が横浜に存在するのも偶然ではないでしょう。イギリスパンは山型で、毎日飽きずに食べられるシンプルな食事用のパンです。横浜の人たちの日常にパン食文化が根付いているのだと思います。そういうハイカラさ、モダンさも、横浜の魅力の一部ではないでしょうか。
SHOP DATA
【A】BLUFF BAKERY(ブラフベーカリー)
営業時間:8:00~18:30
定休日:なし
住所:横浜市中区元町2-80-9 モトマチヒルクレスト1F
アクセス:元町・中華街駅より徒歩8分
【B】本牧館 本店(ホンモクカン ホンテン)
営業時間:6:30~20:00
定休日:1/1〜3
住所:横浜市中区本牧間門19-28
アクセス:横浜市営バスで二の谷下車徒歩2分
【C】TOAST neighborhood bakery(トースト ネイバーフッドベーカリー)
営業時間:8:00~17:00
定休日:水、ほか不定休あり
住所:横浜市中区本郷町1-25
アクセス:山手駅より徒歩14分
【D】ON THE DISH(オンザディッシュ)
営業時間:金12:00~15:00 土~16:00(売り切れしだい終了) カフェ11:30~ ※カフェのみの利用不可
定休日:日~木、ほか不定休あり
住所:横浜市中区仲尾台40
アクセス:山手駅より徒歩7分 ※アクセス方法はWebサイトで確認を
【E】ecomo Bakery YOKOHAMA MOTOMACHI(エコモベーカリー)
営業時間:10:00〜18:00
定休日:月(祝の場合翌休)、ほか不定休あり
住所:横浜市中区元町1-13 元町プラザ 202
アクセス:元町・中華街駅より徒歩2分
【F】よつばベーカリー
営業時間:10:00~18:00(売り切れしだい終了)
定休日:日・月・祝
住所:横浜市中区石川町2-68-4
アクセス:石川町駅より徒歩3分
【G】ポンパドウル元町本店
営業時間:9:00~20:00
定休日:不定休
住所:横浜市中区元町4-171
アクセス:石川町駅、元町・中華街駅より徒歩7分
【H】ウチキパン
営業時間:9:00~19:00
定休日:月(祝の場合翌休)
住所:横浜市中区元町1-50
アクセス:元町・中華街駅より徒歩3分
お話を伺ったのは・・・
- パンラボ 池田浩明さん
- ブレッドギーク(パンおたく)、ライター。パンの研究所「パンラボ」主宰。国産新小麦を広める「新麦コレクション」理事長。オズマガジンにて「MY推しパン」連載中
【特集】春の横浜おでかけ案内2019
非日常を感じる抜群のロケーションにおいしいグルメ、異国情緒を感じるレトロなスポット・・・。誕生日や記念日のお祝いも、アフターファイブも、休日も、大好きな横浜で。彼、女友達、お母さん、子ども・・・大切な人を連れていきたい街。それでいて、ひとりでリフレッシュするのにもぴったり。みんなの好きな横浜を知れば、新しい魅力が見つかるはず。みんなの好きな横浜を集めました。次の休日は、横浜へ出かけよう。
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※オズマガジン2019年3月12日発行号を一部転載
PHOTO/キムラミハル、YUKO CHIBA(DOUBLE ONE) WRITING/吉永美代